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レビュー

  • テレビ周りで使いたい!
    厳選スピーカーシステム PART1
    「スタンダードクラス(10万円台)」

    VGP 取材・執筆 / 岩井喬
    2020年8月26日更新

    • VGP審査員
      岩井 喬

リーズナブルでコスパも高い10万円台

ホームシアターは、スピーカーを多数使ったマルチチャンネルでサラウンドを楽しめることが醍醐味のひとつですが、テレビ周りで完結するテレビシアターのシステムであれば、そこまで大規模ではないステレオシステムを導入してみることも、ひとつの手です。テレビ周りの2chのスピーカーシステムをセッティングするだけで、放送番組や映画、そして音楽再生まで、あらゆるコンテンツを高音質で楽しめ、さらにインテリア性も両立できれば、理想的なテレビシアターを実現できます。

そこで本特集では、全4回に渡り、テレビシアターでぜひ使ってみて欲しいスピーカーシステムの比較レビューをお届けします。Part1「スタンダードクラス編」では、ペア10万円台で導入できるモデルをご紹介していきます。スピーカースタンドのいらないフロア型スピーカーとしては、非常にリーズナブルなクラスで、コストパフォーマンスの高さも重視される価格帯です。

  • クオリティチェックでは、音楽ソフトと映像ソフトの両方を用意。プレーヤーはパナソニック「DP-UB9000」、アンプはアキュフェーズ「E-480」をレファレンス機器として使用し、各スピーカーが持っているポテンシャルを最大限に引き出した状態でチェックしました。

MONITOR AUDIO 「Monitor 200」

  • MONITOR AUDIO
    「Monitor 200」
    ¥80,000(税抜/ペア)

ネオンオレンジが目を惹く新生シリーズ

伝統的な角型シェイプですが、トゥイーターリングとウーファーの振動板をトレンドカラーであるネオンオレンジとして現代的なイメージを持たせた、新生Monitorシリーズの2.5ウェイモデルです。ブラック仕様の2.5cm Black C-CAMドームトゥイーターと、新たな表面処理を行った2発の14cm 改良型MMP IIウーファーを採用しました。この2発のウーファーは個別キャビティに収められ、周波数チューニングをずらしたスタガード方式が採用されています。ポート内に溝を設けて乱流を抑える「HiVe IIテクノロジー」も搭載しています。

  • 表面にブラック処理された「Black C-CAMドーム トゥイーター」は、アルミ・マグネシウム合金の表面に対してセラミック処理を施したことで、固有の色付けのない高域再生を可能にしています。
  • オレンジのカラーが特徴的なウーファー・ユニットには、同社で実績のあるMMP IIドライバーを採用。さらに今回のMonitorシリーズ用にブラッシュアップしたことで、自然ながらハイスピードのサウンドを実現させています。

丁寧かつ高解像度のサウンド傾向

リッチで伸び良い低域を適切にコントロールし、すっきりとした余韻表現を素直に聴かせてくれます。ピアノのアタックは澄み渡り、管弦楽器もキレ良く爽やかです。ライブBDは丁寧かつ高解像度なサウンド傾向で、リズム隊のアタックや拍手を粒立ち良く描きます。ボーカルはヌケ良く爽やかで、ソリッドに定位。Fateのセリフはクールなタッチで歯切れが良い印象です。BGMは高域の鮮やかさが際立ち、ハリ感が前へ出てきます。SEも爆発音は高域のアタックが中心で、低域は締まり良く表現されています。

  • 「Monitor 200」の音質傾向表

DALI 「OBERON5」

  • DALI
    「OBERON5」
    ¥115,000(税抜/ペア)

リビング設置に最適な拡散性特性も

歪みを低減する特許技術のSMCマグネットシステムをこのクラスで初搭載。同システムに加え、駆動力を強化する4層巻きCCAWボイスコイルを用いた2発の130mm ウッドファイバーコーンウーファーと、29mmの大口径シルクドーム型トゥイーターを搭載する2ウェイモデル。リビング設置に最適な広拡散特性を持たせた設計も特長の一つです。高剛性MDFによるエンクロージャーはスマートな設計で、インテリアとマッチングの良い配色とデザインを取り入れています。

