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レビュー

  • KEF第9世代「Qシリーズ」 KEF「Qシリーズ」マルチチャンネルの音質に迫る!高コスパな人気スピーカーがさらに進化 【PR】「MAT」搭載第12世代Uni-Qドライバーを採用

    取材・執筆 / 鴻池賢三
    2024年12月6日更新

    • VGP審査副委員長
      鴻池賢三

ハイエンドスピーカーの技術を投入

高品位なハイファイスピーカーブランドとして、世界で揺るぎない地位を築き上げてきた「KEF(ケーイーエフ)」。点音源設計の同軸ドライバー「UniQ」ならではの自然なサウンドを手軽に味わえるスピーカーとして長年に渡って絶大な人気を誇る「Qシリーズ」が、2024年9月にQ Metaシリーズとして、リニューアルを果たしました。コストパフォーマンスの高さを示す看板シリーズともいえるだけに、気になっている読者の方も多いでしょう。

新しいQ Metaシリーズには、注目すべき進化ポイントがいくつかあります。

まず、もっとも重要なのは、近年のKEFがハイエンドスピーカー製品に投入して高い評価を得ている「MAT」(Metamaterial Absorption Technology)を投入したこと。これはトゥイーター背面の音の濁りを解消する吸音技術で、よりクリアなサウンドが期待できます。

  • 現在のKEFを代表する技術の一つ「MAT」。トゥイーターの裏側で発生している音、言い換えると不要なノイズを計算し尽くされたコンパクトな構造体によって99%吸収する画期的なものです

象徴的な同軸ドライバー「Uni-Q」は第12世代モデルで、Qシリーズのために専用設計されています。また、シリーズの主要モデルには、フラグシップのHiFiスピーカーから派生した「シャドーフレア」が搭載されています。これは、同軸ドライバーとバッフル面を美しいラインで滑らかにつなぐ技術で、回折によって生じる音の歪みを極限まで排除する仕組みを持っています。

また、ウーファーの振動板は、ペーパー・コーンとアルミニウム・スキンのハイブリッド構造により剛性を増し、レスポンスを強化しています。またバスレフポートは、新ドライバーの特性も加味して最適化され、ポートノイズを低減します。

  • 第12世代Uni-Qドライバーを全ラインナップに搭載。新しいQシリーズでは、「The Referenceシリーズ」などといった上位モデルでも採用される「フレキシブル・デカップリング・シャーシ」を導入しており、これによって不要な共振を抑制することで音の明瞭度を向上させています
  • Q11 Meta/Q7 Meta/Q Concerto Meta/Q6 Metaのトゥイーターには、「シャドーフレア」を搭載。これもThe Referenceシリーズなどで採用される技術で、同軸ドライバーとバッフル面を滑らかにつなぐことでキャビネットからの回析による音の歪みを大幅に低減する効果があります

そのほか、クロスオーバーの設定は、KEFの施設内で専用のマイクアレイによって、1000を超えるポイントで測定して最適化しているといいます。このあたりの音響測定を重視したスピーカー設計は、KEFらしいアイデンティティーでもあります。

このようにさまざまな技術が上位モデルの資産を継承している点は、Q Metaシリーズを魅力あるものにしています。物量投入に終始せず、技術によって効率的かつ飛躍的な音質向上を図り、ひいては手に届きやすい価格を実現しているのが、KEF製品最大の魅力といっていいでしょう。

よりホームシアターに適したシステムに進化

それから、スピーカードライバーの構成やキャビネット構造、シリーズ構成まで、従来モデルから大幅にラインアップが見直されていることも着目のポイント。ピュアオーディオ用途の2chステレオ再生だけでなく、よりホームシアター用途にも適したシリーズに生まれ変わっているのです。

モデルごとに詳しく見ていきましょう。まず、フロアスタンド型が大幅にリニューアルしています。モデル名としては、大型の「Q11 Meta」と小型の「Q7 Meta」の合計2モデル。エンクロジャーのサイズをコンパクトに絞りつつも、ドローンコーンを廃止してウーファーに置き換えることで低域の再現を強化方向に。KEFではこの変化を「2.5ウェイ」から「3ウェイ」と呼んでいますが、より引き締まった筋肉質路線に転換したと考えるとよいでしょう。マルチチャンネル再生ではスピーカーの数が多く、かつ、スクリーンの存在でスペースが不足しがち。よりスリムかつパワフルになって、ホームシアターとより相性がよくなったといえます。

