ホームシアターの特徴の一つと言える、サブウーファーによる重低音再生。ホームシアターの場合、サブウーファーは、設置スペースやコストの観点から「1個使い」が一般的ですが、クオリティアップの観点では、2個や4個といった複数使いも有効です。この記事では、複数使いのメリットやその場合の設置パターンの例を、THXのセオリーも交えて解説します。
サブウーファーを複数使うメリットとは?
部屋の中の空気を揺るがすほどパワフルなサブウーファー。1個使いの場合、大きなパワーが1点から放たれることになるので、定在波も旺盛に発生。言い換えると、室内の音ムラが大きくなって、音質面で良好なリスニングポジションがピンポイントになってしまいがちです。定在波による悪影響は、サブウーファーとリスニングポイント位置を調整することである程度避けることができますが、複数人で視聴する場合、すべてのシートをよい状態にするのは難しいものです。
「定在波」について詳しくはこちら>>>サブウーファーの「ベター」な置き場所はどこ? 定在波に注意して調整しよう
サブウーファーを複数使うメリットは、より強力な重低音を得るためではなく、パワー源を分散して、定在波の影響を小さくするということです。THXでは、よいホームシアターの定義の1つとして、「すべての席がよい席」を挙げています。サブウーファーの複数使いは、この考えと一致するものです。
- THXは、作品の製作者の意図に忠実な「音」と「映像」を再現することを目的に、スタジオでの録音や映画館での鑑賞はもちろん、家庭での再生機器・環境まで、一貫した規格を設けています。
サブウーファー2個と4個の場合、どう置く?
サブウーファーの個数を増やす場合、数や位置はどうしたらよいのでしょうか? THXでは、2個と4個を推奨し、それぞれの位置は図のように、壁際で部屋の1辺の真ん中です。
この推奨位置は、2個の場合も4個の場合も、定在波の影響で空気の密度が“疎”になりやすい場所です。サブウーファーが1個の場合は避けるべき場所ですが、2個や4個の場合に推奨されるのは、複数個使いによって充分な駆動力が得られることと、定在波による影響を受け難いためと考えられます。
なお、室内における定在波の発生状況は、開口部や壁面の強度などによって異なります。実際には、図のような配置を参考にしつつ、試聴と調整を行う必要があります。
今回はTHXが推奨する定石とも言えるパターンをご紹介しましたが、サブウーファーの設置位置については諸説存在します。この記事が一例として参考になれば幸いです。