  • 29mm ソフトドーム・トゥイーターは、一般的な25mmトゥイーターと比較して口径が大きいものを採用。この大口径化とウーファーの中音域特性の改善とが相まったことで、ボーカルの鮮明さを向上させています。
  • ウーファーには、上位モデルで採用されていた同社の特許技術である「SMCテクノロジー」を、スタンダードクラスに初搭載。中音域の歪を劇的に低減しています。素材にウッドファイバー・コーン・ウーファーが用いられており、均等な振動特性により自然な音を再現します。

エッジの強い高域と濃厚な低域がマッチ

低域は弾力良く締まり、音場の見通しが良い爽やかなサウンドです。管弦楽器の旋律は艶良く華やかで、ピアノも倍音の伸びが豊かに表現。ライブBDではエレキの中域は粘り良く、リズム隊も高密度。ボーカルは高域のエッジ感が強めですが、きつさはありません。FateのSEは禍々しさが伝わる低域の濃厚さ、爆撃や剣撃の鮮烈さは高域のエッジ感が補います。ウェットで艶良いセリフを丁寧に拾い、小声も明瞭です。男声も落ち着きがあり、BGMは高域のエナジーが強めで、艶のある華やかさが際立ちます。

  • 「OBERON5」の音質傾向表

ECLIPSE 「TD508MK3」

  • ECLIPSE
    「TD508MK3」
    ¥59,000(税抜/1本)
    ※専用スタンド「508DMK3」 ¥30,000(税抜/1本)

正確な音を追求したロングセラー

「TD508MK3」はインパルス応答を正確に表現できるスピーカーとしてロングセラーを続けるTDシリーズの中核モデルです。内部定在波や回折効果を抑える「エッグシェル・コンストラクション」を取り入れた他にはない意匠が特徴です。8cmフルレンジスピーカーは仮想フローティング構造のディフュージョン・ステーに固定し、筐体とは分離させて付帯音を防ぐとともに、高速振動を受け止めるグランド・アンカーも装着、理想的なスピーカー駆動を追求しています。

  • 内部定在波、前面バッフルで発生する回析効果などを抑制する、独自筐体「エッグシェル・コンストラクション」を採用。8cm フルレンジのスピーカーユニットは、固有の音色を持たないグラスファイバーの振動板素材を導入しており、クリアで正確な音の再現を実現しています。
  • スピーカー部とスタンド部を、3本のスパイクとオリジナルの特殊固定構造によって点接触をさせることで、不要な振動を排除し、タイトな低音域の再生を可能にしました。 また角度調整機能を採用しており、スピーカー部を-10°~30°の範囲で無段階に調整でき、よりシビアにリスニングポイントを調整できます。

音像のフォーカスとキレの良さが印象的

低域のダンピングが高く、音像の定位も点音源再生らしくフォーカスが良いです。管弦楽器はしなやかなハーモニーを見せ、太鼓の革のハリも明瞭で余韻は澄み切っています。ボーカルは口元を鮮やかに描き、クールに際立たせます。ライブBDはリズム隊のアタックを密度良く低重心に表現し、ホーンもリアルで、個々のパートの分離感も良好。Fateはウェットで鮮やかなセリフのキレが印象的でした。SEもエッジの立った鮮明な音で、爆発音は高域のエナジーが強めです。

  • 「TD508MK3」の音質傾向表

TANNOY 「Platinum F6」

  • TANNOY
    「Platinum F6」
    ¥85,000(税抜/1本)

新設計の3ウェイシステムを導入

シックなインテリアに馴染みよいブラックや木目調などのカラーバリエーションを揃え、どのモデルも落ち着きのある佇まいで、モダンな意匠が印象的な3ウェイ・スピーカーです。新設計のマルチファイバーペーパーコーンによる165mm ウーファー&ミッドレンジとの間に、25mm シルクドームトゥイーターを挟み込んだ仮想同軸構造を取り入れ、伝統の同軸スタイルをリスペクトしているかのような仕様が施されています。19mm 厚MDFによるキャビネットは、高剛性積層合板を用いたブレーシングを施し、共振を抑え込みます。

