ホームシアターは狭いスペースだとできない? 音漏れが気になる? そんな悩みをバッチリ解決しつつ、極めてクオリティの高い、リアルサラウンドを体感させてくれる、オーディオハートのチェアスピーカー。新たなラインアップに加わった、ゆったりサイズの2人掛けタイプの椅子「VRS-W1」の魅力に迫ります。
シェルが卵形であることには、理由がある
映画『2001年宇宙の旅』から抜け出たような、カプセルかオブジェのような椅子…。
にわかに信じられないかもしれませんが、このオーディオハート「VRS-W1」は、14個の実音源が仕込まれた、れっきとした「スピーカー」です。実際に座ると、周囲の音がスッと消えて、そこは異世界。映画の世界の真っ只中に身を置いているような未知のサラウンド体験が味わえます。大画面テレビや、超短焦点プロジェクターと組み合わせれば、小さなスペースで、しかも工事いらずで、本格的なホームシアターが構築できます。
そんな提案の斬新さと、オーディオ製品としての確かな品質が審査員の支持を集めて、VGP2023部門賞で「金賞」を獲得しました。
オーディオハートのチェアスピーカーは現在、4機種をラインアップしていますが、この「VRS-W1」は2人掛けできるゆったりサイズで設計された新作。全14個のスピーカーが内蔵されています。卵型のシェルになっているのは、定在波の発生を防ぐためでもあります。また、本体は3つに分割でき、狭いお部屋にも搬入できる構造になっています。軸の部分は回転するので、自在に向きを変えることもできます。
独自に設計された14個のスピーカーを搭載
「VRS-W1」には、スピーカーを駆動するためのアンプやプロセッサーの機能は内蔵されていませんので、実際にソフトを再生するためには、11.2ch対応のAVアンプを用意して、アナログで接続する必要があります。
この方式には大きなメリットがあります。パッシブスピーカーに徹した設計とすることで、将来的にサラウンドフォーマットやHDMIの規格がどれほど変わったとしても、AVアンプだけを交換すればよく、チェア本体は長く愛用することができるからです。
設置性もよく考えられていて、付属の専用ケーブルをアンプ側の全chのスピーカー出力に、本機側はL側、R側、LFE(サブウーファー)の3つのターミナルに集約して接続します。レベルやバランス、音質調整はすべてアンプ側でおこなう仕組みです。
全14個のスピーカー、音源が聴き手に非常に近く配置され、ドルビーアトモス9.2.4chの推奨に近い設置レイアウトとなっています。ユニットは専用設計で、たとえばトゥイーターは、超高音まで正確で透明感のある音を再生するため、ボイスコイル一体型ホーン形状を採用しています。映像に対面する前方は開放しているため、センターチャンネルは2台のスピーカーからのファントム再生です。サブウーファーは16.5cmのアルミコーンウーファーを2基搭載、VRS-W1の容積空間0.7㎥からすると、VRS-W1の中は6畳間(9㎥)で40cm口径のユニットを持ち込んだことと同等の重低音の音圧が得られます。ユニットを対向配置として、固体振動を抑える設計にもなっています。
- シェル前方にフロントLRとセンター成分を担う8cm 2WAYスピーカーを合計4基、リスナーを取り囲むようにフルレンジスピーカーを合計8基、そして青い部分にLFE成分を担う、対向配置されたサブウーファーを2基、合計14基のスピーカーが内蔵されています。
音で異世界へ誘う「特等席」
実際に音元出版の試聴室で、大画面テレビとの組み合わせで、チェアスピーカー「VRS-W1」を体感しました。取材では 『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』や『THE BATMAN-ザ・バットマン-』のドルビーアトモス音声でテストしました。
まず、「VRS-W1」のすぐれた長所として、防音構造がもたらす「S/Nのよさ」が挙げられます。外側はFRP素材の強固なシェル、内側は約5cmほどのウレタンフォームの吸音層を設けていて、驚くほど反響の少ないデッドな音環境が提供されます。さながら映画館の特等席。とくにサラウンドの音の移動感が鮮明でした。しばしば「ダビングステージで聴いている音」という表現をしますが「VRS-W1」は異次元のリアリティで、まさに作品世界の真っ只中に連れ去られます。
今回のテストは映画コンテンツで実施しましたが、クラシック音楽やオペラなどのマルチチャンネルオーディオを楽しむのもお薦めです。まるでオペラハウスのバルコニー席での観劇に近い感覚が、オーディオハートで味わえるかもしれません。
音漏れの心配が少ないメリット
また、想像していたより音漏れが少ないこともメリットと感じました。全周波数帯域で約−20dBの遮音性能を得ており、これが防音につながると同時に、そもそもスピーカーと耳の位置が近い構造であるために大音量を出す必要がなく、「音漏れが気になってホームシアターを諦めていた」という方にとっても、実は最適なソリューション。共同住宅などでも気兼ねなく、効果たっぷりのサラウンド再生を楽しめます。
オーディオハートはスピーカーユニットの開発と生産に深い経験を持つ技術者たちの手で生まれた専門メーカーです。「VRS-W1」の未来形のフォルムに確かな知見の裏付けが息づいています。
ちなみに、最上位となる「SA-1852」は24個のスピーカーを内蔵していて、NHKの4K/8K放送の22.2ch音声をダウンミックスでなくネイティブで再生できる、現時点で最も合理的なソリューション。先進的な取り組みが評価されて、こちらの製品もVGP2023では「企画賞」が授与されています。
そのほか、同社のチェアスピーカーのラインアップは、オーディオハートのホームページ(https://audio-heart.co.jp)を参考にしてください。
また、東京・二子玉川にある「蔦屋家電+」では、チェアスピーカーが常設展示されているそうですので、実際に体感されたい方は、そちらに足を運んでみてはいかがでしょうか?
臨場感あふれる本物のサラウンドを体感できる、オーディオハートのチェアスピーカー「VRS-W1」。着想と見かけの新奇さをいい意味で裏切る、理詰めの設計と技術密度の濃さ。VGPアワード金賞にふさわしいアイテムです。
SPEC
ホームシアターチェア
AUDIO HEART
VRS-W1
¥1,397,000(税込)
SPEC ●スピーカー構成:11.2ch ●ユニット:フロントL/R=8cm 2WAY×各1、センター=8cm 2WAY×2、サラウンド=5cmフルレンジ×8、サブウーファー=16.5cm×2(対向配置) ●外形寸法:1400W×1340H×1085Dmm ●重量:133kg ●必要搬入間口:64cm以上
協力/オーディオハート