VGP phileweb

レビュー

  • LG ELECTRONICS/PANASONIC/SHARP/SONY/TVS REGZA 4Kテレビ・クオリティレビュー2022
    狙い目の実力派・4K有機ELテレビを徹底比較
    各ブランドの中核を担うバランスに富んだモデルが並ぶ

    VGP 取材・執筆 / 大橋伸太郎
    2022年11月30日更新

    • VGP審査委員長
      大橋 伸太郎

各社の4K有機ELテレビのラインアップが、着実に広がっていっている昨今。ハイエンドモデルだけでなく、各テレビブランドの中核を担うミドルクラスやスタンダードモデルの実力が高まっていることも見逃せません。本稿では、初めての有機ELテレビを探しているユーザーから、クオリティを求めるオーディオビジュアルファンまで満足できる、4K有機ELテレビの狙い目モデルを横並びチェック。

  • 各社のミドルクラスやスタンダードクラスに位置する4K有機ELテレビの一斉レビューでは、全5モデルのクオリティをチェックしました。クオリティチェックのレファレンスとして、4K UHD BDでは『8K空撮夜景 SKY WALK』、『トップガン マーヴェリック』、ネット動画ではNetflix『Blonde』、そして地デジのニュース・バラエティー番組やスポーツ番組を放送番組として使用しました。

LG ELECTRONICS「OLED55C2PJA」

  • LG ELECTRONICS
    「OLED55C2PJA」
    ¥OPEN(実勢価格¥320,000前後)

LG OLED evoを搭載した中核モデル

LGエレクトロニクスのハイエンドモデル「OLED G2シリーズ」に次ぐのが「OLED C2シリーズ」です。従来の有機ELパネルよりも色の再現性と明るさが向上した、次世代の有機ELパネルである「LG OLED evo」を搭載しているのも特長です。搭載された独自開発のリアルタイムAIプロセッサー「α9 Gen5 AI Processor 4K」は、上位シリーズと同等のもの。AIプロセッサーによって映像も音声も、コンテンツのジャンルやシーンに合わせて自動で最適化するだけでなく、新たに「オブジェクト型リアルタイム映像処理」も可能となり、被写体や前景・背景なども検知し、解像感と立体感をさらに高めた映像再現を実現しています。「AMD FreeSync Premiumテクノロジー」やゲームオプティマイザモードを搭載するなど、ゲームコンテンツと親和性の高い点も魅力的です。

  • 同社の最上位機にも搭載されている独自開発の映像処理エンジンである「α9 Gen 5 AI Processor」をOLED55C2PJAにも投入されています。リアルタイムAIプロセッサーによって映像のジャンルやシーンに合わせて映像と音声の両方を調整できる点や、オブジェクト型リアルタイム映像処理、ダイナミックトーンマッピングプロなど、多数の映像処理を施すことができます。
  • 独自開発パネル「LG OLED evo」では新しい発光素材を採用しており、従来の有機ELパネルよりも高輝度で色の純度も高めています。従来のパネルと赤/緑/青の波長を比較してみると、その差は大きく、各色の波長が高くなり、幅も狭くなっているため、飛躍的に輝度&色表現が高まっていることがわかります。

画作りの総合的なバランスが随一

放送番組は、映像モードを「標準」「FILMMAKER MODE」「エキスパート」など切り替えながら視聴してみると、最初は平板でこわばっていたニュース・バラエティーの女性キャスターの表情がみるみる自然に変わっていきました。ネット動画は、「Dolby Vision Dark」で視聴しましたが、カラーシーンは粒状感が出て柔和で厚手なフィルムルック。自然光の撮影が美しく本のページをめくるようで、色彩のエキスパートである同社の本領発揮を感じさせてくれます。ビデオコンテンツは、夕景の高層ビルのエッジが細く端正で自然。灯火の輝きが白々と美しく、夜景は明部と暗部のバランスがよく高層ビルの室内まで鮮明で調整の必要がありません。4K UHD BDの映画作品は、クリアで見通しのいい映像がスケール雄大な撮影に深い没入感を生みます。今回視聴した中で、総合的なバランスが最も高いテレビといえるでしょう。

  • HDR信号を入力している場合の映像モードは、「シネマブライト」や「シネマダーク」をはじめ、「FILMMAKER MODE」などから、映像モードを選ぶことができます。また、「機器設定」の項目内にある「AIサービス」では、「AI映像プロ」「AI映像ジャンル選択」など、映像チップ「α9 Gen 5 AI Processor」ならではの映像効果を設定できます。
  • 音声モードは、「シネマ」「スポーツ」「音楽」「ゲームオプティマイザ」など、映像コンテンツに合わせたモードや、「AIサウンドプロ」などに調整できます。「AIサービス」内にある「オートサウンドチューニング」をオンにすれば、視聴している室内の音響状況をリモコンマイクで解析し、より最適な音場で楽しめるチューニングを施せます。
  • OLED55C2PJAの電源は、着脱に非対応。HDMI入力端子は全4基搭載しており、全て4K/120Hzの入力に対応しています。eARC/ARCに対応しているHDMI端子は1基装備。録画用HDDなどを接続できるUSB端子は3機搭載しています。
  • 「OLED55C2PJA」の画質/音質傾向、映像コンテンツの相性

