ワイヤレスでも高音質、大画面テレビとも相性よし
英国は名だたるブランドを輩出してきた、いわばスピーカーの名産地。その中でも、人気と実力を兼ね備え、世界で広く親しまれている筆頭ブランドといえるのがKEFです。放送局用モニターの生産を経て、コンピューターによるシミュレーションを積極的に採り入れる設計手法によって、理想の原音再生を追求してきた技巧派で、同軸2ウェイのスピーカーユニット「Uni-Qドライバー」は、彼らの代名詞ともいえます。
それでいてリーズナブルな価格も魅力で、ホームシアター用マルチスピーカーでは定番的なブランドとなり、近年ではコンパクトなブックシェルフのLS50ファミリーも音質が高く評価されて人気を博しています。
そんなKEFが、また技術開発でブレイクスルーを果たし、LS50シリーズが新たな次元へと導かれました。パッシブタイプの「LS50 Meta」と、トータル出力760WものアンプとDACを内蔵するアクティブタイプの「LS50 WirelessII」の登場です。
ここでは、ホームシアターファンも見逃せないアイテムであるLS50 WirelessIIを、詳細にレビューしていきます。
WiFi機能とプリメインアンプを搭載していて、スマホなどと組み合わせて高品位なワイヤレスリスニングが楽しめるだけでなく、端子部にはHDMI(eARC対応)も搭載しているので、テレビとの組み合わせにも最適です。カラーは4色展開で、インテリアに合わせて好みで選べることも大きな魅力になっています。
- 音の回折効果を低減するために、LS50シリーズは共通して緩やかな曲面を描くフロントバッフルを採用しています。LS50 WirelessIIは、天面に操作パネルを配置。背面にはHDMIやサブウーファー音声も装備しており、大画面テレビとの組み合わせにも最適な仕様になっています。
KEF独自の音響テクノロジー「MAT」とは?
まず、LS50 WirelessIIは、LS50 Metaと同様、KEFが「メタマテリアル」と呼ぶ特殊な構造体、世界初となる音響パーツを搭載しています。それがトゥイーターの背面から放出される「余計」な音を吸収する、「Metamaterial Absorption Technology」(MAT)です。620Hz以上の周波数を99%、つまり完璧に近く吸収し、音のブラックホールともいえる機能を果たすといいいます。
- 高域トゥイーター背後の歪みを約99%低減させる「MAT(Metamaterial Absorption Technology)」。トゥイーター後部に、残響音を吸音する複雑な迷路のような(しかし科学的な裏付けに基づく設計の)円盤を設けています。
なお、新トゥイーターを含むUni-Qドライバーは、第12世代として細部まで刷新されています。KEFの新しいサウンドに期待が高まります。
そのほか、従来モデルからアンプ出力の強化、PCM 384kHz/24bit、DSD 11.2MHzの高解像度にまで対応するDACの採用、スピーカー同士の接続方式にワイヤレスが加わるなど、ハイレゾ対応についても最新スペックへと刷新されています。使い勝手の面でも、対応ストリーミングサービスの増加や専用アプリ「KEF Connect」の投入など、より一層の充実が図られています。AirPlay2、Google Chrome Cast、DLNA、Roon(後日アップデート対応)など、最新ネットワークオーディオ機器として必要なものは一通り装備しています。たとえばSpotifyのアプリから、お気に入りの楽曲を直接ストリーミング再生できるほか、専用アプリKEF ConnectからAmazon Music、Deezerやインターネットラジオなどの再生も可能です。
音の立ち上がりがよく、ボーカル表現もリアル
さて、それでは本機の実力を検証していきましょう。従来のLS50シリーズは筆者はシャープな描写で気に入っていましたが、本機ではそこに柔らかさが加わった印象で「剛柔兼備」に進化した印象を受けました。ジェーン・モンハイト「I Won’t Dance」は、華やいだ雰囲気と、ふわっと広がる空気感が聴きどころです。見通しのいい空間に、澄んだ歌声がストレスなく伸びて遠ざかる様も目に浮かびます。
また、少し低めに加わるマイケル・ブーブレの声の高さも精密です。一般的なスピーカーでは、音像が下方のウーファー側に引き下げられ、ジェーンとの高さが逆転することも多いのですが、本機は点音源であることに加えて、トゥイーターの裏音、言い換えるとノイズが理論通り完璧に吸収されるからか、高さが想定通りで、2人の距離感もナチュラルに描かれます。発声の立ち上がりから子音の収束まで、実になめらかで、声を大切にしてきたKEFの新たな到達点をみた想いです。
もちろん、声を大切にしているということは、映像コンテンツとの相性もいいです。テレビと組み合わせたときにも、このメリットが最大限生かされるはずです。また、スピーカーにはサブウーファー出力端子も搭載されているので、より迫力のある映画コンテンツを楽しむなら、それらを活用するのも手です。
いま主流といえるストリーミング配信でも音楽を試聴してみましょう。ストリーミング再生の音質は、極めて良好です。ロッシー圧縮された音源は潤いや空間情報が削がれがちですが、本機ではMATでノイズを抑え、残り少ない情報も埋もれず引き出せるのか、音像が端正で、シャープなセンターフォーカスに、ハイファイならではの醍醐味が感じられます。
本機はこうした高音質に加え、スマホやテレビなど、さまざまな機器との接続性、そして専用アプリを使った設置や操作の手軽さも持ち合わせており、VGPでも金賞を受賞しています。その実力をぜひ、取り扱い販売店やKEFのショールームで、実際にチェックしてみてください。(鴻池賢三)
SPEC
KEF
LS50 Wireless Ⅱ
¥270,000(税抜/ペア)
SPEC ●アンプ出力:280W+100W ●ドライバー:第12世代Uni-Qドライバー(130mmウーファー、25mmトゥイーター/MAT搭載) ●再生周波数帯域:40Hz-47kHz (-6dB) ※スピーカー設計によって異なる ●接続端子:HDMI、デジタル音声入力(光×1、同軸×1)、アナログ音声入力(ステレオミニ×1)、サブウーファー出力、USB、LAN ●外形寸法:200W×305H×311Dmm ●質量:20.1kg
試聴予約はこちらから!
KEF「LS50 WirelessII」は、VGP2021ライフスタイル分科会 ワイヤレススピーカー(20万円以上30万円未満)部門で「金賞」を獲得しました。プロも認めた高品位なワイヤレススピーカー、その真価を体験するためには、やはり実際に音を聴いてみるのが1番です。現在、KEFではホームページからショールームや販売店でのサウンド体験の申し込みを受け付けています。LS50 WirelessIIが気になった方はぜひ、下記のページにもアクセスしてみてください。
https://jp.kef.com/pages/book-a-demo
また、KEFの新製品体験イベント“KEF Wireless HiFi Speaker Gallery in Futakotamagawa”が東京・二子玉川にある蔦屋書店1階 Tech Frontにて開催されています。「LS50 Wireless II」がカラバリまで含めて体験可能! お近くの方はこちらもぜひお立ち寄りください。
https://store.tsite.jp/futakotamagawa/event/electronics/17564-1127001207.html