ホームシアターの総合誌「ホームシアターファイルPLUS」でも執筆されている伊尾喜大祐さんが、夢の映画館「シン・イオキネマ」づくりを決意! 本連載では、映画館づくりを決意したきっかけから完成するまでの模様を完全密着ドキュメントでお送りします。どのタイミングでどんなことが進行するのか? 映画館づくりにどんな想いがあったのか? 読んだらホームシアターを作りたくなること間違いなし!
約15畳を「映画」「書斎」「収納」に
図面を前に悩む日々が続く中、突破口となる提案が建築士の龍井氏から届きました。それはイオキネマの現状、そして前述のコンセプトを踏まえて、約15畳という縦長の空間を「映画」「書斎」「収納」の3つにゾーニングするというものでした。このシンプルながら画期的なアイデアで、曇り続きだった頭の中にスーッと青空が広がり、具体的なイメージが次々と湧き始めることに!
●映画鑑賞ゾーン
スクリーンと有機ELモニターを適宜使いわける、スクリーン上映時には画面以外が目に入らぬようにシンプルな内装とし壁面も映画館のように暗色を主体に、ラグやカーペットなどを敷くことでゆったり映画を楽しめる空間に、打ち合わせ時にはローテーブルと座布団でリラックスして話すのもいい。
●書斎ゾーン
デスクを設置して作業スペースに、構造上の都合で出来てしまう床の段差を逆手にとって映写技師よろしくここから機材を操作、上映中は後ろを見る機会はほとんどないので明るめの内装にして鑑賞ゾーンと差別化。
●収納ゾーン
3畳のスペースをブルーレイソフトや書籍などの収納室に、その入口自体ブルーレイソフトの収納ラックになっていて秘密の扉が開くとその中に膨大な枚数のソフトが!
イオキネマの惨状、もとい現状を見て青ざめた龍井氏の苦心のアイディアが、理想の新シアターのコンセプトへと見事に繋がりました! 僕が大感激してしまったのは言うまでもありません。
こうしてシン・イオキネマのイメージがいよいよ固まり始めました。これをどんな内装で形にしていくか、オーディオビジュアル機材をどう配置していくか、防音や電源対策はどうするか。具体的なアクションはまだまだこれからです。次なるステップは、いよいよ「インストーラー探し」です。
- 2020年1月から数回の打ち合わせを経て、建築士の龍井さんが考えてくれたのが上の図面(8月時点のもの)。約15.2畳の空間を左から「映画」「書斎」「収納」の3つにゾーニングされていることがわかります。構造上の都合でできてしまう段差を活かし、映画鑑賞ゾーンと書斎ゾーンの境目としています。
- 取材にご協力くださった株式会社辰島工務店の辰島康一氏(写真左)、一級建築士事務所株式会社エス・ティプランニングの一級建築士 龍井慎一郎氏(写真中央)、佐藤浩司氏(写真右)。