ホームシアターの総合誌「ホームシアターファイルPLUS」でも執筆されている伊尾喜大祐さんが、夢の映画館「シン・イオキネマ」づくりを決意! 本連載では、映画館づくりを決意したきっかけから完成するまでの模様を完全密着ドキュメントでお送りします。どのタイミングでどんなことが進行するのか? 映画館づくりにどんな想いがあったのか? 読んだらホームシアターを作りたくなること間違いなし!
インストーラーと建築士が共同で動く3点
やって来たのが、ホームシアター専門店・トムテック。「やあ、いらっしゃい!」と、笑顔で迎えてくれたのが店主の浅田友英氏。ん? はじめましてのはずなのに、僕はその顔になぜか見覚えが……? ともあれさっそく、新シアターの希望機器リスト、建築士の龍井慎一郎氏による図面をもとに、現状の構想をじっくりヒアリングしていただきました。「もう出来てるじゃないですか!」と笑いながらも、浅田氏は「でも、もし僕がお引き受けするなら」と、インストーラーの仕事について話し始めてくれました。「そもそも、AV製品は入れ替わりも早いですから、機器の話はいったんアタマの外に置きましょう。何より先に考えるべきは、ホームシアターという空間を作ること。それが最終目標です」。ああ、そうだった! と、ここで僕は初心に帰ります。
「機器を考える前に、その設置位置にあわせて、ビデオやオーディオのケーブルを壁内や天井裏に通すための配管、電源の位置をどうするかなどの、建築絡みのことを進めねばなりません。なので、もしサラウンドやトップスピーカーを壁掛けや埋め込みにするなら、その位置を予め考えておく必要があります」(浅田氏)。
その上でインストーラーとして浅田氏が建築士サイドと共同で動く必要がある点は大きくわけて3点あるといいます。①は電源周り。コンセントを日常用とオーディオ用でわけるなど、今回はちょっとマニアックに進めてもよいかもしれません。②はアンテナとホームネットワーク設備。地デジやBS、4K放送の視聴手段として、アンテナを設置するか、ケーブルTVに加入するか、光回線にするか?ルーターを設置する場所から各居室へのLAN用の配管も考える必要があります。Wi-Fiは後で無線LANアクセスポイントを繋げばいいだけなので、後回しで大丈夫。そして③が最大の難問となる、防音問題です。これは次回以降で詳しくお話ししたいと思います。
- 住まいの基本設計図と奥様によるイメージイラストを見ながら、トムテックの浅田さんとの打ち合わせがはじまりました。スピーカーやレコーダーなどの設置方法などが懸案事項でしたが、浅田さんはプロならではの手さばきで見事に解決してくれました。
- 漫画家である奥様が描いた完成イメージイラストも打ち合わせに大いに役立ちました。こちらはスクリーンを上げたところ。伊尾喜さんが制作に関わったソフトを陳列できる「見せソフト棚」とフィギュアラック、テレビラックを兼ねたラックをイメージしていました。
- スクリーンを下げたところ。イラストではラックの前にフロントとセンタースピーカーが置かれていますが、どう設置すべきか決めあぐねていました。