CONTENTS
・最新の映像/音響規格で映像情報を存分に引き出す
・見事な完成度で甦ったタイトルを紹介!
・『バック・トゥ・ザ・フューチャー トリロジー』
・『AKIRA』
・『宇宙戦争』
・『機動戦士ガンダム 劇場版三部作』
・『地獄の黙示録 ファイナル・カット』
最新の映像/音響規格で映像情報を存分に引き出す
2020年はたっぷり予算と時間をかけてリマスターされた往年の名作たちが次々に4K Ultra HDブルーレイ(以下、UHD BD)で登場(一部の作品は劇場でも大々的にリバイバル公開された)し、長年のオーディオビジュアルファンたちを大いに沸かせた一年でした。
UHD BDのために制作された4Kマスターは、かつてDVDで多用されたポジフィルムからのテレシネマスターはもちろん、BDでのネガフィルムのスキャンマスターをも凌ぐ情報量を誇ります。その違いはまず解像度。35㎜フィルムのひとコマには、諸説はありますが4K〜5Kの情報量が含まれるといわれており、4KのUHD BDならその映像情報をストレートに映し出すことができます。
さらにHDRグレーディングにより、明部が白く潰れたり、暗部の黒潰れ部分のディテールが掘り起こされて、映像密度が飛躍的に向上した作品も少なくありません。サウンド面でも、4chや5.1chの劇場オリジナル音声がドルビーアトモスやDTS:Xといった最新フォーマットにアップデートされる作品も数多いです。
- DVDやBDで発売されていた過去の名作が新たに4K Ultra HDブルーレイで登場することで、4KやHDRの高画質フォーマット、ドルビーアトモスやDTS:Xなどイマーシブサウンドによって、最新世代の映像規格と音響規格で映像情報を楽しむことができます。
見事な完成度で甦ったタイトルを紹介!
その例のひとつとして、以前「ホームシアターCHANNEL」で詳細にレビューした『スター・ウォーズ スカイウォーカー・サーガ』(4K UHD コンプリートBOX)に収録されたEP4〜6「オリジナル三部作」を挙げてみましょう。ちなみに本編は1997年公開の『特別篇』がベースになっています。
2004年のDVD化では35㎜フィルムマスターを2Kスキャンし、VFX改訂やカラーグレーディングなどを施したDIマスターを使用。2011年のBD化では同様のプロセスがさらに施された、新たな2Kマスターが使用されていました。そして今回のUHD BDでは、オリジナルの撮影素材やVFX素材に遡って4Kスキャンを実施した、4K/HDRマスターを使用。その映像はEP7~9の最新三部作さえ凌ぐ高精細! 特にEP4では汚れに塗れたC-3POやR2-D2、ダース・ベイダーのスーツのマットな質感、Xウィングの使い込まれた風合いなど、かつてないレベルで映像情報が掘り起こされ、圧縮問題などあるが視力が向上したかと錯覚するほど向上したのです。そんな見事な完成度で甦ったタイトルたちをご紹介していきましょう。
- 『スター・ウォーズ スカイウォーカー・サーガ』は、BDのボーナスディスクが全9枚も収録されるほどボーナスコンテンツが充実していました。作品の本編はもちろんですが、コンプリートBOXなどはボーナスコンテンツの豊富さも見逃せません!
『バック・トゥ・ザ・フューチャー トリロジー』
- 『バック・トゥ・ザ・フューチャー トリロジー』
¥17,380(税込)
NBCユニバーサル
GNXF-2603
監督:ロバート・ゼメキス
出演:PART1→マイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイド、リー・トンプソン、クリスピン・グローヴァー/PART2→マイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイド、リー トンプソン、ジェフリー・ワイズマン/PART3→マイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイド、メアリー・スティーンバージェン、トーマス・F・ウィルソ
●制作:1985年/米●本編映像:116分(PART1)、108分(PART2)、118分(PART3)、ビスタ、HDR10/ドルビービジョン●本編音声:英語DTS:X、日本語DTS 5.1ch
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』
暗部のディテールと沈み込みに驚く
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズの起点となる第1作。HDRフォーマットにドルビービジョンが採用されており、その映像は明暗のレンジの拡大、特に暗部の沈み込みに驚きます。4K化による暗部ディテールや質感の向上にも目を見張り、色彩もはっきり深みを増しました。グレインも細やかだが確かな存在感で、公開時のスクリーン上映を思わせる映像です。
- ©1985 Universal Studios. All Rights Reserved.
- 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 画質/音質傾向
『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』
立体音響の聴きどころの多さが随一
2015年で息子たちの危機を救い、1985年に帰還したマーティとドク。しかしそこはビフが支配する世界に変貌していた。歪んだ歴史を正すべく、2人は再び1955年に飛ぶ。前作の4年後に公開された『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』は、映像の精細感が著しく向上。音のレンジ感が大きく飛躍しているのも特長で、ドルビーアトモスの聴きどころの多さも三部作で随一です。
- ©1989 Universal Studios. All Rights Reserved.
- 『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』 画質/音質傾向
『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』
光の眩しさや衣服の緻密さが圧巻
西部の悪漢マッド・ドッグ・タネンからドクを救うべく、マーティは1885年へ。しかしデロリアンがガス欠で走れなくなってしまい…。前二作を凌ぐ画・音のクオリティが圧巻。西部の街を照らす太陽の眩しさや、土埃に汚れた人々の顔や衣服の緻密な描写など、乾いた空気を肌に感じられます。ドルビーSR方式になったためか、前作以上にワイドレンジ。特に音楽の鮮度の高さは尋常じゃありません!
- ©1990 Universal Studios. All Rights Reserved.
