VGP phileweb

レビュー

  • 4K/HDRを堪能できる!
    厳選プロジェクターを徹底レビューPART3
    ハイグレードクラス編

    VGP 取材・執筆 / 大橋伸太郎
    2020年11月18日更新

    • VGP審査委員長
      大橋 伸太郎

ホームシアター専用室にぴったりの高画質モデル

全4回に渡ってお薦めプロジェクターを厳選してご紹介する、特集「4K/HDRを堪能できる! 厳選プロジェクターを徹底レビュー」。PART3では、50万円を超える高級価格帯のモデルがラインアップされる「ハイグレードクラス」から、厳選3モデルのレビューをお届けします。

ハイグレードクラスは、映画館のように部屋を暗くして楽しむ本格的なホームシアター専用室に最適な高画質プロジェクターが揃っています。他のクラスでは味わえない映像美を堪能できることもハイグレードクラスならではの特長。4K/HDRにただ対応するだけではなく、映像がもつ情報量を最大限に引き出す、高画質技術が搭載されていることも大きな魅力です。画質にこだわるユーザーは必見のレビューです!

  • ハイグレードクラスは、高級機クラスならではの高画質が楽しめることが最大の魅力。レンズシフト機能やズーム/フォーカスなどの機能も非常に使いやすく、調整幅が広いことも特長です。ホームシアター専用室を作ろうと思っている映画ファンに、ぜひお薦めしたいクラスです。

「スタンダードクラス」はこちら>>>厳選プロジェクターを徹底レビューPART1

「ミドルクラス」はこちら>>>厳選プロジェクターを徹底レビューPART2

「超短焦点プロジェクター」はこちら>>>厳選プロジェクターを徹底レビューPART4

SONY「VPL-VW255」〜ネイティブ4K対応のエントリー機

  • SONY
    「VPL-VW255」
    ¥OPEN(実勢価格¥495,000前後)

0.74型ネイティブ「4K SXRD」を採用。光源に225Wの高圧水銀ランプを採用し、最大輝度1500lmを実現しています。また、同社のテレビ「ブラビア」で定評のある「データベース型超解像処理LSI(リアリティークリエーション)」により、フルHD映像を高品位な4K映像に生成してくれます。HDCP2.2や18Gbps入力など4K入力にフル対応し、4K放送も存分に楽しむことができます。HDRはHDR10/HLGに対応するほか、9種類のピクチャープリセットも用意するなど、機能も充実しています。

  • フルHDを4K映像信号に変換する、新規技術の「データベース型超解像処理LSI(リアリティークリエーション)」を搭載。ソニー独自のデータベース型技術をパターン分類手法の学習型に進化させることで、画像に合わせた最適な超解像処理が実現しています。
  • 映像モードには、「シネマ フィルム1」「シネマ フィルム2」「リファレンス」「TV」「フォト」「ゲーム」「ブライトシネマ」「ブライトTV」「ユーザー」を用意。数多くの映像モードと採用することで、いかなるコンテンツにも最適な映像処理を施すことができます。

クオリティチェック〜明暗の表現が力強く透明感も備える

4K SXRDパネルを採用したエントリーモデルですが、力強く輝く紛れもないソニーの映像です。UHD BD『ジョーカー』は、明暗が力強く透明感もありバランスに優れています。シャドウ部が潰れず情報とニュアンスを出すのも立派。UHD BDのチェックディスクは、ヘリ撮影の夜景の灯火が滲まず夜の底まで見通せます。自然光の明るいシーンでも映像が浮つきません。Blu-rayの映画はハイコントラストでカラフル、密度の高さはアップスケーラーの確かな仕事と言えるでしょう。

  • 「VPL-VW255」の傾向表

SONY「VPL-VW555」〜ソニーの中核を担う本格派モデル

  • SONY
    VPL-VW555
    ¥OPEN(実勢価格¥900,000前後)

 ソニーの4K SXRDプロジェクターの中核を担うのが本機です。0.74型ネイティブ4K解像度の4K SXRDデバイスを採用。光源の高圧水銀ランプは、「VPL-VW255」の225W/1500lmに対し、280W/1800lmとパワーアップ。他にも、映像に合わせて光量を最適化してくれる「アドバンスドアイリス3」や、色バランスのズレを自動補正してくれて長時間の使用にも安心の「オートキャリブレーション」に対応。リモコンからレンズのフォーカス、サイズ調整なども可能です。
 なお、現在は本機の後継機種として、ランプパワーなどの基本スペックは踏襲しながら、HDRコンテンツに対して最適なコントラストを提供する 「ダイナミックHDRエンハンサー」やデジタル処理でレンズ性能を向上させる「デジタルフォーカスオプティマイザー」を搭載した「VPL-VW575」も発表されています。

  • 映像の白から黒への比率を識別してアイリスを絞ることで、ランプの光量を映像に合わせて調整する「アドバンストアイリス3」に対応。ピーク輝度を電気処理により、もとの白ピークレベルまで補正しながら、さらに深い黒も再現します。
  • 映像モードは、下位機の「VPL-VW255」と同様の項目を用意。アドバンストアイリスには、絞りの可動範囲を変更できる「ダイナミックコントロール」、設定値を大きくすると明るく、小さくすると暗くなる「明るさ」の設定が可能です。ダイナミックコントロールは、入力ソースの輝度レベルに応じて絞りと信号処理を自動調整して光量を最適化する「フル」、フルより絞りの動きや明るさを抑えて、暗室の視聴に適した「リミテッド」、オフにする「切」から選択ができます。