PANASONIC「TH-55LZ1800」

  • PANASONIC
    「TH-55LZ1800」
    ¥OPEN(実勢価格¥360,000前後)

独自設計・組立てパネル採用のミドル機

55インチの本モデルは、独自設計・組立ての「Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイ」を搭載。独自素材の貼付け構造やバックカバー一体型の放熱プレートなど、高コントラストに繋がる設計が施されています。さらに独自のパネル制御技術である「Dot Contrast パネルコントローラー」も導入されているため、暗部の階調や色表現も高めています。「オートAI画質」も採用されており、映像のシーンに応じて自動的に最適な映像へと調整。「ヘキサクロマドライブ プラス」「AI HDRリマスター」「4Kファインリマスターエンジン」といった多数の映像技術を活用して総合的に制御してくれます。HDRフォーマットは、ドルビービジョンやHDR10+にも対応。「360立体音響サウンドシステム」は、イネーブルドスピーカーを含む全6基のスピーカーで、実用最大出力80Wの迫力サウンドを実現しています。

  • 輝度性能を大幅に向上させ、圧倒的なコントラストを実現した「Dynamicハイコントラスト有機ELディスプレイ」は、バックカバー一体型放熱プレートが搭載されており、さらに独自素材を用いた貼付け構造を導入し、その設計も組立ても独自で自社工場によって行われています。
  • TH-55LZ1800に搭載されている「360立体音響サウンドシステム」には、フルレンジスピーカーとウーファー+パッシブラジエーターのスピーカーの他に、音を天井に反射させて高さ方向の音を再現する「イネーブルドスピーカー」を採用しています。立体的で臨場感のあるサウンド、さらに音像を画面中央に持ち上げる効果を実現しています。

美麗な人肌を描く優れた質感表現と精細感

半暗の室内環境で、放送場組を「オートAI」で視聴してみると、最大公約数的な好みを重視したマゼンタ調の美麗な人肌を描きます。クローズアップで甘くならず、肌のニュアンスや眼差しを曇らせず伝える精細感も持ち合わせています。ネット動画は、主演女優の明るい瞳、黄金色の髪、白い肌の紅潮が甘美で優しいバランスの映像ですが、爪を隠していたようにクローズアップで解像感を発揮。上下の黒帯は色付きなく落ち着いて邪魔になりません。ビデオコンテンツの夜景は暗部が浮くのでなくあえて潰さず、見やすく見通しよく、細かい灯火を華やかに散りばめます。AIオートと標準でバランスが変わらず、自動調整の確かさが伺えます。4K UHD BDの映画作品のセリフはやや下から聴こえますが劇伴に広がりと厚みがあり、ダークスター通過シーンは移動感と風圧も出て臨場感豊かに楽しめます。

  • TH-55LZ1800は多数の映像モードを備えており、HDR信号の入力時は、「オートAI」「スタンダード」「シネマ」「シネマプロ」「フィルムシネマ」などを含めた全13モードを用意しています。映像調整内にある「オートAI – 画質調整」の項目では、オートAIの映像モードを選択している際、自動で変化する効果の度合いを調整できます。
  • フルレンジスピーカーやイネーブルドスピーカーなど、マルチでスピーカーを搭載しているTH-55LZ1800は、「オートAI」など含む音声モードを選べるだけでなく、「マルチスピーカー音場設定」で全てのスピーカーを使用した際の音場モードやコンテンツの含まれる音声のチャンネル数に対応して出力する「ダイレクト」などのモードを備えています。
  • 電源ケーブルの着脱は非対応。HDMI入力端子は全4基で、そのうち4K/120Hz入力に対応しているのが2基、eARC/ARCに対応しているのが1基搭載されています。USB端子は、録画用とAV周辺機器用に3入力装備しています。
  • 「TH-55LZ1800」の画質/音質傾向、映像コンテンツの相性

SHARP「4T-C55EQ1」

  • SHARP
    「4T-C55EQ1」
    ¥OPEN(実勢価格¥319,000前後)

