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  • 鴻池賢三のホームシアターTips サブウーファーって、絶対に必要?
    有無によるメリットとデメリット
    後悔しないホームシアターづくりのヒント

    取材・執筆 / 鴻池賢三
    2023年3月3日更新

    • VGP審査副委員長
      鴻池賢三

重低音を一手に担う特別なスピーカー

一般的なステレオ再生のオーディオシステムになくて、ホームシアターにはあるもの。その代表は「サブウーファー」でしょう。サラウンドシステムの基本といえる「5.1ch」のうち、低域は専用の独立したLFE(Low-Frequency Effect)チャンネルとして収録され、「0.1ch」として表されます。余談ですが、他の5chと比べて0.1chと区別されるのは、扱う周波数が低域に限られていて、帯域(音の周波数の幅)が狭いためです。

  • ◯で囲ったのがサブウーファー。
    フロント、リア、センターの各種スピーカー5基で5ch、サブウーファー1基で0.1chの計5.1chのシステム図です。

本題に戻りますが、そもそもサブウーファーとは、重低音を一手に担う特別なスピーカーです。一般的に電源とアンプ回路も内蔵したアクティブ型が主流で、AVアンプに負担をかけることなく、重厚で迫力のある低域音の再生を可能にしてくれます。「5.1ch」で収録された音源は、LFEが独立して収録されているので、サブウーファーを設けて再生するのが基本といえます。

サブウーファーがないと低音が聞こえない?

一方、「サブウーファーがないと、低音が聞こえないの?」といった疑問も残るでしょう。答えは「いいえ」です。AVアンプでは、スピーカーコンフィギュレーシション(構成設定)で、サブウーファーを「なし」に設定すると、低域成分「0.1ch」は、サテライトスピーカー(フロント、センター、リア)に振り分けられる仕組みになっています。予算やスペースの都合、あるいは近隣への音漏れが気になるなど、サブウーファーの設置が難しい場合、「サブウーファーなし」という選択も一案です。ただし、サテライトスピーカーが充分に大型でなく、低域の再生能力が乏しいタイプだと、低域の迫力が欠けてしまうことはご想像いただけるでしょう。

ホームシアターの醍醐味を味わうなら、基本として「サブウーファーあり」がおすすめです。メリットは、サテライトスピーカーがコンパクトでも、迫力のある低音が楽しめ、システム全体として合理的だからです。

たとえばKEFのサブウーファー「KC62」は、サッカーボール(5号級)と同じくらいのサイズで、コンパクトなのにとってもパワフル。日本のような住環境で、クオリティの高いホームシアターを実現するために、とても役立つサブウーファーのひとつです。

  • サテライトスピーカーがコンパクトでも、サブウーファーを使えば迫力のある低音が楽しめます。
  • KEFのサブウーファー「KC62」。価格は¥242,000(税込)。独自のUni-Core技術によって、従来モデル比で約3分の1以上も小さくしたコンパクトなボディで、驚くほどディープな重低音を生み出してくれます。
  • サブウーファーによって機能はさまざま。どの周波数まで受け持つか調整できるものや、KC62のように部屋のどこに置いているのか、その設置環境にあわせて音響効果を最適化できるモデルもあります。

導入する際の注意点

多くのサブウーファーが担当する120Hz程度以下の低音は、波としての性格が強く表れ、定常波(定在波)となって、音響障害(音のムラ)を引き起こします。サブウーファーの位置や数量を増やすことで、ある程度緩和することができますので、併せて覚えておくとよいでしょう。

  • 低音は方向を感じにくいので、サブウーファーをラックの中に入れてしまえば隠すこともできます。ですが、サブウーファーは筐体振動をするモデルもあり、ラック全体が振動してしまうことも。また、バスレフ型の場合には、ポートからが低音が出て、ラック内で音がこもることもあります。写真のように内部に吸音材を入れるなどの対策が必要です。

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