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レビュー

  • FIBBR「ULTRA 8K II」 “光HDMI”を牽引するブランド「FIBBR」の新フラグシップ
    HDMI2.1b認証を実現
    8K/56Gbpsに初対応した光ファイバーHDMIケーブル

    VGP 取材・執筆 / 大橋伸太郎
    2022年11月14日更新

    • VGP審査委員長
      大橋 伸太郎

圧倒的な広帯域伝送を実現する新世代機

  • HDMIケーブル
    FIBBR
    「ULTRA 8K II」
    ●ラインアップ(税込価格)
    1.0m→¥88,000、2.0m→¥115,500、3.0m→¥143,000、8.0m→¥253,000、10.0m→¥308,000、12.0m→¥352,000、15.0m→¥429,000、20.0m→¥506,000

映像を観始めて、“これまでと違う”と感じました。繰り返し観た4K UHD BDなのに、です。東京の夜景の映像に夜の底を見通す透明感が生まれています。ソフトを変えてみると、中望遠レンズの女優の表情に現れたのは、映画のなかの演出家が待ち望んだ一瞬の奇跡。見えなかったものが今ここにあり、どこかでなく全てが違う。新たに投入したのはプロジェクターでもプレーヤーでもない、HDMIケーブルです。伝送系の変化でソフトとシステムの潜在的なパフォーマンスが一斉に覚醒したのです。

FIBBRの「ULTRA 8K II」が、そのHDMIケーブルです。同社は、満を持して新世代モデルをラインアップしました。YOFC社の光ファイバーを使用し、同社オリジナルの光変換チップを搭載。20mまで8K/60p、4K/120pの伝送を保証しています。最大の特長は世界初のHDMI2.1b認証を獲得した点であり、さらに56Gbpsの広帯域を実現しました。

HDMI2.1b認証の画期的な新機能を多数搭載

HDMI2.1bの画期的な新機能である「Cable-ID」を実装しています。ケーブル自身のデータを接続機器に送り、信号をやりとりする上での不適合を解消する機能であり、相互認識に手間取ってなかなか出画しないHDMIの長年の弱点も解消されそう。また、HDMI機器が必要とする適切な電量を流すことで安定した信号伝送が可能なPCA(Power for Assembly)、HEAC(HDMI Ethernet and Audio return Channel)にも対応しています。HDCP2.2/2.3、eARCも、もちろん実装しました。

光ファイバーを採用したHDMIケーブルは、映像・音声信号を光信号に変換するチップを搭載する分電力を必要とするため、別途USBやAC等から外部電源への接続が必要な場合がありますが、本モデルは使用電力の高効率化によって220mWの低消費電力化を実現しており、外部からの電源供給は不要となっています。

取材では、ULTRA 8K IIの3mモデルを4K UHD BDプレーヤーとAVアンプの間に、8mモデルを4K UHD BDプレーヤーから4Kプロジェクターの間に投入しました。メタルハウジングのコネクターに、入力側には「1SOURCE」、出力側に「2DISPLAY」の表示があり、通電するとコネクター部が青く照明され、信号の流れが視覚的にわかるのも特長です。

  • 自社開発した最新鋭のオリジナル光変換チップの搭載によって、世界初のHDMI2.1b認証、そして56Gbpsの広帯域伝送を実現。さらに対応機器と相互に必要な情報信号を送り合う「Cable-ID」や「PCA」といった機能も対応しています。
  • オリジナル光変換チップだけでなく、光ファイバーケーブルも自社開発工場で生産できることもFIBBRの強みです。新世代のHDMIケーブルをいちはやく開発できるだけでなく、優れた安定性も確保した光HDMIケーブルの開発が可能なことも利点。

新旧の映画作品で光から表情まで克明に描く

その映像は恐ろしく解像感が高く、精細感豊か。『8K空撮夜景SKY WALK』(4K UHD BD)は、映像が緻密で暗部/明部共にノイズが非常に少ないです。映像情報の伝達の精度が高く、ジッターや揺らぎがない爽快な映像。シールドのEMI/RFIノイズ対策の成果もみてとれます。後半は暗部の表現が問われますが、夜の彼方まで澄み切って見通すことができます。渋谷や新宿の繁華街のショットは、小さな歩行者の群れがスクリーンから立ち上がって路上を行き交う生々しい立体感が感じられます。

