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レビュー

  • テレビ周りで使いたい!
    厳選スピーカーシステム PART2
    「ハイミドルクラス(20~30万円台)」

    VGP 取材・執筆 / 岩井喬
    2020年9月9日更新

    • VGP審査員
      岩井 喬

ピュアオーディオでも認められる音質

「テレビ周りで使いたい! 厳選スピーカーシステム」、PART2「ハイミドルクラス」では、20~30万円台で購入できるフロア型スピーカーシステムをご紹介していきます。
ハイミドルクラス編で登場するスピーカーは全3モデル。この価格帯では、スタンダードクラスよりもさらに音質に磨きが掛かった、ピュアオーディオ向けとして最適なアイテムが揃います。また、ホームシアターへの展開も意識して、ドルビーアトモス環境を構築する際に活用できるイネーブルドスピーカーをシリーズに揃えるモデルもあります。将来的にサラウンドに拡張したいというニーズにも合致するでしょう。

  • クオリティチェックでは、音楽ソフトと映像ソフトの両方を用意。プレーヤーはパナソニック「DP-UB9000」、アンプはアキュフェーズ「E-480」をレファレンス機器として使用し、各スピーカーが持っているポテンシャルを最大限に引き出した状態でチェックしました。

ELIPSON 「Prestige Facet 14F」

  • ELIPSON
    「Prestige Facet 14F」
    ¥220,000(税抜/ペア)

独自サラウンドリングで最適な特性

ユニット周囲に幾何学模様の立体的なシリコン製サラウンドリングを取り付け、バッフル効果や回折を抑え込んだ2.5ウェイモデル。ユニットは25mm ソフトドームトゥイーターと170mm ウーファー&ミッドレンジ(ミッドレンジはアルミ製フェイズプラグ装着)を搭載しています。バッフル板は2重構造で、内部もブレーシングを施してダンピングを強化。吸音材は3種類を使い分けるほか、高音質パーツを厳選したクロスオーバーネットワークは急峻なフィルター特性を採用しています。

  • Prestige Facetシリーズの特長でもある、ユニット周りに取り付けられたシリコン製サラウンドリングによって、音に悪影響を及ぼす回折効果を抑制し、音に歪みがなく、広帯域でナチュラルなサウンドを実現します。トゥイーターユニットは、25mm シルクソフトドームです。
  • ミッドレンジ、バスレンジの両方で170mm ペーパーコーンウーファーを搭載しています。ミッドレンジ用のウーファーユニットには、弾丸状の位相プラグを備えることで、ユニットの振動を制御し、音質に影響する歪みの低減を可能にしています。

豊かな低域と滑らかな高域がブレンド

どっしりとした豊かな張り出しのローエンドと、艶があって滑らかな高域の響きをブレンドし、コクのある落ち着いたサウンドを味わうことができます。ピアノは涼やかで、シンバルは輝きがいい印象です。ウッドベースはむっちりとしており、ボーカルはシャープに表現されています。ライブBDは厚みのあるリズム隊とコシの太いギターがリードし、ノリよい表現です。FateはSEの伸びがよく、2ch再生でも周囲から音が回り込みます。爆音も重厚で派手な演出でBGMも滑らかに描き、セリフは艶良くウェットで落ち着きがあります。

  • 「Prestige Facet 14F」の音質傾向表

FOCAL 「Chora826」

  • FOCAL
    「Chora826」
    ¥220,000(税抜/ペア)

新たなベーシックラインの最上位機

炭素繊維に熱硬化性ポリマーを含侵させて成形したスレートファイバーコーンを用いる、新たなベーシックラインの最上位モデルです。2~3kHz帯の歪みを大幅に改善させた25mm アルミマグネシウム・インバーテッドドーム型トゥイーターの他、スレートファイバーコーンを用いる165mm ミッドレンジと、2発の165mm ウーファーから構成される、3ウェイ・4スピーカーシステム。傾斜角を設けたアンダーベースが付属し、優れた音場と正確な音像定位を実現します。

  • TNFアルミニウム・マグネシウムを採用したトゥイーターは、Poronと呼称される低反発素材が含まれており、またインバーテッドドームを採用したことで指向性が滑らかになり、どのリスニングポイントで試聴してもシルキーな高域を実現しています。
  • ミッドレンジとウーファーに採用されたスレートファイバーコーンは、軽量かつ高剛性、また優れた振動減衰特性も兼ね備えています。ミッドレンジは高いバランス特性を発揮、ウーファーはダイナミックで豊かな低域再現を可能にしています。

スピーディでリアリティがある

全帯域で制動がよく、リアリティのある表現が特長です。オーケストラも抑揚があって伸びやかで、旋律の鮮度感、ローエンドの躍動感も素晴らしいです。グリップのいいリズム隊の引き締めと、音離れがよく爽やかなピアノの描写も見事で、ライブBDは緻密で立体的です。ボディの厚みがあるボーカルのヌケがよくて、シャキッと立ち上がります。Fateのセリフは厚みとキレを両立。高域は倍音のハリ感中心で小声も鮮明でした。BGMは高分解能で流麗なタッチ。SEも重量感を持たせつつ、キレよく描き、剣戟も軽くすばやい印象でした。

  • 「Chora826」の音質傾向表

ELAC 「CARINA FS247.4」

  • ELAC
    「CARINA FS247.4」
    ¥320,000(税抜/ペア)

