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実例

  • 専用室シアターCASE32
    照明のコントロールテクニックで優雅に演出
    120インチの要望に応え5.1.2chの埋め込みスピーカーも採用

    取材・執筆 / 塚田真由子(ホームシアターファイルPLUS編集部)
    2022年10月31日更新

ワークスペースと兼用し簡易的な防音仕様も施す

テレワークの普及により、改めて見直されているのが、個の時間を過ごす場所の大切さです。ここでご紹介するMさんもまた、在宅ワークを行うために書斎をつくったとのことですが、そのなかにはホームシアターやバーカウンターなど、長い在宅時間を快適に過ごせるような工夫が満載です。

「家づくりの計画が進んでいる時、趣味で演奏しているサックスの練習用に軽い防音対策を施した部屋をつくることにしたんです。ちょうどホームシアターもつくりたいと思っていたので、同じ部屋につくることにしました」とMさん。

  • 約10畳の細長い書斎に設けられたホームシアター。ワークスペースの奥の窓の前に120インチスクリーンが下がっており、在宅ワークの息抜きに映画鑑賞を楽しめるようになっています。
  • スクリーンを上げると、シックな色味のバーチカルブラインドが現れます。窓にはシャッターもあるため、遮光対策もバッチリ。
  • Mさんはアルトサックスの演奏を楽しめるように、ハウスメーカーの三井ホームに依頼し、簡易的な防音仕様を施したといいます。内窓を使った二重サッシにしたことで、窓の遮音性能を高めています。

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動線の妨げにならないように機器を収納

ホームシアターのインストールを手がけたのは、AV Kansaiの岩元秀明氏。在宅ワークを行う書斎も兼ねているため、動線の邪魔にならないようにAV機器を露出させないことがコンセプトだったといいます。

そのテーマどおり、機器の収納はまさに完璧。スクリーンはなるべく大画面がほしいというMさんの要望に応え、120インチを実現。5.1.2chのスピーカーは埋め込みタイプ。サブウーファーはキャビネットに、AVアンプなどの機器類は別室に収めているため、動線を妨げることが一切ありません。もちろん配線はすべて隠しています。

  • スクリーンは、この部屋に収まる最大サイズ120インチ。部屋の左側には東芝の4K有機ELテレビ「55X8900K」が壁掛けされています。
  • プロジェクターは、DLP方式を採用するJVCの4K/HDR対応モデル「LX-NZ3」を天吊りで設置しています。視聴位置後方は、細長い空間で、なおかつ長方形ではない独特の形状ながら、スピーカーなどを設置しています。
  • フロントおよびセンタースピーカーは埋め込みタイプで、Monitor Audio「C265」を採用。岩元氏は施工の途中で内装を確認し、天井のトーンに合うようにスピーカーのグリルを黒に塗装しました。サブウーファーはKEF「Kube 10 Subwoofer」を導入。スクリーン脇のラックに収まるように、サブウーファーを分解してキャビネットを作り直しています。
  • AVアンプやUltra HDブルーレイプレーヤーなどは、視聴位置後方にある収納部屋に収めています。IRレシーバーを使って、リモコンから送信される赤外線の信号を直接信号の届かない場所へも中継しているので、機器がバックヤードにあっても、操作には問題ありません。

照明プランニングにもプロの技が光る

なかでも、Mさんが感動したのは照明とコントローラーです。iPadの「プロジェクターで視聴する」をタッチすると、ホームシアターの機器が動作をはじめるのですが、照明がふんわりと暗くなっていく様子に、Mさんは「まるで映画館みたい」と驚いたといいます。

ユニークなのはそればかりではありません。在宅勤務、ホームシアター、休憩など、全部で6つの照明シーンをプログラミングし、ワンタッチで呼び出せるようにしています。「映画を観ていて休憩したいと思ったら、休憩用の照明シーンを呼び出すと、バーカウンターのあかりが灯り、ドリンクをつくれるようになっているのです。岩元さんの『かゆいところに手が届く』提案に感動しました」とMさん。

  • 感動体験を高めるため、岩元氏は照明プランニングにも携わりました。写真は休憩用の照明シーン。左側のバーカウンターがほのかに明るくなり、ドリンクをつくれるようになっています。
  • 写真上はテレビを楽しむ際の照明シーン。写真下は在宅勤務用の照明シーンで、部屋全体が明るくなり、デスクの上の照明の色味が青みを帯びた白色になります。
  • 調光装置にはパナソニック「リビングライコン」を採用し、照明のシーンを簡単に切り替えられるようにしています。ホームシアターの機器や照明はグラモ「iRemocon Wi-Fi」を使って操作。iPadによるタッチ操作で一括操作することも可能です。

さらに岩元氏は、暮らしを豊かにする提案も盛り込みました。リビングにあるAVアンプを使って、キッチンとダイニングへの音楽配信を実現しているのです。

  • リビングには東芝の77インチ有機ELテレビ「77X9400」によるテレビシアターも楽しめるようにしています。
  • 写真のダイニングのほか、キッチンにもBGM用スピーカーを配置。心地よい音楽を気軽に楽しめます。
  • 『スター・ウォーズ』シリーズのファンだというMさん。まるで映画館のような音響と映像、照明に大満足だと語ってくれました。

当初は家電量販店でAV機器を購入しようと思っていたというMさんも、インストーラーならではの提案力の高さに、「プロに頼んでよかった」と満足しているとのことです。機器を設置するだけでなく、感動体験を追求するために、微に入り細を穿つ提案をする。インストーラーのきめ細やかな心配りとテクニックに驚かされた取材でした。

  • インストールを手がけたAV Kansai大阪・堺店の岩元秀明氏

写真/大野 博

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M邸ホームシアター概要

HOMETHETER DATA
●住宅形態:戸建/新築 ●家族構成:夫婦/子ども ●ホームシアターの広さ:約10畳 ●画面サイズ:120インチ+55インチ ●サラウンド:5.1.2ch ●インストール内容:機器設置、システムプランニング、照明プランニング、かんたん操作 ほか

SYSTEM LIST
●プロジェクター:JVC LX-NZ3 ●スクリーン:オーエス 120インチ ●有機ELテレビ:東芝 55X8900K ●AVアンプ:デノン AVR-X4700H ●Ultra HDブルーレイプレーヤー:ソニー UBP-X800M2 ●フロントスピーカー:Monitor Audio C265 ●センタースピーカー:Monitor Audio C265 ●リアスピーカー:Monitor Audio C265 ●トップミドルスピーカー:Monitor Audio C265 ●サブウーファー:KEF Kube 10 Subwoofer ●学習リモコン:グラモ iRemocon Wi-Fi ●調光装置パナソニック:リビングライコン

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