  • KEF
    Q11 Meta
    ¥352,000(税込/ペア)
  • KEF
    Q7 Meta
    ¥264,000(税込/ペア)
  • KEF
    Q3 Meta
    ¥121,000(税込/ペア)
  • KEF
    Q1 Meta
    ¥88,000(税込/ペア)

Qシリーズの中でも特に人気のブックシェルフは、同軸2ウェイタイプの「Q3 Meta」とコンパクトな「Q1 Meta」に加え、新たにウーファーを追加した3ウェイの「Q Concerto Mata」をラインアップ。Qシリーズのブックシェルフとして初の3ウェイで唐突な感がありますが、実はKEFは1969年に同社初となる3ウェイの「Concerto」をリリースしており、そのオマージュが「Q Concerto Meta」という訳です。2本でワイドレンジなピュアオーディオ用途としても好適ですが、フロアスタンド型「Q11 Meta」「Q7 Meta」で採用する「シャドーフレア」も備えているので、音色の高度なマッチングという点でも、これらをリアスピーカーとして組み合わせれば、理想的なマルチチャンネル環境を構築できるでしょう。

そのほか「2.5ウェイ」から「3ウェイ」化され、「シャドーフレア」も備えてセンタースピーカーとしても使える「Q6 Meta」、イネーブルドスピーカー「Q8 Meta」、壁掛け設置に主眼を置くスリムなスピーカー「Q4 Meta」が新たに追加されています。

  • KEF
    Q6 Meta
    ¥110,000(税込/1本)
  • KEF
    Q8 Meta
    ¥110,000(税込/ペア)
  • KEF
    Q4 Meta
    ¥63,800(税込/1本)

スピーカーの存在を感じさせないナチュラルな音

それでは実際に視聴したレポートをお届けしましょう。まずは、新シリーズの方向性を探るべく、新しいQ11 Metaと従来モデル「Q950」を比較してみました。第一印象としてQ950がゆったりとマイルドな表現を得意とするのに対して、Q11 Metaは低域が引き締まって適度なパンチ力が印象的。3ウェイ化やウーファーの振動板強化がサウンド傾向にも顕著に表れています。質の観点では、埋もれがちな空間情報が引き出されて音場の見通しがよい。これはMATによる高域の歪低減や、シャドーフレアによる歪み低減が大きく寄与しているようですが、低域を引き締めることでさらにその特長を際立たせています。

  • 従来モデルと比して、低音が引き締まり音場の見通しが向上。MATやシャドーフレアの搭載、ウーファーの振動板強化の影響が見てとれます

こうした傾向を踏まえつつ、フロントにQ11 Meta、センターにQ6 Meta、リアにQ Concerto Meta、サラウンドバックに Q4 Meta、イネーブルドのQ8 Meta、サブウーファーは「KC92」という7.1.2ch構成とし、デノン「AVC-A1H」と組み合わせてマルチチャンネル収録コンテンツを視聴しました。筆者の愛聴盤Tony Bennett『An American Classic』の「Because Of You」は、音楽ソフトでリア成分もたっぷり含まれていますが、ナチュラルに包み込まれる感が秀逸。スピーカーの存在を感じず、リスニングのスイートスポットも広い印象。フロントとリアのマッチングがハイレベルで、3ウェイでもサービスエリアが広く確保されていることが判ります。

  • 音元出版のシアター視聴室〈BLACK〉にて、新しいQシリーズで実際に7.1.2chシステムを構築して取材を行いました

映画はアトモス収録の「トップガン・マーベリック」を視聴。格納庫内のシーンは、空気感のリアルさに息を呑みます。スピーカーの存在を忘れさせ、ただ音がストレスなく自由に空間に漂っているかのようです。アクロバティックで迫力のある飛行シーンでは、音量を上げてもうるさく感じず、音圧を迫力として楽しめ、映像の世界に没頭できました。映画で重要なセリフは刺激感とは無縁で、ヒトの存在感はもちろん、ナチュラルな音が成し得る濃密度のアップにも繋がっています。

