音漏れ場所を知ろう
ここまでは室内の音をよくする方法を解説しましが、“音漏れ”は調音材では対策できず、家の構造までも見直す必要があります。それが「遮音工事」です。右図で、目では確認できない音漏れのポイントを紹介しましたが、ダウンライトや壁のスイッチといったところからも音は漏れてしまいます。それは物理的に隙間があるだけでなく、音という「振動」でも伝わるため、非常に制御が難しいです。
その中でも面積が一番大きい場所である「窓」や「ドア」は音のウィークポイント。本格的でなくとも簡易的に遮音するなら、こうした面積の大きなところを対策するのがお薦めです。特にリビングシアターなど、掃き出し窓を内窓にするだけでも、大きな遮音効果を得ることができます。
- 目に見えない音漏れするポイント
窓、ドア、ダウンライト、埋め込みスピーカー、換気扇、エアコンの換気口、壁スイッチ、電源コンセントなど。
- 手軽に遮音にするなら「内窓」がオススメ!
気密性の高さが遮音性能につながる「内窓」は、音漏れ対策の救世主。写真の「まどまど」のようにガラスにこだわる製品がお薦めです。
「高音がキンキンする」対策は? ホームシアターの音質改善テクニックその1
「ボーカルがぼわぼわする」対策は? ホームシアターの音質改善テクニックその2
「低音がブーブー聴こえる」対策は? ホームシアターの音質改善テクニックその3
防音室をつくるならプロに任せよう!
「私は大きな音を出したい」という方こそ、防音室をつくることをお薦めします。ですが、ここで注意してほしいのが、防音室の施工はノウハウが必要だということです。先述の通り、音が漏れるポイントは多く、そのひとつひとつを丁寧にケアすることが必要になるため、必ず専門施工会社に依頼してください。
写真はダイワハウスがつくる防音室「奏でる家」の様子。同社はいち早く1973年に音の研究開発を始め、大手ハウスメーカーの中でも他にはない、防音室を自社で設計・施工まで全て行う会社です。奏でる家は、防音室のイメージを覆す明るさと高い天井、美しい響きが特長ですが、こうした部屋を構築するには、ホームシアターと同様に家を新築するか、リフォームする必要があるので、その機会に必ず検討してください。
- 写真は、奈良県にあるダイワハウスの「総合技術研究所」内にある、ドルビーアトモスがインストールされた「奏でる家」だ。遮音性能を体感できるのと同時に、室内では、壁の一部をスライドすることで、吸音壁の有無をチェックすることもできます。来館には予約が必要ですが、誰でも見学できるので、お近くの方は足を運んでください。
問い合わせ先
大和ハウス工業(株)
「奏でる家」についてのお問い合わせ
TEL:0120-590-956
ダイワハウスはここまで研究している!
- 無響室で音を研究
総合技術研究所にある無響室。ダイワハウスでは「コーナーチューン」など、防音室で使用する調音材も自社で研究し開発しています。
- 材料研究も自社で行う
階下に足音などを伝えにくくする床材「マルチプレックス遮音床」なども自社開発しています。バングマシン(写真)もあり、様々な材料研究を行います。
※この記事はホームシアターファイルVOL.79の特集「いい音大作戦」をもとに制作されています。