スピーカー界の巨匠が手掛けたJETモデル

アンドリュー・ジョーンズが初めて手掛けたJETトゥイーター搭載2.5ウェイモデル。JETトゥイーターも新設計となったほか、分割振動による共振周波数を可聴帯域外に持たせた135mm コンパウンド・カーバチュア・アルミコーンウーファーを2基搭載しています。上位VELAシリーズ譲りの台形型エンクロージャーはブレーシングも施されていて剛性も高いです。底面部はスチール製フレームを設け、ダウンファイアリングによるバスレフポートも組み込んでスマートな意匠としています。

  • CARINAシリーズの為に新搭載された「JETフォールデッド・リボン・トゥイーター」は、パワーハンドリング、トランジェント特性などにおいて圧倒的なアドバンテージを発揮するJETトゥイーターの特長はそのままに、コストパフォーマンスに長けている点がポイントです。
  • ウーファーユニットも新設計されたものであり、コンパウンド・カーバチュアの成形が施されたアルミニウムコーンをユニットに使用することで、共振周波数を再生帯域外に追いやることによって音質への影響を回避しています。

空間がリアルで正確さ抜群

立ち上がり、立ち下がりの正確な瑞々しいサウンド。オーケストラの旋律は潤いがあって伸びやかで、低域の制動も高いです。情報量が多く空間性もリアルです。ピアノのアタックはブライトでリズム隊は締まりが良いです。奥行き表現にも長けており、ライブBDも分離がよく、正確に音場を再現しています。Fateのセリフは緻密で、僅かなエフェクト処理の具合まで掴み取ることができます。BGMは抑揚があって奥行きも深く表現されており、SEのハリ感は華やかで、微細音も鮮明に引き出します。爆発音は引き締め良くキレがあります。

  • 「CARINA FS247.4」の音質傾向表

実力の高さと価格とのバランスが最も優秀

20万~30万円台のモデルが中心となった「ハイミドルクラス」のクオリティチェックを終え、実力の高さと価格のバランスが最も取れているクラスだと感じました。初めてテレビシアターを導入するユーザーの方でも、欲をいえば、こちらの価格帯を視野に入れて製品選びをしてほしいと思うほどです。長い時間聴いていても飽きの来ない、優れたサウンドを味わうことができることがとても印象的でした。
特にエラックの「CARINA FS247.4」のオールマイティーさには感服しました。立ち上がり・立ち下がりのいい高レスポンスなJETトゥイーターならではのメリットが生かされているのでしょう。フォーカルの「Chora 826」のリアルさと脚色のよさを絶妙なバランスで取り合わせたサウンドは好印象でした。エリプソンの 「Prestige Facet 14F」も価格以上のサウンドが味わえます。長期間システムを固定して楽しみたいユーザーにとっても魅力的な選択肢となるはずです。

SPEC

ELAC「CARINA FS247.4
●型式:2.5ウェイ・バスレフ型 ●使用ユニット:トゥイーター JET folded ribbon×1、ウーファー 135mmアルミニウム・コーン×2 ●再生周波数帯域:34Hz~30kHz ●クロスオーバー周波数:1kHz、2.7kHz ●感度:87dB ●インピーダンス:6Ω ●外形寸法:210W×1070H×W210×213Dmm ●質量:16.4kg

ELIPSON「Prestige Facet 14F
●型式:2.5ウェイ・バスレフ型 ●使用ユニット:トゥイーター 25mmシルクソフトドーム×1、ミッドレンジ 17cmペーパーコーン/アルミ製フェイズプラグ×1ウーファー 17cmペーパーコーン×1 ●再生周波数帯域:38Hz~25kHz ●クロスオーバー周波数:600Hz、2.5kHz ●感度:92dB ●インピーダンス:6Ω ●外形寸法:208W×1005H×289Dmm ●質量:19kg

FOCAL「Chora826
●型式:3ウェイ・バスレフ型 ●使用ユニット: トゥイーター 25mmTNF Al/Mgインバーテッドドーム×1、ミッドレンジ 165mmスレートファイバー×1、ウーファー 165mmスレートファイバー×2 ●再生周波数帯域: ●クロスオーバー周波数:270Hz、2.7kHz ●感度:91dB ●インピーダンス:8Ω ●外形寸法:303W×1053H×388Dmm ●質量:21.15kg

REFERENCE

[主な音楽ソフト]
『holst the planets』 chicago symphony orchestra/levine
『We Get Requests』 The Oscar Peterson Trio
『MENIKETTI』 Dave Meniketti

[主な映像ソフト]
『Fate/stay night〔Heaven’s Feel〕Ⅱ.lost butterfly』
『Chicago Live in Concert』

[試聴ポイント]
映像ソフトの試聴ポイントをご紹介します。ライブBDのシカゴは2008年のTVプログラムにおけるライブ映像で、ビル・チャップリンやジェイソン・シェフがまだ在籍していた時代のもの。楽曲はホーンセクションの演奏も映える「長い夜」を選びました。映画作品では張った声の演技や派手なSE、印象的なBGMの存在感が融合したアニメ作品から『Fate/stay night〔Heaven’s Feel〕Ⅱ.lost butterfly』(以下、Fate)を選択。確認したのはch8からの雨のシーンと、ch11のセイバーオルタとバーサーカーとの戦闘シーン。ch8では、“静”のポイントとして、セリフの質感に注目。雨音が包み込むSEのバランスとともに、セリフの口元の動きの鮮やかさと息遣い、声の潤い感も確認しています。ch11では“動”をポイントとして、剣戟や殴打音、爆発などのSEの迫力とそれに負けないセリフの明瞭さ、そしてBGMのストリングスの旋律の鮮やかさを確認しています。特に戦闘の最中、イリヤがバーサーカーに向け僅かに発する小声がSEとの対比でどの程度はっきりと聞こえるかも注視しました。

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