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実例

  • 専用室シアターCASE40
    ルームチューニングで理想の音を追求
    100インチ&5.1.4chシステムを導入した6畳の防音室

    取材・執筆 / 塚田真由子(ホームシアターファイルPLUS編集部)
    2023年8月21日更新

リノベーションで本格的な防音仕様

1990年代から、ブラウン管テレビと組み合わせてサラウンドシステムを構築していたというYさん。家族で寝ていた寝室が空き部屋になったことから、リノベーションで本格的な防音仕様のシアタールームをつくることを決意されたそうです。

YさんはAV機器にはお詳しかったものの、スピーカーを住宅設備にどう落とし込むかということについては門外漢。一念発起してサウンドテックに相談を持ちかけました。

  • 使わなくなった寝室をリノベーションしてつくった防音仕様のシアタールーム。
  • ホームシアターがあるのはリビングに隣り合った部屋。そこで、ドアは防音仕様にするだけでなく、前室を設けて開口部のケアを行っています。
  • 視聴位置後方には、Yさんが他の部屋で以前使用していたスピーカー、DALI 「ZENSOL 5」をリアスピーカーとして置きました。

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理想の画と音を追求するシアターの醍醐味

インストールを手がけたのは三宅宏明氏です。防音室をつくりたいというYさんの要望を受けた三宅氏は、防音工事を請け負うバドシーンの並木氏の協力のもと、6畳ほどの空間に、外部に対してDr-55程度の遮音性能を持った、ルームインルームのホームシアターをつくりあげました。

  • スクリーンはオーエスの張り込みタイプ100インチを選びました。部屋の短辺は3295mm、長辺は3660mmで、プロジェクターの投写距離等を考慮すると、100インチは際どい選択でしたが、プロジェクターの設置場所を工夫することで、Yさんの希望を叶えました。
  • プロジェクターはソニーのネイティブ4K/HDRモデル「VPL-VW575」をチョイス。防音室の前室兼収納スペースにボックスをつくり、掘り込んで設置しています。この創意工夫により、6畳100インチを実現させることができました。
  • 写真左上/トップスピーカーとしてイクリプス「TD508MK3」を4基、天吊り設置しています。防音工事の施された天井に穴を開けてしまっては、せっかくの遮音性の高さを損ねてしまうためです。
    写真左下/サブウーファーはイクリプス「TD316SWMK2」。
    写真右/フロントスピーカーはMonitor Audioの第6世代Silverシリーズ「Silver 500-6G」を選びましたが、これは比較的最近Yさんの家に迎えられたもの。Yさんの防音ルームが完成したのは2年前ですが、年々グレードアップしているからです。
  • パイオニアのプラズマテレビを愛用していたというYさんらしく、AVアンプは「VSX-LX304」、Ultra HDブルーレイプレーヤーは「UDP-LX800」というように、パイオニア製で揃えられています。

そして何といっても、素晴らしいのがルームチューニングです。遮音性を高めるということは諸刃の剣。音の逃げ道がなくなり、音響障害が出てしまうこともあります。そこで三宅氏は、まず「フラッターエコー」と呼ばれる不快な響きを抑えるために、ヤマハの調音パネル「ACP-2」を両サイドの壁、背面の壁に配置しました。また、部屋のコーナーにarteの調音材「Tetra」を配置することで、音を拡散させ、部屋に溜まりがちな低域をほぐしています。

取材当日もサブウーファーの定在波について熱い談義を繰り広げていたYさんと三宅氏。インストーラーと一緒に、ああでもない、こうでもないと理想の音や映像を追求していく。この試行錯誤の過程こそ、ホームシアターの醍醐味なのです。

  • 「フラッターエコー」と呼ばれる高域の耳障りな反響を抑えるために、両サイドの壁に加えて、背面の壁にヤマハの調音パネル「ACP-2」を設置しています。一部の吸音材では、量によっては音のバランスを崩してしまうこともありますが、フラットな吸音特性を持つACP-2を選ぶことで、バランスよく吸音しています。また、パネル上下の金具はスライド式のレールになっており、パネルの位置を自在に変えることができます。
  • 低音が極端に膨らんで聴こえる「ブーミング」という音響障害の影響を減らすため、三宅氏は天井のコーナーにarteの拡散材「Tetra」を配置。不自然な響きやこもりを解消しています。
  • 『イップ・マン 葉問』シリーズで世界的アクションスターとなった香港映画界の至宝、ドニー・イェンのファンだというYさん。『ドラゴン 危機一髪‘97』といったレアな作品も所有しています。
  • インストールを手がけたサウンドテックの三宅宏明氏。
  • 防音監修を手がけたバドシーンの並木勇一氏。
  • シアタールームは1階のリビングに隣り合ったスペースにあります。音漏れに注意しなければいけないのは、スクリーン方向に向かって右側の壁で、壁の外は庭、さらに公道があります。隣家とは比較的距離が離れているため、防音室をつくる場所として最適な選択でした。

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写真/草野清一郎

Y邸ホームシアター概要

HOMETHEATER DATA
●住宅形態:戸建/改築 ●家族構成:夫婦+子ども3人 ●ホームシアターの広さ:約6畳 ●画面サイズ:100インチ ●サラウンド:5.1.4ch ●インストール内容:機器設置、システムプランニング、ルームチューニング ほか

SYSTEM LIST
●プロジェクター:ソニー VPL-VW575 ●スクリーン:オーエス PA-100H-HF102 ●Ultra HDブルーレイプレーヤー:パイオニア UDP-LX800 ●AVアンプ:パイオニア VSX-LX304 ●フロントスピーカー:Monitor Audio Silver 500-6G ●センタースピーカー:Monitor Audio Silver C350-6G ●リアスピーカー:DALI ZENSOL 5 ●トップスピーカー:イクリプス TD508MK3 ●サブウーファー:イクリプス TD316SWMK2 ●メディアストリーミング端末:Apple Apple TV 4K ●調音パネル:ヤマハ ACP-2 ●調音パネル:arte Tetra

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