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実例

  • リビングシアターCASE68 子どものための家で実現した“湯上がり映画館” 開放的なリビングに美しくカジュアルにインストール

    取材・執筆 / 井田有一(ホームシアターファイル編集部)
    2024年9月17日更新

家族が集まるリビングがメインになる家づくり

育ち盛りの男の子3人が元気にリビングを駆け回る米嵩邸。ご主人の理さんは、仕事の関係で熊本に転居。ご家族で長く賃貸に住んでいましたが、家が手狭になってきたこともあり、庭のある住まいづくりを検討していたそうです。

「私たちは『子どもための家』をつくりたかったのです。庭がほしかったのも5月の節句の時に、のぼり旗を立てたかったからです。思い出を多くつくってあげたいですし、子ども達が喜ぶことをしてあげたかったんです」と、家づくりへの想いを、目を細めながら語る理さん。

そのため奥様の智子さんと数多くのモデルハウスを見学したといいます。当初、ホームシアターは漠然とした選択肢のひとつでしたが、あるモデルハウスで一変。長男の光雲(てるも)くんが大画面にかぶりつきになっていたのです。そこで、住まいの設計を依頼した熊本の建築集団「空楽」の直理正光氏に相談を持ちかけました。インストールを担当するダイナミックスカスタマイズの小山拓郎氏とは、直理氏を通じて知り合うことに。

「リビングはできるだけ広く確保しています。一部は吹き抜けにして、掃き出し窓を開けばウッドデッキにもすぐ出られます。この開放的なリビングがメインの家です。また、わが家に仕切りはあってもいわゆる個室はありません。ですので、シアターのためにひとつだけ個室をつくるよりか、家族が集まるリビングにある方がよいと思いました」(理さん)。

  • 吹き抜けの高い天井が特徴の開放的なリビングで、家族一緒に楽しむのが定番スタイル
  • 子どもたちはジュースやポップコーン、大人たちはお酒を用意して一緒に楽しみます。家族が同じコンテンツを観ることで、思い出づくりにもなります!

ホームシアターはアイデアを駆使して美しく設置

小山氏は、こうした開放的な住まいの雰囲気はそのままに、機器を美しくインストールすることを心がけました。スクリーンは100インチ。そのケースを隠すスクリーンボックスにスピーカーを設置することで、床に機材が並ばないように配慮しています。

また、最難関だったのはプロジェクターの設置で、吹き抜けの高い天井からは投写できないし、天高が低い廊下から投写しては機材の存在感が主張してしまいます。その問題は化粧梁をつくることで解決しましたが、そうした細かな調整も設計士と連携が取れたから実現できたことだと、小山氏は振り返ります。

  • スクリーンを利用する際は裏の採光用窓のロールカーテンを下げるなど、光の量を調節して使っているそうです。そのぶん、プロジェクターをレーザー光源のモデルを選び明るさを確保しています
  • スクリーンを上げるとテレビが壁掛けされています。ご覧の通り窓を大きく確保した開放的な空間なので、日中は照明がなくともかなり明るくなっています。そのため、昼間はテレビを活用しつつ、音楽を再生することもあるとのこと
  • プロジェクターの設置場所は小山氏が最も頭を悩ませたポイント。プロジェクターには投写距離など設置の自由度には限りがあるため、吹き抜けの中央に化粧梁を設けてケーブルの通線もキレイに収まるようにしています
  • プロジェクターを背面から見た様子。ケーブルがレールの内側にキレイに隠れている様子が見て取れます。ホームシアターをつくる際、参考にしたくなるアイデアです
  • スクリーンは特注の逆巻き仕様になっていますが、これはスクリーンケースの大きさをできる限り小さくするために採用しています
  • AVアンプやレコーダーなどの機器は造作したラックに収納しています。ちなみにこのラックの場所はリビングの角で、子どもたちが勉強をするカウンターの下に隠されています
  • 造作家具にサブウーファーが見事に格納されていますが、ルーバーのある扉を開けると、AVアンプなどの操作を受ける統合受光部が隠されており、ソファからスクリーンに向けてリモコン操作ができるようにしています。

お風呂から上がったら“映画館ごっこ”がはじまる

映画などを腰をすえて楽しむ場合、米嵩さんご一家のルーティンは決まっているといいます。それはお風呂です。というのも、ご一家の寝室はリビングのすぐ隣の和室。たとえ寝落ちしてしまったとしても、そのまま寝かしつけられるように寝室を整えてから映画館ごっこを始めるのだといいます。

「日中でも子どもたちは、好きなYouTubeを思い思いに観ていますね。次男の弥月(みつき)は踏切のアニメを好んで観ています。三男の朔(さく)はトーマスが好きです。ただ、ドラえもんやコナンなどの映画を観るときは少し準備します。日が暮れる前には子どもたち全員にお風呂に入ってもらい、大人たちは晩御飯を用意します。子どもたちがお風呂から上がったら、それが“映画館ごっこ”の始まりの合図です」(智子さん)。

長男の光雲くんが弟たちをお風呂に入れて、子どもたちの準備が整えば映画の上映がスタート! Amazon Prime Videoでドラえもんやコナン、クレヨンしんちゃんなど楽しむそうです。時には裸のまま映画に夢中になってしまう日も。これも家だからできる醍醐味だと喜ぶご夫婦。子どもたちと過ごす毎日が思い出になる素敵な暮らし、シアターはその一助になっているに違いありません!

  • 左上から長男の光雲くん、次男の弥月くん、三男の朔くん。映画が始まると、こんな表情を見せてくれます
  • インストールを手がけたダイナミックカスタマイズの小山拓郎氏

写真/草野清一郎

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米嵩邸ホームシアター概要

HOME THEATER DATA
●住宅形態:戸建/新築 ●家族構成:夫婦+子ども3人 ●ホームシアターの広さ:約26畳 ●画面サイズ:100インチ+40インチ ●サラウンド:5.1ch ●インストール内容:機器設置、システムプランニング、造作家具アドバイス、音楽配信 ほか

SYSTEM LIST
●プロジェクター:JVC LX-NZ3 ● スクリーン オーエス:EP-100HM-MRK1 WF204/(特注) ●液晶テレビ シャープ:LC-40Z5 ●ブルーレイレコーダー:パナソニック DMR-4W202 ●AVアンプ デノン:AVR-X4700H ●フロントスピーカー:CABASSE EOLE4 ●センタースピーカー:CABASSE EOLE4 ●リアスピーカー:CABASSE EOLE4 ●サブウーファー:KLIPSCH R100SW ●メディアストリーミング端末:Apple Apple TV ●天吊り金具:シアターハウス スパイダー2 ●キッチン用スピーカー:DALI Phantom 60S

INSTALL SHOP
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〒861-8039
熊本県熊本市東区長嶺南1-2-15 ヘンリーハイツ1F
TEL:096-383-6109
営業時間:9:00 – 18:00
定休日:水曜日
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ARCHITECT
空楽
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直理建築設計事務所
http://www.tsuburahome.com/