ホームシアター、とくにプロジェクターとスクリーンを使う場合は“光”環境が大切です。部屋の真ん中に大光源一灯では画面に光が映り込むので、ダウンライトやブラケット(壁掛け)、フロアライト(足元)、デスクライト(手許明かり)などを組み合わせるのがお薦めです。ここではホームシアター照明の定番中の定番、手もとをムードたっぷりに照らす「Arco(アルコ)」(370,700円・税込)をご紹介します。
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天井固定照明を自由にした大革命照明
「Arco(アルコ)」は、アッキーレとピエール・ジャコモ・カスティリオーニ兄弟が1962年にデザインした、イタリアの照明ブランドFLOS(フロス)を代表する名作です。ペンダント照明のようにリビングやダイニングのテーブルを照らしながら、フロアランプのように移動可能。当時これはデザイン界に大きな革命をもたらしました。
FLOSのデザイン・キュレーターであるカルヴィとブランビラは以下のように説明しています。
「街灯を観察していたアッキーレとピエール・ジャコモは、アーチの形状がどのように上から対象物に光を照らすことができるかを考え始めました。そして、天井に固定した照明器具から解放されることで、このタスクを達成できる照明器具を想像しました」
- FLOS
「Arco」
- 当時のスケッチ
ベース部分は頑丈で重量のある大理石でできており、伸び縮みする金属のアーチと、ランプシェードに開けられた穴から天井に向けてプラネタリウムのように光を放つランプシェードを支えます。
- 大理石ベースに開けられた穴は単なるデザインではなく、ホウキを差し込んで簡単に移動できるようにしたものです。
- ランプシェードにパンチングで穴をあけているところ。ランプシェードの穴は、光源から放たれる熱を放出する役割を果たしています。
- 4月14日にオープンした東京歌舞伎町タワーの「109シネマズプレミアム」のラウンジには、さりげなく「Arco」が置かれています。
60周年限定モデルも登場
この「Arco」は生誕60周年。これを受け限定モデル「Arco K」も2022個限定で発売されます(1,617,000円/税込)。
「Arco K」のアイデアの核心は、ベース部分に大理石を使う代わりに、リサイクル可能で鉛を含まないクリスタルを使うことでした。高い精度を維持するために、特別な工作機械を作る徹底ぶり。透明で美しいブロックが誕生しました。
- FLOS
「Arco K」
- クリスタルの台座部分
- 移動できる貫通穴もあり、ホウキよりも短く実用的な、麺棒を思わせる木製の支柱が付属。中央部には傷防止用の層が施されているので、移動時にクリスタルに傷がつく心配もないとのことです。