KEFの革新的な技術を凝縮しつつ、合理的で手に届く価格に抑えた、新しいQ Metaシリーズ。スピーカーを多数必要とするマルチチャンネル再生にも適し、クオリティー面でもハイエンドの領域に到達。映画や音楽の神髄に迫りたいファンにも手応え充分の仕上がりです。

SPEC

「Q11 Meta」
●型式:3ウェイ4スピーカー ●ユニット:Uni-Q(MAT搭載19mmアルミトゥイーター/100mmアルミミッド)、165mmアルミウーファー×3 ●再生周波数帯域:37Hz~20,000Hz ●クロスオーバー周波数:480Hz/2,700Hz ●感度:89dB ●インピーダンス:4Ω ●外形寸法:317W×1112H×380Dmm(台座込み) ●重量:22.5kg/1本

「Q7 Meta」
●型式:3ウェイ3スピーカー ●ユニット:Uni-Q(MAT搭載19mmアルミトゥイーター/100mmアルミミッド)、165mmアルミウーファー×2 ●再生周波数帯域:39Hz~20,000Hz ●クロスオーバー周波数:440Hz/2,300Hz ●感度:87dB ●インピーダンス:4Ω ●外形寸法:317W×1001H×315Dmm(台座込み) ●重量:18.4kg/1本

「Q3 Meta」
●型式:2ウェイ1スピーカー ●ユニット:Uni-Q(MAT搭載25mmアルミトゥイーター/165mmアルミミッドウーファー) ●再生周波数帯域:42Hz~20,000Hz ●クロスオーバー周波数:2,000Hz ●感度:87dB ●インピーダンス:4Ω ●外形寸法:210W×357H×305Dmm ●重量:8.2kg/1本

「Q1 Meta」
●型式:2ウェイ1スピーカー ●ユニット:Uni-Q(MAT搭載25mmアルミトゥイーター/130mmアルミミッドウーファー) ●再生周波数帯域:47Hz~20,000Hz ●クロスオーバー周波数:2,100Hz ●感度:86dB ●インピーダンス:4Ω ●外形寸法:180W×302H×277Dmm ●重量:6.1kg/1本

「Q Concerto Mata」
●型式:3ウェイ2スピーカー ●ユニット:Uni-Q(MAT搭載19mmアルミトゥイーター/100mmアルミミッド)、165mmアルミウーファー×1 ●再生周波数帯域:40Hz~20,000Hz ●クロスオーバー周波数:430Hz/2,900Hz ●感度:85dB ●インピーダンス:4Ω ●外形寸法:210W×415H×315Dmm ●重量:9.5kg/1本

「Q6 Meta」
●型式:3ウェイ3スピーカー ●ユニット:Uni-Q(MAT搭載19mmアルミトゥイーター/100mmアルミミッド)、165mmアルミウーファー×2 ●再生周波数帯域:52Hz~20,000Hz ●クロスオーバー周波数:560Hz/2,700Hz ●感度:86dB ●インピーダンス:4Ω ●外形寸法:629W×210H×303Dmm ●重量:14.1kg/1本

「Q8 Meta」
●型式:2ウェイ1スピーカー ●ユニット:Uni-Q(MAT搭載25mmアルミトゥイーター/130mmアルミミッドウーファー) ●再生周波数帯域:96Hz~20,000Hz ●クロスオーバー周波数:2,700Hz ●感度:86dB ●インピーダンス:4Ω ●外形寸法:180W×176H×259Dmm ●重量:4.5kg/1本

「Q4 Meta」
●型式:2ウェイ1スピーカー ●ユニット:Uni-Q(MAT搭載25mmアルミトゥイーター/130mmアルミミッドウーファー) ●再生周波数帯域:52Hz~20,000Hz ●クロスオーバー周波数:1,800Hz ●感度:86dB●インピーダンス:4Ω ●外形寸法:250W×400H×142Dmm ●重量:5.7kg/1本

(提供:KEF)