  • 25mm トゥイーターユニットは、シルクドームを採用しており、スムーズな音色でボーカルや楽器を細部まで表現できます。
  • ウーファーユニットは、ミッドレンジ用とバスレンジ用に、165mm ウーファーユニットをそれぞれ1基搭載。新設計の3ウェイ構成も特長的です。

太くどっしりとした豊かな低域再現

リッチなサウンド傾向で、低域も太くどっしりと響きます。高域は滑らかで艶良い倍音表現となっており、音場も広く、管弦楽器は流麗に浮き立ちます。また、ボーカルは肉付き良く滑らかな印象です。ライブBDはリズム隊を厚くまとめ、ギターのコシも太く、ホーンは華やかに拡散し、ボーカルはシャープなタッチで描いています。FateのBGMは艶ハリ良くウェットな浮き立ちで、セリフは落ち着いたボディ感と口元のハリをバランス良く両立。SEは迫力良く豊かな傾向で、爆風も派手な演出です。

  • 「Platinum F6」の音質傾向表

JBL 「STUDIO 698」

  • JBL
    「STUDIO 698」
    ¥100,000(税抜/1本)

JBLならではのスタイルを現代的に

HDイメージング・ウェーブガイドと組み合わせた25mm コンプレッションドライバーと、コルゲーションによって振動板強化を行った2発の165mm PolyPlasコーンウーファーから構成される大型2.5ウェイモデル。側板の中央部付近に膨らみを持たせ、内部定在波抑制と剛性強化を追求した木目調キャビネットを採用しています。スマートなフロア型ですが、このクラスとしては希少なホーン型モデルのトゥイーターで、JBLらしいスタイルを現代的にアレンジしたハイC/P機です。

  • トゥイーターユニットには、高い解像度と明瞭度を誇る、JBLならではのハイデフィニション・オーディオ・イメージング・ウェーブガイドを採用したことによって、広がりのあるライブコンサートのようなサウンドを体感できます。
  • PolyPlas中音域トランスデューサーを導入した152mm ウーファーをミッドレンジ用に、コーン低音域トランスデューサーを採用した203mm ウーファーをバスレンジ用に搭載。ホームユースモデルながら、JBLがプロフェッショナルで培ってきたノウハウを細部に導入することで、正確な音策再生を目指しています。

爽快感と勢いの良さを併せ持ったサウンド

メリハリ良くダンピングの効いた明瞭なサウンドで、ローエンドは弾力良く軽やかです。オーケストラは勢いがあり、ヌケ良く爽やかであり、ピアノも涼やかで、ボーカルはキレ良くシャープに定位しています。ライブBDのリズム隊はタイトで、ホーンもしゃっきりと鮮明に描かれ、拍手も細かく音離れが良いです。FateのSEはスカッと爽快なタッチで、爆風の低域も制動良く、高域のエッジ感をくっきりと描きます。BGMも爽やかに浮かび、セリフはハキハキとして自然な厚みがあり、吐息表現も生々しく感じました。

  • 「STUDIO 698」の音質傾向表

スタンダードクラスながら十分リッチな音表現

今回のクオリティチェックを通して、下は10万円未満、上は20万円ジャスト、音質への信頼度が高いピュアオーディオブランドのコストパフォーマンスの高いモデルを中心に視聴してきましたが、ステレオ環境でも映像作品を十分リッチに楽しめることが実感できました。「スタンダードクラス」であっても映像作品でポイントとなる低域の豊かさが得られる一方、価格帯が高くなるほどに制動力も追随し、空間再現力を高められていました。

スピーカーの設置スペースや出せる音量に余裕がありそうであれば、JBL「STUDIO 689」がお薦めです。迫力のあるサウンドで、コストパフォーマンスの高さも圧倒的です。比較的に小音量で、再生音の正確さや自然な空間再現性を味わいたいなら、イクリプスの「TD508MK3」などが最適です。ロングセラーモデルであることも頷けます。

