VGP phileweb

レビュー

  • BLOOMSBURY LAB「Liberty Wide Pro」 美と質を備える革新のスクリーンブランドBloomsbury Labの魅力に迫る【PR】 VGP2024 SUMMERで部門金賞&特別賞をW獲得

    取材・執筆 / 鴻池賢三
    2024年8月7日更新

    • VGP審査副委員長
      鴻池賢三

韓国発のスクリーンブランドBloomsbury Lab(ブルームズベリー ラボ)が日本上陸。劇場用スクリーンを手がけてきたノウハウをもとに、家庭でも「映像と音の一体化」によって映画館のような体験をかなえるスクリーンを提案します。ここでは、ISF/THX認定ホームシアターデザイナーである鴻池賢三氏が、プロの視点でブランドの独自の魅力を紐解きます。同時に見えてくる、同社の“音が出るスクリーン”のメリットと唯一性にも注目です。

音が出るスクリーンが日本に上陸

韓国発のスクリーンブランドBloomsbury Lab(ブルームズベリー ラボ)。劇場用スクリーンで実績を持つ同社は、家庭用製品として2023年末に“音が出るスクリーン”「Liberty 52」(52インチ)で日本初上陸を果たし、2024年よりホームシアター用スクリーン「Liberty Wide Pro」を発売開始しました。

  • スクリーン
    Bloomsbury Lab
    Liberty 52」(52インチ)
  • 「Liberty 52」はフロントLRの2.0ch分のアクティブスピーカーを内蔵したスタンド付きのスクリーン。映像と音を一体化できるだけでなく、モダンでスタイリッシュなデザイン性も魅力です

「Liberty Wide Pro」は、主に超短焦点プロジェクター向けの抗外光スクリーン。パッシブタイプの3chスピーカー機能を内蔵し、美しくスマートなホームシアターを提案します。オーディオ・ビジュアルの総合アワードVGPでは、その先進的なコンセプト、画質そして音質も高く評価され、部門金賞のみならず特別大賞が授与されました。

ここでは、そんな「Liberty Wide Pro」を生んだBloomsbury Labというブランドのバックボーンや、同製品でこそ実現できるシアター像を紹介します。

プロお墨付きの技術と品質を持つ

Bloomsbury Labは韓国発祥のスクリーンブランド。同社CEOのキム・ヨソプ氏が創設した劇場用スクリーンメーカーも擁し、韓国国内に自社工場を構えています。劇場用はいわゆるハイゲインのシルバースクリーンで急成長を遂げ、韓国国内の劇場で同社のシェアは70%を超えるといいます。

ここで韓国の映画館事情にも触れておきましょう。2022年の統計によると韓国のスクリーン数は3,322で、日本の同3,634に近いです。人口差を加味すると、韓国で映画館は市民の生活により根付いていると考えられます。実際にソウルの町を歩いてもシネマコンプレックスはよく目に留まり、3面270度の視野を特徴とする「ScreenX(スクリーンエックス)」館も多いです。実はScreenXも2012年に韓国の「CJ CGV」が開発したものであり、国としてエンターテイメントや映画に懸ける熱量の高さが想像できます。

  • 韓国の大手映画館「MEGABOX」に導入されている同社製スクリーン。韓国国内の劇場で、同社のスクリーンはシェア率70%を超えるといいます

そうした映画熱の高い韓国で成長した同社のスクリーンは、日本でもシネマコンプレックス大手の「T」や「I」で導入が進んでいるそうで、映画館に足しげく通う読者なら、すでに同社のスクリーンで映画を鑑賞しているかもしれません。

劇場用スクリーンメーカーとしては新興ブランドといえる同社が急速にシェアを伸ばしたのは、品質とコストの両立が評価されたため。韓国での成功は、生産地と消費地が近い「地の利」もあると考えられますが、劇場用スクリーンとして採用されるには、ユニフォーミティ(輝度均一性)や耐久性などにおいて、科学的なクオリティ評価をパスする必要があり、技術と品質の両面で“プロお墨付き”と考えてよいでしょう。

  • Bloomsbury Labは、2003年に韓国ソウルで創業しました。ロボットを導入した近代的な設備を備える工場で自社生産をおこなうことにより、安定した品質を確保。機械化と大量生産はコストの低減にもつながります

