VGP phileweb

レビュー

  • TOSHIBA「75Z670K」 東芝レグザ15年の結晶
    リビングシアター向けテレビ
    いつでも好きなコンテンツを高画質で楽しむ大画面75インチ

    VGP 取材・執筆 / 折原一也
    2021年10月4日更新

    • VGP審査員
      折原一也

東芝レグザ「Z670K」に大画面75インチが加わりました。高画質と高音質にこだわりつつ、驚きのプライスを実現したホームシアターファンにこそ、おすすめしたいテレビです。本機の魅力に評論家の折原一也氏が迫ります。

  • 4K液晶テレビ
    TOSHIBA
    「75Z670K」
    ¥OPEN(実勢価格33万円前後)

ノイズが目立たぬ大画面で肌を美しいトーンで再現

折原 2021年、東芝レグザは新たに4K液晶テレビ「Z670K」をラインアップに加えました。リビングシアターにも最適なスクリーン級の大画面サイズ、75インチも用意されていますね。

本村 ホームシアターというと今までは「スクリーンで」「プロジェクターで」みたいな意識がどうしてもあったと思うんですけど、このサイズになってくるとテレビでホームシアターって当たり前になってきたぞ、みたいな。本音でそう思っています。

折原 「75Z670K」の画質面でのこだわりについて教えてください。新開発のレグザエンジン「ZR I」を搭載していますね。

住吉 まず、SoCの部分から大幅に変えているのが一番大きなポイントです。HDMI 2.1、4K/120pにも対応できました。HDR映像をより美しく表現できるというのも大きな進化点です。大画面サイズのディスプレイで悪目立ちしてしまうのは、元々の解像度が低い地デジのボケ感やモスキートノイズなどです。75Z670Kでは、「レゾリューションプラス」による精細感復元をどの程度かけるかということと、テロップ周辺のモスキートノイズをいかに抑えるかということになります。そのあたりが、かなり上手く制御できるようになっています。

  • 高画質のキモとなる新開発レグザエンジン「ZR I」。さらに進化したノイズリダクション、36色の多色軸処理、快適な操作性などを実現している。

折原 2021年モデルからは、新機能として「ナチュラル美肌トーン」という東芝独自の高画質技術があります。75Z670Kにも入っていますね。

本村 はい。ドラマを観ていたらカット割りによって人の顔の色が違うということに気が付いていて、「違和感あるぞ、これ」と。コンテンツによって、緑っぽかったり赤っぽかったりするんですよ。一本のドラマの中で同じ出演者が青かったり、黄緑っぽかったり、赤っぽかったりして。住吉さんに「これおかしいよね」と話をしたら、「任せておけ」といいだして、開発してくれたのが「ナチュラル美肌トーン」でございますよ。

折原 結構これ大発見ですよね。

本村 人の肌を研究なさっている埼玉女子短期大学の山田雅子先生にお話をお伺いしながら作りあげていきました。

住吉 人間は人の顔に非常に敏感です。特に黄色方向にカラーシフトしていると違和感を感じます。そういったシーンでは3Dのカラーマネジメント制御を行います。

折原 好まなそうな肌色は絶対に出ないということですね。

住吉 ある範囲であれば。

折原 情報番組は屋外ロケ+ワイプが入っていたりするわけで。全然環境が違うものが入っていたりすると制御は難しそうですね。

住吉 あとは意図してそういう演出をしているケースもあります。違和感を抱かせないくらいに補正をしてあげる。もともと自然に入ってくるものはそのまま出してあげましょう、という技術です。

折原 それから75Z670Kには、視野角特性に優れた特別なパネルが採用されていますよね?

