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レビュー

  • ARCAM「SA30」 薄型ながら多芸多才
    英国アーカム新鋭プリメインアンプ
    HDMI搭載でテレビシアターにも最適!

    取材・執筆 / 岩井 喬
    2021年12月29日更新

    • VGP審査員
      岩井 喬

本格派の高性能アンプ、音場補正「Dirac Live」にも対応<

英国の名門ブランド、ARCAM(アーカム)が日本市場に再参入することが決まりました。アーカムは1976年、イギリス・ケンブリッジの地で、ケンブリッジ大学の学生であったジョン・ドーソンらによって創業されました。プリメインアンプ「A60」を皮切りに、シンプルでスタイリッシュなデザインと優れた音質を両立した、生活を彩る音楽再生ツールとしてのシステム提案を現在まで行っており、ライフスタイルに寄り添ったオーディオ製品開発に定評があります。

玄人筋のオーディオ愛好家からも、独自開発のCDプレーヤーやコンパクトDACなどが好評で、デジタル技術に定評あるハイエンドブランドとしてその地位を確かなものにしてきました。2017年にハーマンインターナショナルのグループ傘下となり、これまで以上に広い販売網と開発資産を共有したことで、改めてシーンの最前線に帰ってきたわけです。

ここでは、日本再参入にあたり選ばれたプロダクトのうち、音楽だけでなく映像とも親和性が高く、テレビシアターに最適なプリメインアンプ上位モデル「SA30」にフォーカスを当ててみましょう。

  • プリメインアンプ
    ARCAM
    「SA30」
    標準価格 ¥330,000(税込)

SA30は低歪で音質に優れたA級動作と効率的に大出力を実現するAB級動作を高品位にマネジメントするハイブリッド型の独自技術CLASS Gアンプを搭載。チャンネル当たり130Wという大出力と、歪みの少ない滑らかなサウンドを両立しています。リビングに置いても過度に存在を強調しない端正なデザインも美点であり、MM/MC型対応のPHONO入力をはじめ、5GHz/2.4GHz対応デュアルバンドWi-Fiも搭載し、アナログからデジタルの最先端であるファイル再生までを包括的に楽しめるほか、ARC対応のHDMI入力端子も装備。テレビとの組み合わせでも真価を発揮できるプリメインアンプとして仕上げられています。DAC部はMQAにも対応。大出力を支える電源部は大型のトロイダルコアトランスを採用し、安定感のあるサウンド再生を実現しました。

そしてインパルス応答特性と周波数特性の補正を組み合わせたDirac Research社のルーム音場補正技術「Dirac Live」を搭載していることもトピックです。セットに同梱する専用マイクとPCを使って複数個所の測定を行い、クラウド上で高度な演算処理を実施。その結果をネットワーク経由でSA30へ送信して補正を反映させるものです。特にテレビをスピーカー中央に据えたホームシアター用途のシーンでは、反射の影響も強くなってしまいますが、Dirac Liveによってそのマイナス面を補うことができるはずです。

  • 周波数特性に加えてインパルス応答特性の補正まで可能とする、音場補正技術「Dirac Live」に対応しているのも本機ならではの特長。設置するお部屋の環境にあわせた、最適なサウンドを提供できます。PC(Win/Mac)に専用ソフトをインストールし、付属のマイクを使って、細かな測定や自分好みの調整ができます。

大柄なフロア型スピーカーも朗々と鳴らす

実際の試聴ではSACDプレーヤー「CDS50」、JBLのフロア型スピーカー「HDI-3800」を組み合わせたテレビシアター環境を構築して、音質を確認しました。まずアナログ接続したCDS50でのピュアオーディオ再生ですが、20cmウーファーを3発搭載した大柄のフロア型スピーカーであるHDI-3800も、難なく朗々とスムーズに鳴らしてくれる印象で、HDIホーンから放たれる高域の開放的で爽やかな描写も心地よいです。

オーケストラは伸びよく雄大で、管弦楽器の質感もしっとりと滑らか。Dirac Liveを有効にすると反響やピーキーさを感じさせずに中低域の密度感をより豊かに引き出してくれ、高域にかけての際立ち感も十分保ちながら、より滑らかに臨場感あるサウンドを聴かせる傾向に変化しました。

ジャズ音源ではホーンセクションが鮮やかに浮かびます。ピアノのアタックはおおらかで中低域に厚みがあります。ウッドベースは躍動的です。女性ボーカルは肉付き感を持たせつつ、輪郭はハリがあってクール。実に音離れがよく、フレッシュなサウンドです。

ロック音源は押し出しが強く逞しい表現。エレキギターのリフは太くコシがあり、
低域を担うリズム隊に安定感があります。シャープでキレのあるボーカル、スネアドラムのヌケよいアタックとのコントラストが心地いいです。

  • アーカム「SA30」の試聴は、音元出版のリスニングルームで、JBLのフロア型スピーカー「HDI-3800」、アーカムCDプレーヤー「CDS50」の組み合わせで検証しています。

映画作品もダイナミックかつバランスのよい音で

続いて映像作品での表現力も確認してみました。まず『ボヘミアン・ラプソディー』のライブエイドの演奏シーンでは歓声の粒立ちも細かく、ステレオ再生であっても奥行きと広がりが十分に感じられます。バンド演奏の存在感の高さ、セリフやボーカルの声の肉付きもしっかりと表現してくれます。

アクション映画『エクスペンダブルズ2』では、銃声や爆撃音が太く厚みがありますが、ホーン方式ならではのハリよく爽やかな高域表現によって、SEの輪郭やセリフの明瞭さ、BGMの爽快な浮き上がり感も適切に描き出します。

雨の描写が多いアニメ『言の葉の庭』ではシーンごとに違う雨粒のSEを粒立ちよく丁寧に引き出し、付帯感なく落ち着いたセリフの潤いを伴った密度良い描写を味わえました。

SA30は大型スピーカーでも適切にグリップよく鳴らし込む駆動力の高さ、SACDやハイレゾ音源での緻密で高解像度なソースも音楽性豊かに聴かせてくれます。加えて長丁場な映画鑑賞でもダイナミックながら疲れにくいバランスよいサウンドを届けてくれる、まさにピュアオーディオ/テレビシアター入門に最適な一台といえるでしょう。

  • 設置性に優れたオーディオコンポとして、SACDプレーヤー「CDS50」標準価格 ¥143,000(税込)や、HDMIなしのプリメインアンプ「SA20」標準価格 ¥165,000(税込)もラインアップします。

SPEC

ARCAM「SA30
●定格出力:130W(8Ω) ●接続端子:HDMI(ARC)、デジタル音声入力(光2、同軸2)、アナログ音声入力(アンバランス3、ステレオミニ1、MM/MC切替PHONO1)、アナログ音声出力(アンバランス1)、ヘッドホン音声出力、WiFiアンテナ、LAN、USBほか ●外形寸法:433W×100H×323Dmm ●質量:10.7kg