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レビュー

  • テレビ周りで使いたい!
    厳選スピーカーシステム PART3
    「ハイグレードクラス(40〜50万円台)」

    VGP 取材・執筆 / 岩井喬
    2020年9月16日更新

    • VGP審査員
      岩井 喬

音質に一切の妥協なしのプレミアムクラス

「テレビ周りで使いたい! 厳選スピーカーシステム」、PART3「ハイグレードクラス」では、各社40~50万円台のフロア型スピーカーシステムを取り上げていきます。

ハイグレードクラス編では、3モデルをご紹介。スピーカーブランドとして長い歴史を築き上げてきたKEFやディナウディオ、新鋭ブランドとして話題を集めているアンフィオンなど、ピュアオーディオファンからも注目度の高いスピーカーブランドを集めました。各社のラインアップの中でも、デザイン性や仕上げ、音質においても妥協の一切ないモデルを厳選。音楽再生はもとより、映画のサウンドも、ステレオ再生で緻密かつリアルに盛り上げてくれるスピーカーをレビューしていきます。

  • クオリティチェックでは、音楽ソフトと映像ソフトの両方を用意。プレーヤーはパナソニック「DP-UB9000」、アンプはアキュフェーズ「E-480」をレファレンス機器として使用し、各スピーカーが持っているポテンシャルを最大限に引き出した状態でチェックしました。

AMPHION 「Argon3LS」

  • AMPHION
    「Argon3LS」
    ¥458,000(税抜/ペア)
    ※ブラック/スタンダードホワイト。

パッシブラジエーターなどで自然な繋がりを

スタジオモニターとしても評価されているアンフィオンの中核シリーズにラインアップされる、2ウェイスピーカーです。SEAS製のカスタム品となる25mm チタンドームトゥイーターと、180mm アルミコーンウーファーを搭載のほか、高域側にはウーファーと同口径の開口部を持つコーリアン製ウェーブガイドを備え、低域側との音の繋がりのよさを追求。クロスオーバー周波数は低めで、トゥイーターの担当音域が広くなっています。パッシブラジエーターを採用したことで、歯切れのよい低域再生を実現しています。

  • トゥイーターはチタニウムユニットとなっており、独自形状のウェーブガイドを周囲に配置することで再生音の効率と指向性を最適にコントロールしています。トゥイーターとウーファーのボイスコイル配置を一致させることで位相を整合し、ネットワーク回路もシンプルにして、自然で美しく明瞭な音色を再現します。
  • 180mm ウーファーには、アルミ素材を採用することで、クリアかつ開放感に溢れるサウンドに。また、背面にはパッシブ・ラジエーターを搭載することで、量感とスピード感を両立した低域表現を可能にしています。

ふくよかな響きと重く力強い低域再現

中低域のコシが太く安定傾向にあります。オーケストラの旋律は透明度が高く、清廉さとふくよかな響きを併せ持ち、低域はずっしりと重く力強い印象です。ボーカルはハリがあってしなやかで、高域にかけて倍音の際立ちが強く、シンバルもブライトに輝きます。ライブBDはリズム隊やギターが太く滑らかで、こってりとした濃密なタッチ。Fateのセリフは艶良くウェットでエッジの利いた女性に対し、男性はウォームで大人びた描写となりました。SEは低域が豊かで剣戟も重く、BGMは抑揚があってリッチです。

  • 「Argon3LS」の音質傾向表

DYNAUDIO 「Evoke 30」

  • DYNAUDIO
    「Evoke 30」
    ¥460,000(税抜/ペア)

高精度コーティングの採用が特長

最新世代のCerotar精密コーティング採用28mm ソフトドームトゥイーターと、スタガー接続される2発の新開発14mm Esotec+ウーファーを搭載した、スリムな2.5ウェイ。いずれも炭酸ストロンチウム・フェライト+・セラミックマグネットを装備し、ウーファーには伝統のMSP(珪酸マグネシウム・ポリマー)振動板を採用しています。トゥイーター内部には特殊なディンブルを設けたインナードームHexisを用いてエアフローを制御し、不要共振を抑え込みます。

  • 高精度コーティングを施したソフトドーム・トゥイーターには、新開発の「Cerotar」を採用。マグネットは、炭酸ストロンチウム・フェライトとセラミックをプラスしています。
  • 140mmウーファーを2基・スタガー構成で搭載しています。ディナウディオの伝統的なユニット素材であるMPS(珪酸マグネシウム・ポリマー)をEvole 30でも採用。

質感がなめらかでゴージャスなサウンド

高域にかけ艶ノリがよく、質感も滑らかでゴージャスなサウンド傾向です。オーケストラはウェットで伸びやかです。中低域は太く響くがしなやかにまとめ、解像度も高いです。ライブBDのホーンセクションは鮮やかに切れ込みます。厚みのあるリズム隊のノリもよく、スネアはスッキリと抜けます。ボーカルは艶やかです。Fateのセリフは潤いがあって爽やかなタッチ。BGMは弦のハリがあって、広がりや奥行きも深いです。SEも派手な傾向で、剣戟の金属音は鮮やかです。エフェクト感もわかりやすいです。

  • 「Evoke 30」の音質傾向表

KEF 「R7」

  • KEF
    「R7」
    ¥500,000(税抜/ペア)

