ホームシアターで実はもっとも重要といえる「センタースピーカー」。その役割については、記事「センタースピーカーって、絶対に必要? 有無によるメリット・デメリット」でくわしくご紹介しました。今回は「センタースピーカー」の設置を前提とし、ホームシアターの本尊ともいえるTHXのガイドラインより、最善のポジションとその理由を解説します。
センタースピーカーのもっとも理想的な位置とは?
まず、センタースピーカーの最も理想的な位置は、映像の真ん中。映像の中の俳優の口元とセリフが聞こえてくる方向が一致すると、リアリティーが高まるのはご想像いただけるでしょう。まして映画コンテンツにおいて、収録されている音の70%がセンターチャンネルといわれています。センタースピーカーの位置が理想に近づくことは、映画鑑賞において効果的だといえるでしょう。映画館(劇場)では、音響を透過するスクリーン(Acoustically Transparent Screen)を用いて、スクリーンの裏側にスピーカーを配置するのが基本です。
- THXは、作品の製作者の意図に忠実な「音」と「映像」を再現することを目的に、スタジオでの録音や映画館での鑑賞はもちろん、家庭での再生機器・環境まで、一貫した規格を設けています。
ホームシアターの場合、音響を透過するスクリーンの導入も可能ですが、モデル数が限られて選択の余地が少なくなるため高価になりがちなことや、4K/HDR時代において解像度と明るさ面で不利なこともあり、ベストとは言い難いのも事実です。また、テレビを使用する場合は、物理的にスピーカーの位置を妥協するほかありません。では、この場合の理想的なスピーカーの位置とはどこになるのでしょう?
ずばり「ホームTHX」では、センタースピーカーに関し、フロントL/Rに対してセンタースピーカーの高さが10度以内かつ2フィート(約60センチ)以内を推奨しています。
- 少しわかりにくいので、具体例を挙げてみます。
・視聴距離が2.0mの時、10°は35cmに相当(10°以内を目標に)
・視聴距離が3.4mの時、10°は60cmに相当
・視聴距離が5.0mの時、10°は88cmに相当(60cm以内を目標に)
そもそも視聴者を取り囲むサテライトスピーカーの位置(ツイーターの位置)は、耳の高さが理想とされています。サラウンドサウンド再生において、フロントL/Rとセンタースピーカーが違和感なく繋がるのが10°以内というわけです。通常センタースピーカーは画面の下に設置するので、マイナス10°以内の位置にあるという理解でよいでしょう。
センタースピーカーの位置を調整するには、スピーカースタンドやラックが必要になり、少々面倒かもしれません。床に置いてしまいたい気持ちもわかります。しかし、よりよいホームシアター体験をお望みなら、今回ご紹介したTHXのガイドラインを参考に、チャレンジしてみてはいかがでしょうか!