住吉 はい。明所コントラストがいいので、リビングで昼間観るときにも高コントラストで観られることもメリットです。

折原 音質面でも、75Z670Kはスピーカーが特別な仕様になっていますね。

荒船 トゥイーターを合計4基、機体上部に配置したことが大きなポイントです。しかもネオジウムマグネットを採用して、能率を上げています。これらによって、天井や壁からの反射音や回り込んでくる音まで含めて、上部から音が降ってくる音のエネルギー量を増やして音像をリフトしてあげることで、ダウンファイアリングのメインスピーカーと背面ウーファー群との組み合わせにより、あたかも画面の中心から音が鳴っているかのような効果が得られました。

折原 たしかに音像が画面の中心にあって、それが映像との一体感、臨場感に繋がっていて、とても好印象でした。

本村 コスパという意味でも、この価格帯で総合出力60W、スピーカーが11個も付いたモデルはあまりないはずです。

  • トップトゥイーターを含む11個のスピーカーを総合出力60Wで駆動するサウンドシステムも自慢。ドルビーアトモス再生にも対応する。

初のAndroid搭載モデルで「録画リスト」ボタンも注目

折原 リビングシアター向けに、という意味で注目してほしい機能などはありますか?

本村 レグザなら、お部屋の明るさに応じて自動で画質を調整してくれるので、目にやさしく、お子様のいらっしゃるご家庭でも安心です。ブルーライトカットも対応していますので、夜、眠りにつきにくくなることも抑制できます。

折原 最後に、操作性の進化についても教えてください。Z670Kシリーズは、新たにAndroid TVを採用していますね。

本村 Androidを搭載したテレビは他社にもありますが、ひとことでいえばレグザは「録画に強いAndroid」です。基本的にUIをクラウド上で管理するようになったことが大きな進化ポイントです。電源立ち上げたら、まず「録画リスト」を押してくださいとお薦めしています。これだけで、あなたが観たい番組がここに出てきます。お客様が「バラエティー好きだよ」とか「ドラマ好きだよ」とか「音楽番組好きだよ」とか「アニメ好きだよ」とかリクエストすれば、自動的に勝手に録ってくれる。「YouTubeのどれ観ますか」もシームレスに表示できます。

折原 レグザファンとしては、OSがAndroidに変わっても、お気に入りの新聞ラテ欄方式の番組表GUIが、ほぼ完璧に踏襲されていたことに安心しました(笑)。

本村 ありがとうございます(笑)。

  • レグザとして初めて、Android TVを搭載したことも大きなトピック。これまで積み上げてきた録画機能がクラウドと結びつくことで、便利な使い勝手を実現する。

折原 レグザは今年でブランド15周年を迎えました。これからもずっと変わらないこと、逆にここを変えていくという決意があれば、お聞かせいただけますでしょうか?

本村 レグザブランドを立ち上げた時に、社内に「本物をつくる宣言」というのをさせていただいています。お客様に感動してもらおうよ、と。テレビの感動って何かというと、やっぱり画質です。ギミックの画質をやめて、リアリティを追求していくというのがブランドプロミスだったんですよ。設計メンバーもそれをずっと守ってくれています。
 それから「何を持って感動するか」というと「自分の観たいコンテンツでしか感動できない」ということも気が付いて、録画にもこだわって全チャンネル録画による「タイムシフトマシン」を開発しました。観たいときに観たいコンテンツを感動的に楽しむということを、ストイックに追求していく。これはずっと変わらない部分です。
 新聞などでは「テレビは終わりだ」「スマホ/タブレットの時代だ」と書かれてしまうこともありますけど、ちゃんとユーザーは大画面テレビに戻って来てくれています。20年後には、もっと大きな画面で高画質で好きなコンテンツを観ているはず。そのテレビがレグザであるように、これからも開発を続けていきます。

折原 期待しています! 本日はありがとうございました。

  • 左から東芝デベロップメントエンジニアリング株式会社TV映像マイスタの住吉肇氏、筆者、TVS REGZA株式会社ブランド統括マネージャーの本村裕史氏、東芝デベロップメントエンジニアリング株式会社シニアエンジニアの荒船 晃氏。