最新世代のUni-Q同軸ドライバーを搭載

新生Rシリーズの中級フロア型3ウェイ。高周波の回折効果を防ぐShadow Flareを組み合わせた125mmのUni-Q同軸ドライバーは、25mm ベンテッドアルミドームトゥイーターと、アルミコーンミッドレンジによる構成。Uni-Qを挟み込む2発の165mmウーファーは、ペーパーコーン上にアルミコーンを組み合わせたハイブリッド型です。筐体内部のブレーシング材は振動を減衰させるダンピング材で結合されており、不要振動を消散します。

  • 25mmのアルミドーム・トゥイーターと125mmのミッドレンジ・ウーファーを組み合わせた12世代目となるUni-Qドライバーを搭載。高周波キャビネット回折効果を抑制するShadow Flareを採用したことで、Uni-Qのウェーブガイド効果をさらに高めています。
  • ペーパーコーンの上に浅い凹型のアルミニウムスキンを施した2部構造を採用。高い剛性と理想的なユニット駆動を可能にしています。さらに磁気回路のリニアリティも高めたことによって、インパクトのある低域再現に繋がっています。

解像感の高い音像とシームレスな空間性

低重心で安定感のある音像描写と、付帯感がなく、それでいて豊かな広がりのあるシームレスな音場表現が特徴的です。オーケストラは朗々と響き、管弦楽器も溌溂と浮き立ちます。輝きのあるピアノ表現で、ボディの厚みも素直に表現します。ライブBDのリズム隊は厚みがあってエネルギッシュで、ギターやホーンセクションも厚みがあります。ボーカルはドライな傾向だがフォーカスが定まった表現です。FateはBGMの解像度が高く、SEも制動の効いた重厚な押し出しを見せ、空間性が高いです。セリフは低重心でメリハリがあってニュートラル。囁くような小声の表現まで鮮明です。

  • 「R7」の音質傾向表

クオリティだけでなく個性の豊かさも魅力

「ハイグレードクラス」は、PART1とPART2で取り上げたスピーカー群と比較すると、基礎能力が高いというだけでなく、個性の豊かさも魅力だと感じました。リアル志向の「R7」とその対極にある色彩豊かな艶に満ちた「Evoke 30」、この2モデルの中間的な、まさに中庸を狙った「Argon 3LS」と、全くキャラクターが違います。“価格が高ければすべてよし”ということではなく、ブランドごとの色、振り幅が大きい印象であり、リスナーの好みに応じて深掘りできる点によさがあると感じました。

リニアPCM再生でありましたが、映画作品ではSEの逆相成分がよい方向で作用し、スピーカーの外側からも音が聴こえてくる場面がいくつか存在しました。それだけ位相表現のよさ、基本スペックのよさが試されるわけですが、「ハイグレードクラス」であれば、そうした細かな部分の再現性も明確に描きわけてくれるでしょう。

SPEC

AMPHION「Argon3LS
●型式:2ウェイ・密閉型 ●使用ユニット:トゥイーター 1インチチタニウム×1、ミッドレンジ・ウーファー 6.5インチアルミニウム×1 ●再生周波数帯域:22Hz~25kHz ●クロスオーバー周波数:1.6kHz ●感度:85dB ●インピーダンス:8Ω ●外形寸法:191W×968H×305Dmm ●質量:22kg

DYNAUDIO「Evoke 30
●型式:2.5ウェイ・バスレフ型 ●使用ユニット:トゥイーター 28mmCerotar with Hexis×1ウーファー 140mmMSPコーン×2 ●再生周波数帯域:40Hz~23kHz ●クロスオーバー周波数:1.2kHz、2.3kHz ●感度:88dB ●インピーダンス:4Ω ●外形寸法:180W×900H×267Dmm ●質量:15.5kg

KEF「R7
●型式:3ウェイ・バスレフ型 ●使用ユニット:トゥイーター 25mm ventedアルミニウムドーム×1、ミッドレンジ 125mm アルミニウムコーン×1、ウーファー 165mmハイブリッドアルミベース ●再生周波数帯域:33Hz〜50kHz ●クロスオーバー周波数:400Hz、2.9kHz ●感度:88dB ●インピーダンス:8Ω ●外形寸法:200W×1062H×383.5Dmm ●質量:31.4kg

REFERENCE

[主な音楽ソフト]
『holst the planets』 chicago symphony orchestra/levine
『We Get Requests』 The Oscar Peterson Trio
『MENIKETTI』 Dave Meniketti

[主な映像ソフト]
『Fate/stay night〔Heaven’s Feel〕Ⅱ.lost butterfly』
『Chicago Live in Concert』

[試聴ポイント]
映像ソフトについて、試聴ポイントをご紹介します。ライブBDのシカゴは2008年のTVプログラムにおけるライブ映像で、ビル・チャップリンやジェイソン・シェフがまだ在籍していた時代のもの。楽曲はホーンセクションの演奏も映える「長い夜」を選びました。映画作品では張った声の演技や派手なSE、印象的なBGMの存在感が融合したアニメ作品から『Fate/stay night〔Heaven’s Feel〕Ⅱ.lost butterfly』(以下、Fate)を選択。確認したのはch8からの雨のシーンと、ch11のセイバーオルタとバーサーカーとの戦闘シーン。ch8では、“静”のポイントとして、セリフの質感に注目。雨音が包み込むSEのバランスとともに、セリフの口元の動きの鮮やかさと息遣い、声の潤い感も確認しています。ch11では“動”をポイントとして、剣戟や殴打音、爆発などのSEの迫力とそれに負けないセリフの明瞭さ、そしてBGMのストリングスの旋律の鮮やかさを確認しています。特に戦闘の最中、イリヤがバーサーカーに向け僅かに発する小声がSEとの対比でどの程度はっきりと聞こえるかも注視しました。

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