VGP phileweb

ガイド

  • 鴻池賢三のホームシアターTips ホームシアターのスピーカーは、同じシリーズで揃えたほうがいい? 基本の5.1chで理由とメリットを解説

    取材・執筆 / 鴻池賢三
    2023年5月19日更新

    • VGP審査副委員長
      鴻池賢三

「5.1chは同じスピーカーで揃えた方がよい」という説。予算にも関わるので柔軟に考えたいところですが、実際はどうなのでしょうか? この「説」の背景や実際の効果、また用途による、お薦めのスピーカーの選び方を解説します。

スピーカーを同じシリーズで揃えるメリットとは?

「5.1ch」は、ホームシアターの基本のスピーカー構成といえます。視聴者を取り囲むように設置するスピーカーは、サテライトスピーカーとも呼ばれ、フロント左、フロント右、センター、リア左、リア右、の5つです。さらにサブウーファーはLFEと呼ばれる低音帯域だけをカバーするため0.1chとカウントし、これら全体で「5.1ch」と呼びます。

結論として、究極を目指すなら、サテライトスピーカーは「すべて同じモデルで揃えた方がよい」のは確かです。たとえばステレオシステム(2.0ch)で、左右同じスピーカーを使用することに疑問を持つ方はいないでしょう。もし異なるスピーカーを接続して左右の音色が不揃いになると、重要な指標の一つである「定位」が狂い、制作者が意図した音場や立体感も、正しく表現できなくなってしまうのはご想像いただけるでしょう。

  • ステレオシステムでは、実際に鳴っているのは左右2本のスピーカーですが、十分に高音質で左右のバランスが整っていると、楽器の音や人の声がやってくる方向や遠近感まで感じられます。音源の位置が明瞭に感じられるほど「定位がよい」「定位感が高い」などと表現します。
  • フロント、センター、リアといった視聴者を取り囲むように設置するスピーカーは「サテライトスピーカー」とも呼ばれます。

スタイルに合わせてシアターも最適化しよう

5.1chのうち、サテライトスピーカーも同じことがいえます。制作者の意図した定位や立体感を忠実に再現したいなら、まったく同じスピーカーを利用するのが理想です。

ただし、フロントに比べてリアスピーカーから鳴る音はエネルギー量として少ないので、予算の観点からリアスピーカーを小型にするのは合理的です。この場合、フロントスピーカーと音色のマッチングがよい、同じシリーズの製品を選ぶのが安心です。

センタースピーカーは、セリフを中心に重要な役割を果たしますが、映像装置との設置上の兼ね合いを考えると、左右のフロントスピーカーと同一にするのは難しいです。やはり、同じシリーズ製品のセンター用スピーカーを選ぶことになるでしょう。ちなみに、映像のない「SACDマルチチャンネル」をお聴きになるオーディオファンの場合は、まったく同じスピーカーで揃える方も多くいらっしゃいます。

まとめると「同じスピーカーで揃えた方がよい」という説には一定の合理性がありますが、無理なく楽しんでこそのホームシアター。上述の解説を参考に、ご自身の目標やライフスタイルに合わせて最適化されるとよいでしょう!

ほかの記事を読む>>>センタースピーカーって、絶対に必要?

ほかの記事を読む>>>ELAC「Uni-Fi Reference」で鳴らすサラウンド! 5.1.4chシステムでチェック