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レビュー

  • FOCAL「FOCAL CIシリーズ」 ニッポンの住宅に合う
    FOCALの埋め込みスピーカー
    インストーラーが語る③「ホームシアター工房」&「マックスオーディオ」

    取材・執筆 / 井田有一(ホームシアターファイルPLUS編集部)
    2022年3月25日更新

FOCAL(フォーカル)の埋め込みスピーカー「FOCAL CIシリーズ」が2021年末に日本に上陸しました。そこで3回にわけて、いち早く試聴したホームシアター・インストーラーの方にFOCAL CIシリーズの印象を伺いました。第三回目は東名阪に拠点を構える「ホームシアター工房」の中川英久氏と九州を代表する老舗オーディオショップ「マックスオーディオ」の大原由奨氏です。

  • FOCAL CIシリーズは壁埋め込み、天井埋め込みなどホームシアター構築に必要な様々な設置方法を選べます。

前回はこちら>>>FOCALの埋め込みスピーカーは2ch再生も優秀

ホームシアター工房中川氏が語る「設置性の高さ」

生活動線の確保であったり、狭小空間であったり、埋め込みスピーカーを使う場合は設置に制約が多い場合もあり、インストーラーの立場では設置方法は気になるポイントです。その点、FOCAL CIのトップエンド「1000シリーズ」とミドルクラスの「300シリーズ」は工具不要で固定できるので便利だと感じました。

  • FOCALは工具なしで取り付けできる「イージー・クイック・インストール(EQI)」システムを、1000シリーズと300シリーズに採用します。先にフレーム部を天井や壁に固定した後、スピーカー部を押し込むか回転させるかで取り付けができる仕様です。

バックボックス付きのモデルがラインアップされるのもいいですね。音質の面でも有利に働きますが、階上に音が伝わってしまうのを防ぐ意味でも重要です。バックボックスがないタイプを使う場合は、建築業者に依頼してグラスウールを入れた特注のボックスを用意してもらう必要がありますので、天井の耐荷重などの面でもバックボックス付きの方がシンプルですし、コスパも高いです。

  • 写真は「1000 ICLCR5」(¥305,800/税込/1本)の例ですが、スピーカーの背面に伝わる音を抑制するバックボックスが標準装備されているモデルもラインアップします。

また、バックボックスがないモデルでも300シリーズと100シリーズ、「1000 ICW6」には防火キャビネット「Fire Backcan」がオプションで選べて取り付けできる点も頼もしいですね。メーカー純正のバックボックスが取り付けられるメリットに加え、安全性もプラスされるのは心強いです。

  • 耐火性のスピーカーエンクロージャー「Fire Backcan」(¥25,300/税込)。ケース内部には絶縁材40mm厚のセラミック・ファイバーで覆われます。またFire BackcanはアメリカのUL規格の基準を満たしていますが、日本の耐火性能基準を満たせるかは未確認となります。耐火構造住宅でご使用になる際は、施工会社にご確認をお願いいたします。
  • ホームシアター工房の中川英久氏は、ビジュアル機器メーカーや工事会社に勤務していた経験をもつ施工の知識が豊富なインストーラーです。

マックスオーディオ大原氏が語る「高いポテンシャル」

結論から申しますと「かなりいい」です。今回私は「1000 IWLCR Utopia」のデモ機をお借りして、埋め込まず壁に立て掛けた状態で試聴したのですが、それにも関わらずフロア型と同様に高いレベルのサウンドを鳴らすので驚きました。FOCALは芳醇な低域再生に特長がありまして、その傾向をよく表現できています。

  • 今回大原氏は試聴した様子はこちら。マックスオーディオ小倉店のシアタールームにて、壁に「1000 IWLCR Utopia」を立て掛けて試聴しました。ちなみにこのデモルームはややデッド寄り、音を吸収する環境とのことです。

1000シリーズの壁埋め込みスピーカーは、複数のスピーカーを組み合わせることができます。今回は、低域再生を補強する「1000 IWSUB Utopia」も組み合わせて試聴しましたが、この構成ですとかなり低域が出ます。2ch再生で使うには十分すぎるほどの低域再生は、素直に魅力だと感じました。また「1000 IWLCR Utopia」は、帯域別に用意されているジャンパーケーブルを差し替えるだけで、各帯域の音圧調整ができます。埋め込んだ後に好みのサウンドへと追い込めるのも良い点ですね。

  • FOCAL CIはジョイントして再生パフォーマンスを向上させることができます。さらに写真のようにサウンドスクリーンの背面に埋め込むスタイルなら、日本に多い6畳間など狭小空間でも大型のスピーカーを埋め込めます。
  • 「1000 IWLCR Utopia」は、高域はプラス・マイナス3dB、中域、低域はプラス・マイナス2dBの音圧調整ができます。さらに、低域補強用のウーファーを組み合わせた際に使用するクロスオーバー・ネットワークも搭載します。

今回の試聴では様々なコンテンツを試聴しました。シンフォニーから最新のPOPSまで聴きましたが、個人的にハマったのはベティー・フー『I Love You Always Forever』。定位が非常に良く、ボーカルに実在感があるところはHi-Fiオーディオらしい表現力です。また、今回はアキュフェーズ「E480」やラックスマン「L-507Z」といったプリメインアンプを組み合わせましたが、もっとドライブ力があるセパレートアンプを組み合わせてみたいと感じさせる伸びしろも感じられ、オーディオ魂が焚き付けられました。

  • ここまでのコメントを寄せてくれたのは、マックスオーディオ小倉本店の大原由奨氏。

製品の詳細は以下FOCAL CIの製品サイトをご覧ください。
https://www.minet.jp/brand/focal-ci/top/