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レビュー

  • EREETSCREENS「クイックフレーム」 【PR】エリートスクリーン「クイックフレーム」は持ち運び簡単、明るい環境で楽しめる

    取材・執筆 / 大橋伸太郎
    2024年1月26日更新

VGPアワード2024の映像音響部会で「特別大賞」と「金賞」に輝いたポータブルスクリーン「クイックフレーム」。スクリーン4辺にパイプを通すだけで、組み立てはとても簡単。気軽に持ち運びもできます。明るい環境でも観ることができ、大画面の活用シーンを広げたスクリーンの革新性を、大橋伸太郎氏がレポートします。

組み立てと分解が思いのまま、持ち運びも簡単

米エリートスクリーンから発売された「クイックスクリーン」は、第4のスクリーンタイプ<簡易式フレーム自立式>。アルミのパイプでフレームを構成し、軽量で剛性が高いことが特長です。しかも、組み立てと分解、保存が思いのままで、分解した状態で持ち運びでき、庭やキャンプ場で映写ができます。ジョイントするパーツの接合部にマークが記してあり、初見でも組立が容易です。本誌編集部員2名がチャレンジしたところ、8分強で幕面の張り込みまで完了することができました。アスペクトは16対9で、100、120インチの2サイズを用意しています。

  • 「クイックフレーム」は組み立て式で簡単に設置できます。組み立て方法は、幕面の4辺に付けられた筒状の生地(スリーブ)に4本のパイプを通し、三脚スタンドを取り付け、4隅と裏面を補強するだけ。大人2人なら約8分で組み立てることが可能です。
  • クイックフレームの中身はこちら。上から時計回りに、幕面、作業用養生布、三脚スタンド、パイプ、ジョイントパーツ、持ち運び用のバッグなど。
  • 幕面4辺のスリーブにパイプを通しているところ。
  • 幕面裏の中央部分にサポートバーを取り付ければ完成。

明るい場所でも楽しめる、2つの幕面が選べる

幕面生地は2種類から選べ、どちらも明るい場所で見られる抗外光タイプです。一つは暗部階調重視の「シネグレイ5D」(視野角80度、ピークゲイン1.5)で、標準的な明るさのロングスローのプロジェクターに好適です。高反射性表面に拡散層を持ち、プロジェクターからの直接光は視聴者に向かって反射し、外側のコントラスト層が間接的な環境光を視野の外へ散らすため、周囲の明るさに関係なく、鮮明な映像を描き出す点で従来のホワイトマットより優れているという特徴があります。

もう一つの「スターブライトCLR」は、超短焦点プロジェクター用で、上方からの光を吸収する多層光学レンズ構造を採用し、映像のコントラスト低下を防ぐと同時に水平160度の広い視野角を実現しています。

  • シネグレイ5Dの断面図。高い反射性能を持つレイヤーの表面に、拡散性能を持つレイヤーを重ねることで、プロジェクターの投写光のみを視聴者側に反射。これにより、明るい環境においても、コントラストの高い映像を楽しめます。
  • シネグレイ5D(左)とマット系(拡散型)スクリーン(右)の実写映像を比較したもの。シネグレイ5Dはグレー色のレイヤーが黒レベルと色純度を向上させるため、マット系と比べてコントラストの高い映像を楽しめます。

幕面「シネグレイ5D」は、黒がタイトに引き締まる

今回は、2つの生地からシネグレイ5Dを選び、映画ソフトを上映してみました。最初の映画は、スピルバーグが映画に一生を捧げることを決意した少年時代を回顧した『フェイブルマンズ』(Ultra HDブルーレイ/HDR)。チャプター5のフェイブルマン一家と友人ベニーがキャンプに出かけた休日の夜のエピソードは、妻のロマンティックな気質に無頓着な科学者の父、ベニーと母の間に芽生える恋愛感情、ヘッドライトを背景にした母のバレエは哀切ですが、この映画の華です。暗室にした場合、ピークゲイン1.5のシネグレイ5Dはコントラスト十分で暗部表現にも優れ、母親役ミシェル・ウィリアムズの逆光の半裸のシルエットが飽和して潰れず美しいです。

次に観たのが、モノクロームの『天国と地獄』(Ultra HDブルーレイ/SDR)で、黒がタイトに引き締まりフィルムノワールらしい硬質で冷徹なルックでした。クイックフレームの幕面の平面性に感心しました。誘拐犯が麻薬売人と取引する横浜野毛のキャバレーのシーンは、客でぎゅうぎゅう詰めの蒸せ返るようなフロアを広角レンズで撮影していますが、スクリーンが波打っているとカメラのパンニングで映像に歪みが出てしまいます。クイックフレームは幕面裏を支持棒が縦に貫通しテンションを与えていますので、幕面の平坦性が取れ、そういった現象が起きず、脂の乗り切った時期の黒澤明の演出力に集中することができました。

他にも、ベルトルッチの名作『暗殺の森』(Ultra HDブルーレイ/SDR)では、ジャン=ルイ・トランティニアのシックなダークスーツ、終盤のダンスシーンのドミニク・サンダのイブニングドレスのシルキーな質感と、シネグレイ5Dの“黒の中の黒”の階調表現に溜飲が下がります。『ハウス・オブ・グッチ』(イタリア盤Ultra HDブルーレイ/HDR)では、半逆光のライティングの狙い、“人間の業、変節、欲望”が浮かび上がりました。

いつの間にか仕事を忘れ、次々に映画を観ていました。映像が遍在する現代が求めたスクリーン、クイックフレームはモバイルと分解保存のできる新コンセプトのスクリーンですが、実現するものは仮設ではなく、ホンモノのホームシアターでした。

SPEC

ELITESCREENSクイックフレームシネグレイ5D
100インチ→¥137,500(税込)
120インチ→¥214,500(税込)

表面をグレー色にすることで、黒の白浮きを補正し、鮮やかに映像を映し出せます。また、入射角と同じ角度で反射する特性を持つため、外光の影響を受けにくいです。

SPEC <100インチの場合>●ゲイン:1.5 ●視野角:80度 ●アスペクト比:16:9 ●画面サイズ:2214W×1245Hmm ●外形寸法:2334H×2035Hmm ●本体質量 :8.8kg

ELITESCREENSクイックフレームスターブライトCLR
100インチ→¥143,000(税込)
120インチ→¥225,500(税込)

超短焦点プロジェクター向けに設計された幕面。多層光学構造を採用することで、上方から入る光を約95%除去するため、下方から入る超短焦点プロジェクターの光を効率よく反射することができます。

SPEC <100インチの場合>●ゲイン:0.6 ●視野角:160度 ●アスペクト比:16:9 ●画面サイズ:2214W×1245Hmm ●外形寸法:2334H×2035Hmm ●本体質量 :8.8kg