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  • テレビの映像モードを使いこなしてホームシアターをもっと楽しむ! 映画やドラマを見るなら「映画」モードがお薦め

    取材・執筆 / 鴻池賢三
    2023年4月28日更新

    • VGP審査副委員長
      鴻池賢三

大画面化と高画質化が進むテレビ。地上波放送を楽しむ日常使いのテレビとしてだけでなく、映画やドラマ鑑賞など、ホームシアターのディスプレイとしても好適です。高品位な映像で映画やドラマ作品を見るなら、やはり映画館と同じく、制作者の意図した色味で映し出したいもの。こんな時に重宝するのが、あらかじめ設定されている映像モード「映画」や「シネマ」モードです。

しかし、予備知識なしに、こうした「映画」や「シネマ」に切り替えると、一般的に「映像が黄色い!」という印象を持たれる方が多いようです。この記事では、その理由や映画モードの使いこなしについて解説します。

そもそも「映画」モードって?

まず「映画」や「シネマ」モードは、映像を特殊に加工するものではありません。むしろ制作基準に近く、特に「色温度」においては、D65(6500K)に設定している製品がほとんど。色温度は映像の色味や印象、主に白の色味を左右します。

また一般的に色温度が「高い」と青みを帯び、「低い」と赤味(黄色味)を帯びると理解いただければよいでしょう。規格化されているものではありませんが、大手メーカー製品の場合、例外を見たことはありません。D65は、基準の設定ともいえます。

そして、基準であるはずのD65の白が黄色く感じる理由は、テレビの標準的な出荷設定と関係があります。長らく日本の住環境では、青みが強い昼光色の蛍光灯が広く利用されてきました。また、映像は青みを帯びている方がキレイと感じる方が多いことから、テレビの色温度は高く設定される傾向があります。

現在もその名残で出荷設定、もしくは映像の「標準」モードでは色温度が高く設定される傾向があります。放送の規格基準はD65としつつも、実際にはより青みの強いD93(9300K)で運用されているのです。

  • 同じ映像でも、周囲の光環境によって「色順応」が働くと、脳では映像の色味が相対的に変化して感じられます。(この図ではイメージとして分かりやすいように、映像部の色も調整しています)

映画やドラマを楽しむ際は、ぜひご活用を!

つまり日本の視聴者の場合、基準であるD65よりも青みを帯びた映像に慣れているのです。D65の映像を見ると、相対的に「黄色」く感じるのは当然といえます。

とはいえ昨今はネット配信によって、世界中のコンテンツへ日常的にアクセスできるようになりました。さらに照明もLED化が進み、電球色に整えられるご家庭も増えています。そう、ついにテレビの色温度設定を「D65」を基準とする時代になっているのです。

「映画」や「シネマ」モードに切り替えると、慣れないうちは「黄色」く感じるかもしれません。しかし、制作者の意図した色味が忠実に再現され、時代感や太陽光による時間の感覚も正しく把握できるようになると、ストーリーをより深く理解することにも繋がるはずです。

世界のコンテンツを楽しむとき、映画やドラマを見るとき、これからはD65を基準に。映像モードを「映画」や「シネマ」に切り替えるだけと操作も簡単ですので、ぜひお試しあれ!

  • 映画モードは、制作者の意図を優先した設定が一般的です。色温度のほかにも、色域、コントラスト、解像度の強調を極力行わず、フレーム補間もオフになります。料理にたとえれば、味付けよりも素材を活かす方向。各社のモードの違いを比較してみても面白いかもしれません。

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