そんな劇場用のスクリーンにも精通するBloomsbury Labが家庭用スクリーンを開発する意義とは? 技術資産の活用はもちろんのこと“発想”や“思想”も興味深く、それは「映像と音の一体化」です。

映画館では通常、音響透過型スクリーンを使用し、後背にフロントスピーカーを設置することで、映像と音の位置を一致させています。これは、視野を覆う大画面で没入感を得る最大のポイントといえるでしょう。同社はこの考え方を「Cinematic Sound」と呼んでいます。

「Liberty Wide Pro」では、幕面の基材となるアルミパネルにアクチュエーター(加振器)を取り付け、「映像と音の一体化」を実現。単にスピーカーの設置問題を解決するためだけではなく、映画館の体験をホームシアターにもたらすことが真のねらいなのです。

“映像と音の一体化”の効果を体感

  • 超短焦点用スクリーン
    Bloomsbury Lab
    「Liberty Wide Pro」(102インチ/120インチ)

「Liberty Wide Pro」は主に超短焦点プロジェクターとの組み合わせを想定した抗外光スクリーンに、フロントL/C/Rの3ch分のパッシブスピーカー機能を搭載する壁取り付けタイプとなっています。

スクリーン表面には庇のような構造体を備え、主に天井照明など上方からの外光を効率良く排除。明るい部屋でも、超短焦点プロジェクターによって下方から打ち上げられた映像光を、高コントラストかつ色鮮やかに見ることができます。

幕面はダークグレーに見えるシルバータイプで、これは同社が劇場用スクリーンで培った技術を投入し、独自製法によって金属粉を塗装したもの。本来は一般的なフロントプロジェクターと組み合わせても明るく高コントラストな映像が得られます。本製品ではアルミパネルを採用しており平滑性が非常に高いので、画面の微細なたわみと、それによる影が気になりやすい超短焦点プロジェクターの弱点を補ってくれる点で、より好相性といえます。

  • 超短焦点プロジェクターはスクリーン面に対して投写光を下から急角度で打ち上げる機構上、画面の微細なたわみが弱点となる場合があるため、歪みや凹凸が少ないパネルタイプであることはメリットといえます

スピーカー機能はアクチュエーターでアルミパネルを振動、つまりパネル面が振動板となって音が出る仕組み。通常のパッシブスピーカーと同じように、一般的なAVアンプで駆動することができます。外観としては、幕面を囲う細縁のアルミフレームが美しく、洗練度を求めるリビングシアターに好適です。別途フロントスピーカーを設置する必要が無いので、インテリア全体としてもなおさら適しています。

実際に体験すると、明るい部屋でもナチュラルかつ色鮮やかな映像は文句なしで、サウンド体験もハイクオリティ。音質だけに着目すると大型の実スピーカーには一歩及びませんが、映像と一体化したセリフや、サラウンド感がスピーカーの存在そのものを忘れさせ、作品に没頭させてくれます。とくに、映画で大切なセリフが肉厚かつ明瞭に感じられるのが心地よいです。

  • スクリーンの厚さは約4cm。本体背面に搭載された9基のアクチュエーター(加振器)が、ポリカーボネート製のパネル全体を振動板とすることで音が出る仕組みです。スピーカー構成は3chで、L/C/Rに各3基のアクチュエーターが充てられています

利便性だけじゃない画音の力がある

当初はスピーカー内蔵のスクリーンと聞いて、利便性を重視した簡易的な製品と想像していました。しかし実際に体験すると、音質は共振を感じないクリアなもので、スピーカーとしても高性能。技術面での奥深さも感じられて興味深い体験でした。何より、ホームシアターではハードルが高かった映像と音の一体化を実現し、没入感の高さは新時代を予感させるものです。映画館発想の「Cinematic Sound」。単なる問題解決型の製品ではなく、新提案として今後の展開も楽しみです。

SPEC

「Liberty Wide Pro」
¥OPEN(実勢価格¥646,000前後/税込)

●サイズ展開:102/120インチ 【120インチの場合】 <スクリーン部>●ゲイン:0.65 ●視野角:70度 ●アスペクト比:16:9 ●画面サイズ:2630W×1480Hmm ●外形寸法:2670W×1510H×42Dmm ●質量:30kg <スピーカー部>●スピーカー構成:3ch ●アクチュエーター:9基 ●インピーダンス:4Ω(1kHz 1V) ●定格入力:40W ●最大入力:80W ●再生周波数帯域:20 – 20,000Hz