クオリティチェック〜緻密さと落ち着きを兼備しクラスを越える

明るさに余裕があり、UHD BDは、透明感が増して緻密で落ち着いたワンランク上の画が特長です。ハイコントラストでノイズも少なく、カラフルで胸のすくような映像は目を見張ります。「アドバンストアイリス3」の設定項目は、「フル」「リミテッド」「オフ」を用意。ソースによっては違いがわずかに感じられますが、積極的に使用したいです。Blu-rayの映画は立体感に富み、吹きこぼれる色彩美。ソニー長年の経験から生まれた、大画面の美学が結集しています。

  • 「VPL-VW555」の傾向表

JVC「DLA-V7」〜高品位レンズと進化し続けるHDR技術

  • JVC
    「DLA-V7」
    ¥1,000,000(税抜)

0.69型ネイティブ4KのD-ILAデバイス搭載プロジェクター。本機は光源に265W NSHランプを採用し、明るさ1900lmを実現しています。フロントエンドまでオールガラスの15群17枚の口径65mm レンズシステムは大きな魅力。HDRコンテンツのマスタリング情報を参照し画質を自動調整する「オートトーンマッピング」に加え、フレーム毎にピーク輝度を解析して最適なトーンマッピングを行なう「Frame Adapt HDR」がアップデートで追加対応しています。さらに2020年11月に予定するアップデートで、使用環境に最適化されたHDR映像表現を実現する新機能 「Theater Optimizer」 も追加されます。ユーザー志向で長く使えることも、JVCならではの魅力です。

  • HDR10コンテンツの映像をフレームごとに解析し、最適なトーンマッピング処置をする「Frame Adapt HDR」に対応。暗いシーンではより深い黒の階調を、明るいシーンでは破綻せずにピーク輝度の向上を実現しました。また、ガンマ処理精度を18-bitまで高めることで、なめらかなグラデーションも再現します。
  • ピクチャーモードは、「ナチュラル」「シネマ」「HDR10」「Frame Adapt HDR」「HLG」「フィルム」「User 1~User 6」を用意。映画コンテンツ、HDRコンテンツで映像モードがさらに細分化されており、コンテンツのもつ特長に対して細かく調整していきたいユーザーのニーズにも応える映像調整機能を備えています。

クオリティチェック〜群を抜くリアリティで耽美性を追求

UHD BD『ジョーカー』では、ホアキン・フェニックスのドーランの肌理やシワの追い込みでオールガラスレンズは差を付けています。リアルな描写は、仮想体験をしているような感覚さえ味わえます。圧巻はBlu-ray。網膜を越え心まで染め上げるような青が大画面に現れます。フィルム画質への密着と沈潜、官能的ですが退廃的でない映画美に陶然。ソニーのレファレンス的客観性と本機の耽美性のどちらを好むかは、運命の選択と言えるかもしれません。

  • 「DLA-V7」の傾向表

4K/HDRの奥深さを堪能できる錬成度

3SXRDのソニー、D-ILAのJVC。CRT3管式から固定画素デバイスに交代した21世紀、2社は盟主の威信を掛けて名勝負を繰り広げてきました。ハイグレードクラスから敢えて一台を挙げるなら、使いこなしの懐が深いJVC「DLA-V7」を選びますが、正直に言って、どれを購入しても後悔することはないくらい画質の錬成度が高いです。4K/HDRによる高画質の奥深さを堪能できる、唯一無二の映像体験を目指すのであれば、是非ともこのクラスを選びたいです。

SPEC

SONY「VPL-VW255
●投写形式: 3LCD ●投写デバイス: 0.74型4K SXRD×3 ●表示解像度:4096×2160 ●レンズ: 2.06倍ズームレンズ ●光源:水銀ランプ ●投写サイズ:60~300型 ●明るさ:1,500lm ●騒音:約26dB ●消費電力(待機時):390W(約0.4W) ●主な入出力端子:HDMI×2、LAN×1、USB-A×1 他 ●外形寸法:495.6W×205.3 H×463.6Dmm ●質量:約14kg

SONY「VPL-VW555
●投写形式: 3LCD ●投写デバイス: 0.74型4K SXRD×3 ●表示解像度:4096×2160 ●レンズ: 2.06倍ズームレンズ ●光源:水銀ランプ ●投写サイズ:60~300型 ●明るさ:1,800lm ●騒音: 約26dB ●消費電力(待機時):約460W(約0.4W) ●主な入出力端子: HDMI×2、LAN×1、USB-A×1 他 ●外形寸法: 495.6W×205.3 H×463.6Dmm ●質量:約14kg

JVC「DLA-V7
●投写形式: 3LCD ●投写デバイス: 0.61型ワイドポリシリコンTFT液晶パネル ●表示解像度: 4096×2160 ●レンズ:2倍ズームレンズ ●光源:水銀ランプ ●投写サイズ:60~200型 ●明るさ:1,900lm ●騒音:24dB(ランプモード低モード時) ●消費電力(待機時):400W(1.5W) ●主な入出力端子: HDMI×2、LAN×1、USB-A×1 他 ●外形寸法:500W×234H×495Dmm ●質量:19.8kg