SPEC

MONITOR AUDIO「Monitor 200
●型式:2.5ウェイ・バスレフ型 ●使用ユニット:トゥイーター 25mmC-CAM×1、ミッドレンジ 140 mmMMPII Bass/Midドライバー×1、ウーファー 140 mmMMPII Bassドライバー×1 ●再生周波数帯域:40Hz~30kHz ●クロスオーバー周波数:650Hz、2.2kHz ●感度:88dB ●インピーダンス:8Ω ●外形寸法:215.4W×873H×309.8Dmm ●質量:10.82kg

DALI「OBERON5
●型式:2ウェイ・バスレフ型 ●使用ユニット:トゥイーター 29mmソフトドーム×1、ウーファー 130mmウッドファイバーコーン×2 ●再生周波数帯域:39Hz〜26kHz ●クロスオーバー周波数:2.4kHz ●感度:88dB ●インピーダンス:6Ω ●外形寸法:162W×830H×283Dmm ●質量:10.8kg

ECLIPSE「TD508MK3
●型式:フルレンジ・バスレフ型 ●使用ユニット:80mmグラスファイバーコーン(フルレンジ)×1●再生周波数帯域:52Hz~27kHz(-10dB) ●クロスオーバー周波数:- ●感度:82dB ●インピーダンス:8Ω ●外形寸法:180W×289H×268Dmm ●質量:約3.5kg

TANNOY「Platinum F6
●型式:3ウェイ・バスレフ型 ●使用ユニット:トゥイーター 25.4mmシルクドーム×1、ミッドレンジ 165mmマルチファイバーペーパーコーン×1、ウーファー 165mmマルチファイバーペーパーコーン×1 ●再生周波数帯域:40Hz~20kHz ●クロスオーバー周波数:350Hz、2.5kHz ●感度:87dB ●インピーダンス:8Ω ●外形寸法:300W×1078H×235Dmm ●質量:17.1kg

JBL「STUDIO 698
●型式:3ウェイ・バスレフ型 ●使用ユニット:トゥイーター 25mmHDIホーンコンプレッションドライバー×1、ミッドレンジ 150mmポリプラスコーン×1、ウーファー 200mmポリプラスコーン×2 ●再生周波数帯域:36Hz~40kHz ●クロスオーバー周波数:320Hz、1.8kHz ●感度:90dB ●インピーダンス:6Ω ●外形寸法:300W×1058H×400Dmm ●質量:35.8 kg

REFERENCE

[主な音楽ソフト]
『holst the planets』 chicago symphony orchestra/levine
『We Get Requests』 The Oscar Peterson Trio
『MENIKETTI』 Dave Meniketti

[主な映像ソフト]
『Fate/stay night〔Heaven’s Feel〕Ⅱ.lost butterfly』
『Chicago Live in Concert』

[試聴ポイント]
映像ソフトについて、試聴ポイントも軽く述べておきましょう。ライブBDのシカゴは2008年のTVプログラムにおけるライブ映像で、ビル・チャップリンやジェイソン・シェフがまだ在籍していた時代のもの。楽曲はホーンセクションの演奏も映える「長い夜」を選びました。映画作品では張った声の演技や派手なSE、印象的なBGMの存在感が融合したアニメ作品から『Fate/stay night〔Heaven’s Feel〕Ⅱ.lost butterfly』(以下、Fate)を選択。確認したのはch8からの雨のシーンと、ch11のセイバーオルタとバーサーカーとの戦闘シーン。ch8では、“静”のポイントとして、セリフの質感に注目。雨音が包み込むSEのバランスとともに、セリフの口元の動きの鮮やかさと息遣い、声の潤い感も確認しています。ch11では“動”をポイントとして、剣戟や殴打音、爆発などのSEの迫力とそれに負けないセリフの明瞭さ、そしてBGMのストリングスの旋律の鮮やかさを確認しています。特に戦闘の最中、イリヤがバーサーカーに向け僅かに発する小声がSEとの対比でどの程度はっきりと聞こえるかも注視しました。

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