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実例

  • 専用室シアターCASE37
    没入感を高める防音室、ダークトーンの個人劇場
    遮音性を損ねないまま5.1.4chシステムを投入

    取材・執筆 / 松原ひな子(ホームシアターファイルPLUS編集部)
    2023年4月24日更新

理想的なシアターのために新築を決意

施主の斉藤さんは趣味のピュアオーディオ歴は30年というオーディオファン。ホームシアターもレーザーディスク時代からどっぷりハマり、7.1chサラウンドを自分で設置して簡易的に楽しんでいたといいます。しかし、年齢を重ねるごとに、もっと映画や音楽に没頭できる場所がほしいという想いは大きくなり、専用室への憧れを募らせていました。そこで、理想のホームシアターを作るために、なんと自宅の新築を決意されたのです。

  • 専用室の入り口には小劇場のようなネオンサインが。一目見ただけで「ホームシアターがある家」なのだとわかる遊び心満載の仕掛け。これからホームシアターで作品を楽しむぞ!というわくわく感を高めてくれそうです。
  • 内装はダークトーンを基調にした12畳ほどの空間。床や壁、天井はもちろん、空調機器も黒色を選択し、照明カバーとコンセントボックスはオーナーがDIYで塗装しました。

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アスペクト比でスクリーンを切り替えられる

長年の想いが凝縮しているだけあって、完成した専用室はかなり本格的です。まず、スクリーンは洋画やミュージカルなどコンテンツに合わせて使い分けできるようになっており、壁に張り込んだ16:9の120インチに加え、シネマスコープサイズの130インチも導入。後者はケース付きの電動式で天井のボックスに収納されており、ボタンひとつで切り替えができます。

プロジェクターはソニーの4Kモデル「VPL-VW575」を採用し、スピーカーは5.1.4ch構成でドルビーアトモスに対応するなど、誰もが羨む個人劇場の様相です。天井や壁、空調機器に至るまで黒色で統一し、スクリーンへの迷光対策も考慮したこだわりの趣味空間です。

  • スクリーンは16:9の120インチとシネスコサイズの130インチを導入しました。コンテンツに適したアスペクト比を使いわけることで、余白がない状態で作品を視聴でき、没入感を高めてくれます。映画好きならではのこだわりです。
  • プロジェクターはソニーの4K/HDR対応プロジェクター「VPL-VW575」。当初は同ラインのミドルモデルである「VPL-VW275」を検討していましたが、オーディオ・サトーの試聴室にて「VW575」の高精細な4K映像を体感し、構想が変わったといいます。
  • 写真左/写真サブウーファーは最新の世代でも継続してラインアップされている、コンパクトかつ高品位なMonitorAudio「Silver W12」を導入。
    写真右/スピーカーは全体の音のバランスを考え、MonitorAudio「Silver 6G」シリーズで統一。内観になじむブラックオークカラーを選択しました。
  • ハイトスピーカーは壁掛け設置することで、高い遮音性能を損ねないままドルビーアトモス5.1.4chを実現させました。専用金具でスピーカーの角度を決めて設置することで、統一感を持たせています。

この完成度の高い部屋ができたのは、ホームシアターのインストールを担当したオーディオ・サトーの佐藤雅次氏に、間取りが決まる前からプロジェクトに参加してもらっていたことが大きく貢献しています。機器選定やレイアウトはもちろん、通線なども生活動線を阻害せずに壁裏などに通してもらいましたが、実はこれがかなり専門的な知識が必要な仕事。というのも、この部屋は孔を空けることが許されない防音室だからです。

  • 機器類はすべて後方のラックに収納することで、画面のみに集中できる環境を作りあげています。いっさい露出していないケーブルは造作棚の裏に隠されており、インストーラーと住宅メーカーによるプロの技が光ります。
  • スクリーンの収納ボックスは化粧梁を設けて隠蔽されています。電動式スクリーンを降ろした際は、張り込みスクリーンが見えなくなるようレイアウトされているので、どちらを使用していても視聴に集中できます。

防音仕様だから作品への没入感が深まる

「時間を気にせず、好きな音量で迫力たっぷりに作品を楽しみたかったんです」と、斉藤さん。そのため、ハウスメーカーも防音室を基準に選び、積水ハウスのラインアップから壁面はD-50相当ある最も高い「レベル5」の防音仕様を選びました。図面上の芯々寸法で15畳ほどの間取りだった部屋ですが、壁やドアや窓を2重構造にしたことで、室内空間は12畳となるほど、遮音性能が高いのです。

深夜でも音量を気にしなくてよくなったと斉藤さんは微笑み、「作品の世界観に没入できる環境はやっぱりいいですね」と満足そうに語ってくれました。ホームシアターのある家づくりという長年の夢を遂に叶えた斉藤さんの毎日は、ますます豊かになっていくことでしょう。

  • 視聴位置後方の様子。専用室は積水ハウスの施工により、D-50相当の遮音性能を実現しています。これはパチンコ店内の騒音を深夜の住宅地くらいにまで低減できる数値で、映画や音楽を好きな音量で楽しめます。
  • シアタールームの扉と窓は2重構造になっていて、生じた空気層が音漏れを低減させています。ちなみに窓には遮光ロールカーテンが取り付けられているので、昼間でも外光をシャットアウトできます。
  • 平行面があることで生じるフラッターエコーへの対策として、天井には吉野石膏の吸音板「ソーラトン」が設置されています。反響音を減らすことで、映画のサウンドをより鮮明に味わうことができます。
  • リビングではオーナーの手持ちの機器であるB&W「804 D3」でオーディオも楽しんでいます。
  • 映画好きのオーナーが好きな作品として挙げてくれたのは『博士の異常な愛情』。80年代に発売されたレーザーディスクから、最新のUltra HDブルーレイまでコレクションするこだわりぶり!
  • インストールを手がけたオーディオ・サトーの佐藤雅次氏。

写真/水谷綾子

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斎藤邸ホームシアター概要

HOMETHEATER DATA
●住宅形態:戸建/新築 ●家族構成:1人 ●ホームシアターの広さ:約12畳 ●画面サイズ:120インチ+シネスコ130インチ ●サラウンド:5.1.4ch ●インストール内容:機器設置、システムプランニング ほか

SYSTEM LIST
●プロジェクター:ソニー VPL-VW575 ●スクリーン(16:9):キクチ TFM-120HDCW ●スクリーン(2.35:1):キクチ TGE-130CSCW(特注) ●AVアンプ:デノン AVC-X6700H ●Ultra HDブルーレイレコーダー:パナソニック DMR-4CW200 ●ブルーレイプレイヤー:OPPO Digital BDP-103DJP ●フロントスピーカー:MonitorAudio Silver 500 ●センタースピーカー:MonitorAudio Silver C350 ●リアスピーカー:MonitorAudio Silver 200 ●フロントハイトスピーカー:MonitorAudio Bronze 50-6G ●リアハイトスピーカー:MonitorAudio Bronze 50-6G ●サブウーファー:MonitorAudio Silver W12

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