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レビュー

  • PIONEER IMAX Enhancedを叶える
    確固たる実力をもつAVアンプ
    VGP2019夏、「VSX-LX304」が企画賞に!

    VGP 取材・執筆 / 鴻池賢三
    2019年8月7日更新

    • VGP審査副委員長
      鴻池賢三

IMAXシアターの音をホームでも忠実に

AVアンプで重要な機能の一つが各種フォーマットへの対応です。近年は新フォーマットの登場が矢継ぎ早でキャッチアップが難しいですが、買い替えのタイミングなら現存するフォーマットをできる限り幅広く網羅した製品を選びたいものです。

こうした状況下で多くのホームシアターファンに朗報なのが、パイオニアの最新モデル「VSX-LX304」です。熱狂的な支持者の多いIMAXシアターの画音を、家庭でも忠実に再現しようとする「IMAX Enhanced」に対応した、ミドルクラスとして初のAVアンプです。

  • パイオニアのミドルクラスAVアンプ「VSX-LX304」は、最新フォーマット「IMAX Enhanced」を初めて採用した、今季の注目モデルです。

企画賞と部門金の両方を獲得する

IMAX Enhancedコンテンツの音声は、今まで家庭用として門外不出だったIMAXマスターが提供されるとのことで、映画ファンとホームシアターファンの両者に興味深いものです。パイオニアでは位相にも踏み込んだ高度な独自自動音場補正技術「MCACC」を磨き上げてきたこともあり、両者の掛け合わせによるサラウンド体験は大いに期待できます。

VGP2019 SUMMERでは、同モデルの基礎能力の高さと、ミドルクラスにIMAX Enhancedをいち早く対応させたきことが大いに評価されて、AVアンプで部門金賞を獲得しただけでなく、映像音響部会の特別賞「企画賞」を受賞するほどの実力で注目を集めました。

  • 入門モデルやミドルクラスの新製品が多くエントリーされたVGP2019 SUMMERで、「AVアンプ(12万円以上15万円未満)」部門で金賞に輝いたのがVSX-LX304です。いちはやくIMAX Enhancedに対応したモデルとして、映像音響部門の企画賞を獲得しました。

メイン基板を見直し新しいステージへ

本機は、9chアンプを搭載し、最大5.2.4ch、および7.2.2chのイマーシブサウンド再生を可能としました。フロントバイアンプで5.2.2chなどの設定も可能で、搭載しているパワーアンプを有効活用できます。もちろん基礎体力もパイオニアならではのクオリティ。磨き上げてきた高音質技術をさらに発展させ、従来モデルに対しても、メイン基板の新規設計により新しいステージに到達させました。

  • パイオニアの独自自動音場補正技術「Advanced MCACC」は、各スピーカーの音量、距離、周波数特性やクロスオーバーを測定し、全スピーカーを均一に調整できます。使用している各々のスピーカーが異なっていても、同じスピーカー、同じ距離で鳴らしたサウンドを再現できるのが特長です。

基板のグランド強化による全体的なノイズ低減、ネットワーク関連回路をモジュール化して他のデジタル回路と分離することによる干渉の抑制、ネットワーク回路部を基板の電源寄り部分に配置することによって、電源ループの最小化やデジタル系グランドの共通インピーダンス排除など、AVアンプ上級機の開発で得たノウハウが活かされています。

また、近年は情報量の多い4K映像=高周波信号を扱うことから、その点を考慮したサウンドチューニングが施されているというのも心強いです。

低域の位相補正はIMAXマスターに絶好

注目すべきは何と言っても、「IMAX Enhanced」と、スピーカーの種類やサイズが異なっても同一スピーカーを同条件で鳴らしたような効果を狙う「MCACC」の掛け合わせです。本機では「Advanced MCACC」が採用され、最大9点測定による定在波制御や暗騒音を考慮した分析でより高精度な補正ができます。

そして、コンテンツが内包するLFEチャンネルのズレを自動で補正し、空間表現や音質向上効果が評判の「オートフェイズコントロールプラス」機能も利用可能。特に低域を重視するIMAXマスターの神髄を体験するには絶好といえます。

  • コンテンツよる低域遅延を補正することで位相のずれを修正する「オートフェイズコントロールプラス」も採用したことで、さらにクオリティと精度の高い音場補正を行うことができます。緻密な音場再現能力が必要とされるイマーシブサウンド時代に必須な高音質技術です。

クラスを超える堂々たるサウンド

テスト用のファームウェアを実装したモデルでIMAX Enhancedの音質を確認する機会を得ましたが、先述の技術内容が腹に落ちる充実ぶり。S/Nの向上が顕著で静寂が美しく、重心の低い安定感が持ち味。また、ダイナミックレンジの広がりが感性を揺さぶる力となり、クラスを超える堂々たるサウンドを奏でます。

こうした基礎音質の向上は当然サラウンドの音場表現を豊かにし、「Advanced MCACC」が加われば環境を選ばず鬼に金棒。IMAX Enhancedは今後採用のUltra HDブルーレイタイトルが増え、動画配信でも楽しめるようになるとのことで、多くのホームシアターファンにとって特別感の高いモデルです。

  • 映像と音声の両面で映画ファンからホームシアターファンまで期待されているIMAX Enhanced。今後、対応したコンテンツが登場してくるのが待ち遠しいです。

IMAX Enhancedの魅力を聞く

今回、VSX-LX304のクオリティの高さを深掘りするべく、IMAX Enhancedの開発にも携わっているXperi Corporationのジョン・マクダニエル氏に、音声フォーマットとしても魅力を聞きました。

  • <取材協力>
    Xperi Corporation
    VP, Business Development – Ecosystems
    John McDaniel氏
    (ジョン・マクダニエル氏)

映画製作者の想いを届ける
臨場感に溢れた胸打つサウンド

「IMAX Enhanced」は、認証を受けたプレミアムなAV機器、IMAXリマスターされたコンテンツ、また最適化された再生環境「IMAXEnhancedモード」で再生できることが特長です。
3つの要素が融合し、初めて最大限に「IMAX Enhanced」の機能を発揮でき、IMAXシアターの感動をホームシアターで体験できます。
パイオニアの高性能AVアンプが映画製作者の想いを世界中のご家庭に、そして臨場感に溢れた胸を打つサウンドをお届けすることをとても楽しみにしています。

  • IMAX Enhancedの音声は、イマーシブサウンドの「DTS:X」を採用しており、よりIMAXシアターに近付けたサウンドを実現するために、IMAXのチューニングが施されています。機器側は、「IMAXモード」を選択することで再生できます。

LINEUP

PIONEER
VSX-LX304
¥120,000(税抜)

SPEC

●パワーアンプch数:9ch ●定格出力:90W(8Ω/2ch駆動時) ●実用最大出力:190W(6Ω/1ch駆動時) ●主な入力端子:HDMI×7、光デジタル音声×1、同軸デジタル音声×1、アナログ音声×6、USB×2、LAN×1 他 ●主な出力端子:HDMI×2、ステレオプリアウト9ch×1、サブウーファー×2、ヘッドホン(ステレオミニ)×1 他 ●ワイヤレス機能:Wi-Fi、Bluetooth ●消費電力(待機時):610W(0.1W) ●外形寸法:435W×173H×370.5Dmm ●質量:10.8kg

  • VSX-LX304の背面端子部