HDMIの最新スペックへの先進的な対応から、デジタル撮影の4Kビデオコンテンツに威力を発揮するモデルと決めつけるのは早計というもの。ULTRA 8K IIが、真の凄さを発揮したのは新旧の映画だったのです。『ドライブ・マイ・カー』(BD)を、プレーヤー側で4Kアップコンバートし、4Kプロジェクターに本モデルを通して送り込んでみます。西島秀俊扮する舞台演出家が独自の演出手法の立ち稽古を公園で試みるシーンは、自然光下の撮影が美しく、言葉を共有しない聾唖者の韓国人女優と中国人女優の赤心の演技が通い合うまでをクローズアップ撮影でとらえられています。ULTRA 8K IIの投入によって、パク・ユリムの内部にチェーホフのソーニャが開花していく様子が克明な表情の変化でありありと映し出されて感動的です。

スティーヴン・スピルバーグ監督の『ウエスト・サイド・ストーリー』(4K UHD BD)の色彩設計は、綿密で豊かですが美麗ではありません。登場人物の皆が悲劇を背負い、時代を越えて変わらないアメリカ社会の分断の現実が、重苦しくくすんだ影になって混じり込んでいます。ULTRA 8K IIの広帯域が、BT.2020の色域の再現、苦さと青春の悲哀、甘美が複雑にカクテルされた色彩を、忠実かつ冷徹に再現して息を飲みます。

  • 「ULTRA 8K II」の端子部は、信号を入力する側の端子には「HDMI SOURCE 1」、出力する側の端子には「HDMI DISPLAY 2」と記載されており、信号の流れに対して正しくケーブル接続が可能な仕様になっています。
  • 軽く、取り回しに優れ、さらにケーブルの織り曲がりにも強い、独自技術の「BendRobust テクノロジー」も採用。FIBBRのHDMIケーブルに伝統的に投入されている技術であり、ホームシアターへの導入のしやすさにも繋がります。

音場の広さや移動表現の速度も各段に増す

映像音響の再現も発見に富んでいます。『THE BATMAN-ザ・バットマン-』では、オブジェクトの移動表現のスピードが加速。音場の広さと密度が一回り増し、ドルビーアトモスのエンコードの最新成果が聴けます。とくに感銘を受けたのは『ウエスト・サイド・ストーリー』で、普段より絞った小音量の再生でも音場の密度が薄くならず、ありのままに再現されること。細かい情報が隠れないのです。本モデルのノイズフロアが非常に低く、音声のS/Nが高いことの証左といえます。

ULTRA 8K IIは、現有のシステムを賦活し、最新ソフトからフェイバリットムービーまで、全てのコンテンツを片っ端から観直したくなるパワーを秘めています。“HDMI=画と音の大動脈”として、いま最も頼もしい存在といえるでしょう。

SPEC

FIBBER「ULTRA 8K II
●ケーブル径:4.4mm ●帯域幅:56Gbps(8K/60Hz、4K/120Hz、eARC、HDCP 2.2/2.3)●導体:YOFC社製・光ファイバー ●構造:二重シールド

FIBBR LINEUP

  • FIBBER
    Pure 3」 8K/48Gbps
    ●ラインアップ(税込価格)
    1.5m→¥48,400、2.0m→¥51,700、 3.0m→¥55,000、5.0m→¥60,500、 10.0m→¥80,300、15.0m→¥96,800、 20.0m→¥113,300
  • FIBBER
    King-A」 4K/18Gbps
    ●ラインアップ(税込価格)
    1.5m→¥29,700、2.0m→¥33,000、 3.0m→¥35,200、5.0m→¥37,400、 15.0m→¥55,000
  • FIBBER
    Ultra Pro」 4K/18Gbps
    ●ラインアップ(税込価格)
    1.5m→¥19,800、2.0m→¥23,100、 3.0m→¥25,300、5.0m→¥27,500、 10.0m→¥35,200、15.0m→¥44,000、 20.0m→¥51,700