VGP phileweb

  • PANASONIC VGPアワード2019
    「批評家大賞」授与式レポート PART1
    パナソニック
    Ultra HDブルーレイプレーヤー
    「DP-UB9000」

    取材・執筆 / 平野勇樹(ホームシアターCHANNEL編集部)
    2019年4月10日更新

CONTENTS

・批評家大賞に輝いたパナソニック「DP-UB9000」
・映像美を生む「HDRトーンマップ」技術
・音にもこだわる日本限定仕様

批評家大賞に輝いたパナソニック「DP-UB9000」

「VGP」は30年以上の歴史を持つ、国内最大級のオーディオ・ビジュアル・アワードです。専門媒体で活躍する評論家と、日本全国のショップスタッフからの投票によって、ベストバイ商品を選定しています。

VGP事務局に寄せられた2000を超えるエントリー商品の中から、評論家だけで選んだ画質・音質に優れた今期のベストプロダクト、それが「批評家大賞」です。今回、この栄誉に輝いたアイテムのひとつが、パナソニックのUltra HDブルーレイプレーヤー「DP-UB9000」でした。

  • パナソニック「DP-UB9000」

この結果を受けて、大阪・門真市にあるパナソニック株式会社 アプライアンス社で、VGPアワード2019「批評家大賞」の授与式が行われました。

冒頭、VGPアワードで審査委員長を務める大橋伸太郎氏から「批評家大賞を授与した、パナソニックのUltra HDプレーヤーDP-UB9000は、評論家の総意で選ばれた2018年度のベストプロダクト。デジタル処理、アナログ回路、メカ設計すべてに革新が詰め込まれた、映像も音響も最高峰を極めたモデル。感性に訴えるクオリティを目指して、細部までこだわり抜いたエンジニアの情熱にも胸を打たれました」とコメント。それを受けてパナソニック株式会社 アプライアンス社 ホームエンターテインメント事業部 ビジュアル・ネットワークビジネスユニット長の南波嘉行氏は、「評論家の皆様の評価が刺激になり、モチベーションになる。今後もお客様にお喜びいただけるものづくりを続けていきたい」とコメント。映像音響部会の批評家全員が出席のもと、表彰盾の授与が行われました。

  • VGPアワード2019批評家大賞の表彰盾を手渡す大橋伸太郎氏(左)とパナソニック株式会社 アプライアンス社ホームエンターテインメント事業部 ビジュアル・ネットワーク ビジネスユニット長の南波嘉行氏

映像美を生む「HDRトーンマップ」技術

その後、同社にて「DP-UB9000」の画質と音質を、審査員が改めて検証しました。

  • 大阪・門真市にあるパナソニック株式会社 アプライアンス社をVGPアワード審査員が訪問。

映像面では、明るいシーンで色ずれや色抜けの起きない、原画に忠実で精度の高い「HDRトーンマップ」技術について、パナソニック甲野和彦氏が解説。さらにVGPアワードの審査会後にアップデートされた情報として、JVCケンウッドの最新プロジェクターと「DP-UB9000」との組み合わせで好ましいHDR画質を得るソリューションについても、審査員に向けてプレゼンテーションが行われました。

HDRとは「High Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)」の略称で、従来のSDR(スタンダードダイナミックレンジ)に比べて、明るい部分と暗い部分が白とびしたり黒つぶれしたりすることなく、どちらも階調豊かに、より自然に描くための表示技術です。この映像技術において、パナソニックは特筆すべきノウハウを持っているというわけです。

2019年に入って新たに公開された、パナソニックがJVCケンウッドと共同開発したHDRトーンマップの仕組みはとてもユニークです。これまでプロジェクターのHDRトーンマップについては、業界標準の明確な決まりごとがなく、メーカー各社がそれぞれにHDRに最適な画づくりを独自検討している状況でした。しかし今回、ユーザーメリットを考えて、パナソニックとJVCケンウッドがそれぞれメーカーの垣根を超えて、プレーヤーとプロジェクターの技術を持ち寄り、両者の組み合わせでかんたんに適正なHDRトーンマップができるようにアップデートされたというわけです。

具体的には、プレーヤーであるパナソニック「DP-UB9000」側で、タイトルごとに自動的にトーンマップをおこない、輝度範囲を500nitもしくは350nitに抑えるモードを用意し、プロジェクターであるJVCケンウッド「DLA-V9R/V7/V5」側はその500nitもしくは350nitのなかで、映像を忠実に再現するという画質設計を行っているそうです。

たしかに明るい部分も暗い部分も、どちらも見え方が多いに変わります。たとえばUltra HDブルーレイで観る『ハドソン川の奇跡』の夜のランニングのシーンで高輝度部の階調表現について検証すると、夜の街のネオン、「LION KING」の黄色い看板の文字がはっきりと見えてきます。高輝度部に濃厚な色味を持っている『グレイテスト・ショーマン』は暖色系のライト、明るくなると色が白く抜けがちなところも、全体にとてもリッチな印象になりました。

そのほか最新規格である「ドルビーアトモス」および「ドルビービジョン」、そして「HDR10+」にも対応していること、さらにはUltra HDブルーレイだけでなく、Netflixなどの配信コンテンツも楽しめるプレーヤーであることもアピール。ハイクオリティな大画面映像を目指すユーザーにとって、「DP-UB9000」はまさに決定版的存在と言えます。

音にもこだわる日本限定仕様

  • 日本限定仕様となったプレーヤー「DP-UB9000」と欧州モデルを比較。重みが全然違います!

さらに、「DP-UB9000」は音質へのこだわりも凄まじいものがあります。実は欧州市場には、本機に先んじて兄弟機が展開されていましたが、開発スタート時点から、プレーヤーとして最高峰のものとして日本限定仕様モデルが同時に企画されていたそうです。欧州モデルと日本限定仕様モデルの違いについて、詳細な解説がおこなわれました。

不要振動を減らすためのシャーシ設計は、約20年来に渡って温めてきたアイデアを余すことなく注入したものということで、欧州モデルとは、全く別モデルといっていい構造となっていました。特に全体を支える3層・5.2mm厚のドライブベースは圧巻。手に取ったときの重量感も、まるで違います。

高品位パーツの選定や回路設計についてもこだわりが満載。テクニクスのハイエンドオーディオで培ってきたノウハウも生かされて、「Tuned by Technics」を獲得するに至った経緯などをお話いただきました。

まさにパナソニック「DP-UB9000」は知恵と物量と努力の結集と言えます。VGPアワード2019「批評家大賞」の栄誉にふさわしい逸品。画質や音質に妥協したくないホームシアターファンは、必ずチェックしたいアイテムです。

  • VGPアワード映像音響部会の審査員6名(大橋伸太郎氏、鴻池賢三氏、岩井喬氏、海上忍氏、折原一也氏、林正儀氏)と、授与式および内覧会にご参加くださったパナソニックのみなさん(南波嘉行氏、岡崎暢丈氏、甲野和彦氏、宮本真吾氏、信野圭祐氏、濱野功氏、神高知子氏、中岡幸夫氏)