ホームシアターの特徴の一つと言えるのが「サブウーファー」の存在。迫力の重低音は映画鑑賞の醍醐味と言え、臨場感や没入感も増すものです。一般的にサブウーファーの置き場所は、視聴者を取り囲むサラウンドスピーカーとは異なり、「どこでも良い」とされていますが、これは、ヒトの聴覚が低域音に対して方向を感じないとされるため。しかし、迫力や全体の音質という観点では、サブウーファーの置き場所が少なからず影響することが知られています。この記事では、既にお手持ちの機材で、より良いホームシアター体験を得るためのアイデアとしてサブウーファーのより「ベター」な置き場所を解説します。位置の変更だけなら費用も掛かりませんので、皆さんも是非試してみてください!
サブウーファーにまつわる問題「定在波」を理解しよう
サブウーファーが受け持つ低域音は、音の波長が長く、部屋の中で反射によって干渉し、定在波(定常波)を引き起こします。定在波の問題は、その周波数の音が重なって「2倍」の大きさに聞こえたり、逆に打ち消し合って全く聞こえない場所が出来てしまうこと。簡単には、60Hz-80Hzくらいのサイン波を少し大きめの音量で鳴らし、部屋の中を歩き回ると、この「音ムラ」現象を体感することができます。
強い定在波が生じると、「音ムラ」だけでなく、全体の音質も解放感や躍動感を失うなど、悪影響を伴います。可能であれば、専門家に依頼するなどして、サブウーファーの位置と試聴位置を入念に調整し、「ベスト」な状態に整えたいものです。
- 浴槽に溜めたお湯を揺さぶった状態をイメージしてみてください。波の動きに合わせて揺さぶり続けると、波はどんどん大きくなり、最後には大きく上下する大波になります。「定在波」はそうした音の波の働きで、反射によって力を増幅する共振現象です。
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初心者は先ず「角」(コーナー)を試そう
サブウーファーと視聴位置の調整は難易度が高いものです。そこまで調整するのは面倒という方なら、部屋の「角」に置くのは一案です。ベストではありませんが、簡単に「ベター」に改善できる可能性があります。その理由は、定在波で空気の疎密ムラが生じる部屋でも、角は周波数によらず常に「密」になり、サブウーファーが空振りすることなく、効率良く空気を振動させることができるためです。最終的な効果は視聴位置にもよりますが、多くのご家庭では、低音感が増す方向になるでしょう。「ベスト」とは言えませんが、比較的簡単にできる「ベター」なアイデアとしてお勧めです。
さらに上を目指すなら微調整を!
サブウーファーの置き場所で低音の迫力や音質に影響があるのは上述の通りですが、実際には、部屋の形状、壁、床、天井の強度、視聴位置などが影響するので、計算やシミュレーションでベストな位置を見つけ出すのは困難です。サブウーファーが1個の場合は「角」を起点に、部屋の辺に沿って、30cm単位くらいで移動させ、トライ&エラーを繰り返すのが現実的です。位置の調整だけなら費用は掛かりませんので、じっくり試してみるのも面白いはずです。
なお、サブウーファーの数を2個や4個に増やして改善するという方法もあり、またの機会に置き場所の「定石」と併せてご紹介したいと思います。