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  • 賃貸でもイマーシブサウンドを!
    壁掛けフックでスピーカーを設置

    取材・執筆 / 佐藤太郎
    2024年2月16日更新

※ 壁掛け設置は落下などの危険性がありますので、基本的には、ホームシアター専門店などのプロに依頼をして、メーカー推奨の設置金具をお使いいただくことをお薦めしています。実際にDIYで壁掛け設置を行う場合は、お客様の自己責任でお願いいたします。(注:編集部)

賃貸でも立体音響を味わいたい…

ホームシアターに欠かせないのがサラウンドシステムです。2.1ch、5.1ch、7.1ch、スピーカーの数を増やせば音場も広がります。特に天井付近に設置すれば上方向からの音が加わり、立体的な音響が体験できます。しかし、賃貸マンションでは制約が多く、大々的に工事をするのは難しいです。

そこで、石膏ボード用の壁掛けフックを使ってスピーカーを取り付ける方法を考えました。実際に試してみると、壁をほとんど傷つけずにスピーカーを壁掛け設置できました。今回はその方法をご紹介しますので、是非お試しください。

スピーカーを壁掛けフックに取り付け! 落下対策も入念に

①壁の材質にあったフックを設置

まず、壁が石膏ボードであるか確認し、石膏ボード用のフックを用意します。壁に画鋲などで刺してみて針の先に白い粉がつけば、だいたいの場合、石膏ボードです。石膏ボード用のフックは東洋工芸のハイパーフックかけまくりメタルフックの「HHT23M-S2」を選びました。こちらは1フックで7kgまでの垂直制限荷重に対応するだけではなく、1セット2個入り700円前後で安価です。

  • 画鋲の先が白くなっていることが石膏ボードであることが分かります。刺さらない場合はコンクリート壁、刺さっても画鋲の先が白くならないものは木製の壁であることが多いです。取り付け面の素材に合ったフックを選びましょう。
  • 東洋工業
    メタルフックWT
    HHT23M-S2
    ¥700(税込)
    取り付け位置を決めたらフックを取りつけます。1つのフックでも良いのですが、今回はスピーカー重量分散のため、1本のスピーカーに対して2つのフック取り付けてみました。

②壁掛け金具のついたスピーカーを用意

次に、フロントハイトスピーカーを用意します。筆者はJBLの「Stage A120」を用意しました。透明感ある高域とふくよかな低音が楽しいコスパの良いブックシェルフスピーカーですが、背面には壁掛け金具もついており利便性に優れています。寸法も285H×170W×170Dmmで重さは3.81kgとなっており天井付近に配置するにはちょうど良い大きさと重さです。理想をいえば、本当は背面にバッフルがないとよかったのですが…ハイトスピーカーがないよりはいいはず!まずはともかく検証です。

  • JBL
    Stage A120
    ¥23,000(税込)/ペア
    スピーカーは暗い色がお薦めです。筆者のようにブラック色を選んでおけば光の乱反射を防げるのでホームシアターに没入しやすくなります。ユニットが白い場合はサランネットを取り付けてもいいかも。

③ワイヤーで落下防止対策をしながらスピーカーを設置

そして、スピーカーターミナルにスピーカーケーブルと壁掛け金具に落下防止用ワイヤーを通した上で、先ほど取り付けた壁掛けフックにかけて固定します。落下防止用ワイヤーは別途ワイヤー専用のフックを取りつけました。なお落下防止用ワイヤーはニッサチェインカットワイヤー「Y-11」とワイヤー専用のフックは東洋工芸のハイパーフックかけまくりメタルフックの「HHT25M-S2」を用意しました。

  • ニッサチェイン
    カットワイヤー
    「Y-11」(参考使用荷重20kg)
    ¥286(税込)/1.0x300mm
    落下防止用ワイヤーのニッサチェインY-11は両末端加工済みのため、二次加工が不要です。画像のように取り付けました。
  • ハイトスピーカーの位置が高いほど隅々まで音が浸透しやすくなる印象で、筆者のようにコーナーに設置した場合でも、実際に大きな効果が得られました。既存の賃貸住宅では、必ずしも理想的なスピーカー配置ができるとは限りませんが、やはり実際にハイトスピーカーがあることは、サラウンドの臨場感を高めるうえで重要だと感じました。

大成功! ハイトスピーカーで没入感UP

準備ができたのでAVアンプのマイク測定をしてプロジェクターで映像を投影してみました。まずは映画『トップガン マーヴェリック』(Netflix)から確認をしましたが、ハイトスピーカーが増えたおかげで冒頭のテーマ曲「Danger Zone」のライブ感がより感じられ楽しくなりました。1:30:38~戦闘機の離陸シーン、1:33:07~編隊を飛んで思いっきりアフターバーナーを噴射しているシーン、なによりも1:38:15~ロケットが命中した瞬間の爆風は下から上に向かって音のつながりができることにより、さらなるリアリティを感じました。

次にアニメ『すずめの戸締まり』(4K UHD)。この作品は音が良く、一つ一つの効果音がとても秀逸なので、スピーカーの数が増えることによりその良さをさらに発揮することができます。特にCH2、主人公が朝を迎えるシーン。フロントハイトスピーカーを置いたことで、雀の鳴き声が本当に上の方から聞こえます。作品世界と視聴室がより一体になった感覚がしました。

  • 検証したお部屋は1Kの一人暮らし向けの賃貸アパートで、居間の広さは7畳。壁掛けフックを使ってハイトスピーカー設置に成功。5.1.2chのサウンドシステムが完成しました。照明をやや落としプロジェクターの映像を投映してもスピーカーが邪魔になりません。

こうして実験は大成功に終わりました。石膏ボードに壁掛けフックを取り付けて、スピーカーを壁掛けできることが分かりました。今回はJBLの「Stage A120」を使って実践しましたが、筆者は以前、他メーカーで同程度の重量のスピーカーでも試しており、半年程壁掛けした状態で過ごしましたが落ちることはありませんでした。もし不安な場合は筆者のようにワイヤー等を使って落下防止策を検討することや、軽いスピーカーを壁掛けしてリスクを下げる方法もあります。もう少し低い位置にスピーカーを壁掛けしてフロントスピーカーとして応用することも可能なので、ぜひお試しください。

※ 壁掛け設置は落下などの危険性がありますので、基本的には、ホームシアター専門店などのプロに依頼をして、メーカー推奨の設置金具をお使いいただくことをお薦めしています。実際にDIYで壁掛け設置を行う場合は、お客様の自己責任でお願いいたします。(注:編集部)

  • 今回使用したAVアンプはパイオニアのクラウドファンディング150台限定仕様「SC-LX904」。

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