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実例

  • 専用室シアターCASE47
    最高峰を目指してTHXシアターを再現
    機器も内装も防音も映画館仕様に

    取材・執筆 / 井田有一(ホームシアターファイル編集部)
    2024年5月27日更新

「THXシアター」を自宅に再現したい

「ホームシアターをつくるなら映画館のようにしたい」。ホームシアターファイルの皆さんから、この言葉はよく耳にしますが、ここ斉田邸ほど「映画館のミニチュア」をリアルに再現した空間は稀です。しかも「THXシアター」を念頭に置いて計画したというから驚きです。

オーナーの斉田さんは学生時代からのシネフィルで、ホームシアターをつくるなら、絶対に劇場仕様にしたいと考えていました。そんなオーナーの希望を受けたアバックは、スペシャルチームを編成。プランニングは横浜店の渡邉裕介氏が、配管指示図面の作成などインストール全般は栗原 淳氏が、そして防音室設計は一級建築士の関口彰洋氏が担当。機器と空間の両面から、このミニシアター・プロジェクトをサポートしました。

  • ご主人は大音量派とのことですが、以前の住まいでは大きな音は出せなかったといいます。念願かなって「誰にも気兼ねせずに映画を楽しめる」と優しい笑顔を浮かべていたのが印象的でした
  • 映画館らしくスクリーンには緞帳を用意。側面の黒いカーテンとも連動し、電動で開閉します
  • 視聴位置は階段状になっており、高級車をモチーフにしたAshleyのリクライニングソファが並びます

180インチ大画面から響くサウンド

完成した空間は一見して「映画館」とわかるほど、非常に完成度が高いです。壁一面に張り込まれたスクリーンは180インチ。劇場と同じサウンドスクリーン仕様とし、その裏側にはTHX認証のKEFの埋め込みスピーカーがずらりと並びます。白眉なのは3本1組としたスピーカー構成をフロントとセンターに採用した点で、大画面全体からサウンドが届くように工夫しています。

これは渡邉氏がメーカーとやり取りを重ね、設置方法を吟味した結果です。そしてプロジェクターもド迫力のサラウンドに負けない8Kモデル、ビクター「DLA-V90R」を選びました。

  • 施工中に撮影したサウンドスクリーンの裏にあるスピーカーの様子。3本1組でフロントとセンターとを割り振る構成。なお4つあるシルバーのスピーカーはサブウーファー
  • 青い建築化照明が仕込まれている下がり天井部分に、トップフロント/トップリアスピーカーを埋め込んでいます
  • サラウンドスピーカーはKEF「Ci4100QL-THX」を埋め込んでいます。サランネットも壁面の色に合わせて独自に塗装しています
  • プロジェクターはビクター「DLA-V90R」。できるだけ大画面にしたいという斉田さんの要望に応えるため、投写距離を稼ぐために壁面の一部を掘り込んで設置しています

高い遮音性能と開放感を両立

機材だけではなく空間設計も見事。特に防音仕様は、室内で120dB以上というジェット機の音くらいの爆音を出しても、外では測定不能になるほど極めて高い遮音性能を持ちます。しかも、高い遮音性能を実現するためには壁や床、天井を厚くするのがセオリーですが、天井高は内寸で約3mをキープ。決して狭くない、開放的な空間です。

  • 外につながる窓は2重サッシになっていますが、空気層になる隙間は人が入れるほど。これは構造上の柱に合わせて窓の位置を揃えたことが1番の理由ですが、この隙間は広い方が遮音には有利。その効果もあり、非常に高い遮音性能を実現しています

「わが家は傾斜地にありますので、少し坂を平らにして整地すれば天井を高くできると考え、図面作成時もまずシアタールームの場所を決めてから、他の部屋のレイアウトを決めていったんです」と、微笑む斉田さん。ちなみに取材後、B’zのブルーレイを少しだけ視聴。ライブの追体験とはこういうことか! と、度肝を抜かれたことを付け加えておきます。

  • 斉田さんはホームシアターのある部屋に入るまでの動線までこだわっています。壁には映画のポスターだけでなく、自分で設計してオーダーメイドしたネオン管まで飾ってあります。ドアの横には小さな冷蔵庫が置かれており、お菓子やコーヒーが飲めるスペースも完備する徹底ぶり!
  • 斉田邸ミニシアターの機器のほとんどを、iPadを使って操作できるようにしています。プロジェクターやプレーヤー、アンプはもちろんのこと、カーテンの開閉や照明まで簡単に操作できます
  • 機器はドア近くにスペースを確保して設置。操作性を重視してオープンラックを採用
  • アバック横浜店のインストーラー、渡邉裕介氏
    今回の事例ではプランニングを担当
  • アバック横浜店のインストーラー、栗原 淳氏
    今回の事例ではインストールを担当
  • 一級建築士の関口彰洋氏
    防音室の設計と施工を担当

そのほかの事例>>>「ヨーロッパ風石造りの個人劇場」を見る

写真/広井一成

斉田邸ホームシアター概要

ROOM DATA
●住宅形態:戸建/新築 ●家族構成:夫婦 ●ホームシアターの広さ:約27畳 ●画面サイズ:180インチ ●サラウンド:7.2.4ch ●インストール内容:機器設置、システムプランニング、防音工事、かんたん操作、照明プランニング ほか

SYSTEM LIST
●プロジェクター:ビクター DLA-V90R ●スクリーン:イーストン E8K-KP180HD ●Ultra HDブルーレイプレーヤー:パナソニック DP-UB9000 ●Ultra HDブルーレイレコーダー:パナソニック DMR-4W401 ●AVアンプ:デノン AVC-X8500HA ●マルチチャンネルパワーアンプ:ヤマハ MX-A5200 ●フロントスピーカー:KEF Ci200RS-THX×3 ●センタースピーカー:KEF Ci200RS-THX×3 ●サラウンドスピーカー:KEF Ci4100QL-THX ●サラウンドバックスピーカー:KEF Ci4100QL-THX ●トップフロントスピーカー:ユニソニック AHT-650IW ●トップリアスピーカー:ユニソニック AHT-650IW ●サブウーファー:KEF Ci3160RL-THX×4 ●ソファ:Ashley Party Time Power Reclining Sofa

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定休日:火曜日、水曜日
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