- 『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』 画質/音質傾向
- 『バック・トゥ・ザ・フューチャー トリロジー』は、PART1/PART2/PART3の4K Ultra HDブルーレイ/BDが収録されている他に、ボーナスディスクも同梱されていて、ジャケットの豪華さもファン垂涎ものです。
『AKIRA』
- 『AKIRA』
¥10,780(税込)
バンダイナムコアーツ
BCQA-0009
監督:大友克洋
声の出演:岩田光央、佐々木望、小山茉美
●制作:1988年/日●本編映像:124分、ビスタ、HDR10●本編音声:日本語ドルビーTrueHD 5.1ch、英語ドルビーTrueHD5.1ch
色域もコントラストも桁外れに深化
驚いた! 情報量がまるで違う! それもそのはず、HDテレシネの旧盤BDとは異なり、今回の映像マスターは4K/HDR仕様。色域もコントラストも桁外れに進化、いや深化しているのです。CH2のバイクの集団暴走では、透過光表現のヘッドライトはもちろん、画材で描かれたテールランプの軌跡までも見事に発光して見えます。金田のバイクは、様々な「赤」のパーツの描き分けが克明に。ネオ東京の摩天楼も、ネオンや街明かりが実景かのよう。このHDR感はIMAX上映版をも超えています! 超ハイレゾの192kHz収録の5.1ch音声も凄まじい。激しいセリフの応酬は生命感を増し、無数のバイクがめまぐるしく疾走し、膨大な数の楽器と声が洪水のように音場を満たします。
- ©1988マッシュルーム/アキラ製作委員会
- 『AKIRA』 画質/音質傾向
『宇宙戦争』
- 『宇宙戦争』
¥6,589(税込)
NBCユニバーサル
PJXF-1357
監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:トム・クルーズ、ダコタ・ファニング
●制作:2006年/米●本編映像:116分、シネマスコープ、HDR10/ドルビービジョン●本編音声:英語ドルビーアトモス、日本語DD 5.1ch
高精細化でソリッドな表現も掘り起こす
スピルバーグの暗黒面が炸裂する恐怖と戦慄のジェットコースターライド。UHD BD版のドルビービジョン映像はこれまでの印象を大きく覆し、明暗のコントラストがさらに強調され、階調と色彩の情報も驚くほど豊かに。高精細化でグレインが細密になった分、ソリッドな映像ディテールも掘り起こされました。トライポッド出現のCH5をBDと見比べれば、4K/HDRマスターの情報量に唖然とすること必至。CH19の「赤」の鮮烈な発色も強烈だ。音声も凄まじい。頭上高くに響くトライポッドの咆哮。音場を鋭く抉る激しいビーム、耳元に広がる逃げ惑う人々の乾いた破裂音、360度から忍び寄る探査ポッド、弦楽器がわななくスコア…この臨場感、とにかく危険。
- © 2005, 2020 by DW Studios L.L.C. and Paramount Pictures.
- 『宇宙戦争』 画質/音質傾向
『機動戦士ガンダム 劇場版三部作』
- 『機動戦士ガンダム 劇場版三部作』
¥33,000(税込)
バンダイナムコアーツ
BCQA-0010
総監督:富野喜幸(現・富野由悠季)
声の出演:古谷徹、池田秀一
●制作:1981年/日●本編映像:137分(DISC1)、スタンダード、HDR10●本編音声:日本語ドルビーアトモス
映像密度が高まり輝度感もリアル
シリーズの原点である『機動戦士ガンダム劇場版三部作』を、5Kスキャン/4KリマスターでUHD BD化。「フィルムの色味を可能な限り劇場の印象に近づける」という狙いが見事に結実。テレビ版の流用部分は16mm撮影ゆえに描線が太く陰影も少なめ。しかし35mm撮影の新作パートは非常に緻密で、特に『めぐりあい宇宙』の映像密度は圧巻です。HDRはモビルスーツのカメラアイの発光などで効果的。画材で描かれた光線すら、それが光であることを実感させる輝度に。ドルビーアトモスのリミックスは、オリジナルのモノラル音声をサラウンド空間に拡張する方向性。こちらも映像同様、劇場に朗々と響き渡る力強いサウンドの記憶が呼び起こされています。
- ©創通・サンライズ
- 『機動戦士ガンダム 劇場版三部作』 画質/音質傾向
『地獄の黙示録 ファイナル・カット』
- 『地獄の黙示録 ファイナル・カット』
¥7,480(税込)
KADOKAWA
DAXA-5693
監督:フランシス・フォード・コッポラ
出演:マーロン・ブランド、ロバート・デュヴァル
●制作:1987年/米●本編映像:182分、シネマスコープ、HDR10/ドルビービジョン●本編音声:英語ドルビーアトモス
オリジナルネガの基調と漆黒に圧倒
ベトナム戦争を壮大なスケールで描いた本作を、公開40周年を記念してフランシス・フォード・コッポラ監督が再編集。特典で「最も満足いくバージョン」と語る『ファイナル・カット』が、ドルビービジョン&アトモス仕様でリリース。オリジナルネガから起こされた映像は黄系統を基調に仕上げられ、HDR効果でむせるような湿気を肌に感じるほど。CH16では、カーツが潜む「闇の奥」の漆黒の描写に息を飲みます。サラウンドも激烈だ。CH1、「ジ・エンド」が気怠く漂い、ヘリが頭上をぐるりと旋回。CH6のベトナム空爆、「ワルキューレの騎行」が威圧的に響き渡り、量感に富むヘリの飛行音や機銃掃射、過剰なまでのナパーム爆撃に、観る者の土手っ腹が震えます!
- ©2019 ZOETROPE CORP. ALL RIGHTS RESERVED.
- 『地獄の黙示録 ファイナル・カット』 画質/音質傾向