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  • 閉めきりがちなシアタルームに癒やしのアロマ!今日の気分で「&hugs」を調合 フレグランスづくりは音づくりともどこか似ている!?

    取材・執筆 / 遠藤義人
    2025年5月2日更新

    • ホームシアター・コンシェルジュ
      遠藤義人

部屋を閉めきり空気が籠もりがちなホームシアターでは、空気環境が心理面に強い影響を与えます。今回は、去る2月12日から14日に東京ビッグサイトで開催された第17回LIFE × DESIGN 春2025で目に留まった(株)大香の「& hugs diffuser set(アンド ハグス ディフューザー セット)」を紹介します。フレグランスの調合の仕方を訊けば、まるでオーディオスピーカーの音づくりにも似た興味深い世界、なんて思ったり……。

香りや感情を色で可視化するフレグランス

その日の気分で色と香りを選ぶこのホームフレグランス「&hugs」は、ネガティブな感情を受け止めてハグし、肯定してエールを送ってくれる “癒やし” のアロマ。わたしたちホームシアターファンなら思いきり泣きたいときや元気を出したいときに観る映画・聴く音楽があるように、本来視覚で捉えることのできない香りや感情を色で可視化するというコンセプトは、クリエイティブディレクターでデザイナーのShizuka Tatsuno Studio代表・辰野しずかさんによるもの。

ガラスを切削して表面に擦り加工を施したアロマディフューザー本体に、香料を吸い上げる阿波和紙の竹和紙でできたフィルターをセットして使います。

  • ディフューザー
    大香「&hugs diffuser set
    予価 ¥33,000(税込)/4月28日発売予定
    セット内容:ベースノート香料50ml、ベースノート香料3種各10ml、ガラス器、紙フィルター30枚
    本体サイズ:Φ66×H100mm

その日の気分でふたつの香料を掛け合わせ

[1]まず本体に “等身大のあなたをハグする” 黄色のBase Note(ベースノート)「Hugs(ハグスル)」をスポイトで3〜5回注入。

柔らかいパウダリームスクと繊細で上品なホワイトフローラルが、これから追加するTop Note(トップノート)を優しく受け止め、安心感をもたらします。

[2]次にTop Noteを加えるのですが、その日の気分に合ったものを後述の3種類の中から選び、5〜10滴垂らします。

・「Hasty(オッチョコチョイ)」:情熱と活力を呼び覚ます赤色のTop Noteは、気分が落ち込んでいるとき、前向きに行動できるよう支えてくれます。オレンジスウィートの甘さとビターオレンジリーフのほろ苦さが、華やかなネロリと奥深く神秘的なフランキンセンスと溶け合い、軽やかさをもたらしてくれます。

・「Lazy(グウタラ)」:心に穏やかな癒やしを与える緑色のTop Noteは、やる気を失っているとき、気分を取り戻す手助けをします。ヒノキの森林浴を思わせる清々しい香りがリフレッシュとリラックスをもたらし、パチュリの土や大地を感じさせる香りが心を落ち着かせ、サンダルウッドの甘くウッディな香りが深い安らぎへと導きます。

・「Sensitive(キニシチャウ)」:感覚を研ぎ澄ませ刺々しくなった心を優しく包む青色のTop Noteは、心配事ばかりで辛いときや集中したいときにちから強く後押ししてくれます。ジンジャーとブラックペッパーのピリッとしたスパイシーな香りに、ペパーミントとユーカリの清涼感、サンダルウッドの甘く優しい温もりが重なります。

[3]香料が入った本体に、紙フィルターをザラザラの面を外側にして丸め、挿入します。

これによって香料が吸い上げられ、ブレンドされた香りとともに、MIXカラーがグラデーションを描き広がっていきます。あたかもこじれていた感情がほどけていくように、香りも変化しつつ、1〜2週間香りを持続します。

  • 画像右にある赤が「Hugs(ハグスル)」×「Hasty(オッチョコチョイ)」、真ん中のグリーンが「Hugs(ハグスル)」×「Lazy(グウタラ)」、左のブルーが「Hugs(ハグスル)」×「Sensitive(キニシチャウ)」
  • 「& hugs diffuser set」(画像はプロトタイプのもの)

暮らしの中でフレグランスが果たす役割とは?

この「&hugs」を開発した(株)大香は、1965年設立の総合商社。フレグランス事業を柱に歩みを進め、現在は「人々のWellbeing Lifeサポート」を使命としたさまざまな事業を展開しています。お話を伺うにつれ、わけても興味惹かれたのが、同社の発行する「HOME FRAGRANCE TREND BOOK」。世界のフレグランスやライフスタイルのトレンドを分析し、将来を見据えた日用品としてのホームフレグランスの役割を提言しています。

  • (株)大香の発行する「HOME FRAGRANCE TREND BOOK」

2022年版のCOLUMNには、音や香りを色や形に感じられる「共感覚」の持ち主が全人口の4%ほどいること、“音を聴くと香りが浮かんだ” という19世紀のイギリスの科学者・調香師セプティマス・ピエスが46種の香りを音符に当てはめた「香階」を表現したことが記されています。これに依拠して「ドミソ」の香りを調合するとローズ、ミモザ、ネノリのブレンドとなり美しい香りの調和が生まれるというのです。

また、2024年版には “AI時代の人間力” について分析しており、さいしょにツンと強烈に人を印象づける香りの部分が欠けた、いわば不完全な「Beloved」の香りが、自分らしさを解放し等身大の自分を受け入れてくれるものとして紹介されています。

これこそが今回の「&hugs」プロジェクトのベースとなっています。それはまるで、人の耳に先に到達する高音域に人が敏感に反応し、人の声を担う中音域に親しみを求め、しっかりした低音域が音楽の基盤を支えている…というオーディオの話に似ているな等と思いながら、興味深くお話を聞いた次第。このあたりは改めて取り上げたいところです。

[会社概要]
株式会社大香
東京都中央区銀座3-5-8
TEL:03-3567-8456
FAX:03-3535-2795
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