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レビュー

  • FOCAL「FOCAL CIシリーズ」 FOCALの埋め込みスピーカーは
    2ch再生も優秀
    インストーラーが語る②「のだや」&「NEXT」

    取材・執筆 / 井田有一(ホームシアターファイルPLUS編集部)
    2022年3月3日更新

FOCAL(フォーカル)の埋め込みスピーカー「FOCAL CIシリーズ」が2021年末に日本に上陸しました。そこで3回にわけて、いち早く試聴したホームシアター・インストーラーの方にFOCAL CIシリーズの印象を伺いました。第二回目は東北を代表するオーディオショップ「のだや」の野田怜男氏と、先進的な提案力でホームシアターシーンを牽引する名古屋の名店「NEXT」の青山浩久氏です。

  • テレビ脇にFOCALの埋め込みスピーカーをインストールした例。佇まいも洗練されており、インテリアとのマッチングも良好です。

前回はこちら>>>どんな部屋でも使える FOCALの埋め込みスピーカー

次回はこちら>>>ニッポンの住宅に合うFOCALの埋め込みスピーカー

のだや野田氏が語る「FOCALの音とは」

FOCALは世界でも有数のスピーカーメーカーです。ファブレスの会社が増えるなか、開発現場と工場とを今なおフランス国内に構えて、多彩なスピーカーを生産できるのは非常に珍しいことです。FOCALは海外のイベントでも大きなブースを構えるなど、世界中にファンがいるブランドですね。当店でもフロア型のファンは多いです。

  • FOCALはフランスの中南東部に位置するサンテティエンヌに本拠を構えます。
  • ドイツのミュンヘンで開催された世界最大規模のオーディオショウ「HIGH END 2018」でフラグシップスピーカー「Grade Utopia Evo」を出展していた様子。
    写真提供:PHILE WEB

私は埋め込みのフラグシップ機となる「1000 IWLCR Utopia」を中心に2ch、サウランドを試聴しました。サウンドは高い解像度感は持ちつつも高域の角が取れてしなやか、そんなFOCALが持つフロア型のイメージと近似するところはありつつ、スタジオ用のアンプを組み合わせたおかげもあり、癖のないストーレートなサウンドだと感じました。アンプが持つ個性を引き出す、FOCALの美点を埋め込みでも再現されていますね。

  • フロア型も埋め込みスピーカーもドライバー技術を共有しています。開発もフランスで行われています。

サラウンドは音の繋がりが素晴らしく、すべて埋め込みでもハイエンドのシステムを組めると実感しました。フロア型とミックスしたプランを検討するなら、「1000シリーズ」なら「SOPRAシリーズ」が音の印象も近くおすすめです。「300」「100」でしたら「ARIAシリーズ」や「CORAシリーズ」など採用されるユニット技術も見ながら選ぶとよいでしょう。

  • FOCALのHi-Fi用スピーカー「SOPRA N°2」。
  • ここまでのコメントを寄せてくれたのは、のだや仙台店の野田怜男氏。

NEXT青山氏が語る「FOCALの2ch再生」

セッティングが固定されてしまうため、埋め込みスピーカーはフロア型よりも2ch再生が苦手と思われがちですが、FOCAL CIにそんなことはありません。音の指向性が強い中高域のドライバーが可変するため、ステレオイメージをしっかり表現でき、埋め込みでここまで空間表現ができるのかと驚きました。

  • 写真は「1000 ICLCR5」の例ですが、FOCAL CIはトゥイーター/ミッドレンジ部を左右に動かすことで、視聴位置に合わせたセッティングを行えます。
  • 【今回試聴したモデル】
    インウォール・スピーカー
    FOCAL
    1000 IWLCR Utopia
    ¥1,043,900(税込/1本)

試聴時には「空間オーディオ」やソニーの「360 Reality Audio」といったイマーシブサウンドも体感しました。43.2ch構成かつ近接リスニングということも手伝って、ストレートなサウンドがダイレクトに届く印象で、スピーカーとしての素性の高さを感じました。

  • 今回3Dオーディオを試聴した部屋がこちら。ボトムスピーカーまで設置された360 Reality Audioの再生環境が整っています。

また読者の皆様には影響は少ないですが、様々な物が入手しにくい昨今、FOCALはサプライチェーンリスクの管理がしっかりできている点も好印象です。これはフランスで一貫生産できる強みですね。総合力の高いFOCAL CIは安心してお客様に薦められる製品です。

  • FOCALはヨーロッパを代表するスピーカーメーカーのひとつで、生産規模は非常に大きいです。
  • ここまでのコメントを寄せてくれたのが、NEXTの青山浩久氏。