AIプロセッサー搭載のAQUOS OLED

有機ELパネルの発光量を画素ごとに緻密に制御して、暗部から明部まで有機ELパネルの輝度性能を最大限に発揮させる独自制御技術「Sparkling Drive」を搭載し、さらにAI高画質プロセッサーを採用した映像エンジン「Medalist S3」も導入しています。映像モード「AIオート」では、AIが検知・分析した被写体の顔、風景の構成要素などのオブジェクト認識、映像ジャンルの情報など合わせて、最適な映像に調整します。新開発の映像エンジンでは、同社が8Kテレビの開発で培ってきた精細感復元とリアリティ復元技術を応用した技術をはじめ、「リッチカラーテクノロジープロ」や「スマートアクティブコントラスト」などの高画質機能を活用できます。高音質設計の「FRONT OPEN SOUND SYSTEM PLUS」の搭載や、Google TV対応も見逃せません。

  • 4T-C55EQ1にはAIプロセッサー搭載の映像エンジン「Medalist S3」を採用。新たな映像モード「AIオート」では、100万通り以上の映像を学習したAIを活用することで、映像コンテンツ内から検知したオブジェクト情報と放送ジャンル情報を解析し、色彩・明暗表現やコントラスト、精彩感までも自動で最適化。視聴しているコンテンツに合わせた映像を楽しめます。
  • 同社独自の高音質設計「FRONT OPEN SOUND SYSTEM PLUS」では、音声をより効率的に前方へ導く、独自に設計したスピーカーネットのないリフレクター構造を採用。さらに前向きに配置されたネオジウムマグネット採用のトゥイーターがクリアな高域を再生し、音抜けがよく聞き取りやすいサウンドを実現しました。

暗部のノイズが少なくメリハリも豊か

放送番組は「AIオート」で視聴。キャスターは美麗なマゼンタ調ですが、アップで肌の階調、ニュアンスが潰れません。輪郭に強調感がなくストレスなく見られ、同社らしいメジャーな画質設定といえるでしょう。ネット動画のモノクロシーンは、黒がしっとり艶やかで重厚。暗部にノイズがなく映像に没入できます。ビデオコンテンツの夜景は「AIオート」では少々眩しく感じたので、明るさオートの機能をオフにしてコントラストをカスタムで調整しています。暗部のノイズがなく、闇に沈んだ町並みが立体的で潰れません。地平線近い夜空のバンディングも抑えられていて、妨害要素のない落ち着いた映像です。灯火の輝きは華やかで白方向の階調もしっかり出て大画面で迫力。4K UHD BDの映画作品は、黒がなめらかで深くドラマチックな効果。あらゆるソースをメリハリ豊かに楽しませます。

  • 4T-C55EQ1の映像モードは「AVポジション」から設定が可能で、「AIオート」「標準」「シネマ」などのモードが選べます。また、「プロ設定」からは「色温度調整」や動きの早い映像を見やすくする設定の「動画補正」、輪郭線を調整できる「解像感」、映像の場面に合わせてコントラスト補正を行う「アクティブコントラスト」などの設定項目を設けています。
  • ドルビーアトモスに対応しているため、ドルビーアトモスが収録されてるコンテンツを楽しむ際は、「Dolby Atmos」の設定項目を「入」にしておくことがベストです。「音質モード」では、「標準」や「ダイナミック」、「音楽ライブ」などのモードが選択でき、さらに「サラウンドモード」の調整も可能です。
  • 電源ケーブルの着脱は不可です。HDMI入力端子は4基揃えており、2基が4K/120Hzに対応し、eARC/ARCに対応するHDMI端子は1基搭載しています。USB端子は録画用/メモリー用/ソフト更新用などの端子を装備しています。
  • 「4T-C55EQ1」の画質/音質傾向、映像コンテンツの相性

SONY「XRJ-55A80K」

  • SONY
    「XRJ-55A80K」
    ¥OPEN(実勢価格¥374,000前後)

認知特性プロセッサー搭載のスタンダード

「A80Kシリーズ」は従来の構成を採用した有機ELパネルを搭載したスタンダードモデルです。同社ならではの認知特性プロセッサー「XR」を搭載しており、人の目で感じる自然な映像と定位感が向上したサウンドを実現しています。さらに認知特性プロセッサーによる有機ELパネルの特性と映像信号の内容を横断的に分析・処理を行い、そこに有機ELパネルの表面の温度分布を検知する温度センサーを組み合わせて緻密に発光制御を行うことで高コントラストな映像を実現する「XR OLED コントラスト プロ」も備えます。独自の音響技術「アコースティック サーフェス オーディオ プラス」を採用。画面中央・左右に設置された全3基のアクチュエーターと2基のサブウーファーによって、画面そのものから音を出力する技術も特長です。

  • 認知プロセッサー「XR」は、有機ELパネルの特性と入力信号を横断的に分析・処理することができます。パネル表面の温度分布を検知するセンサーと、高輝度有機ELパネルを組み合わせた独自構造を採用することで、的確な温度予測と緻密な発光制御を可能にする「XR OLEDコントラスト プロ」を実装。発光性能を高め、明るく高コントラストな映像を実現しました。
  • XRJ-55A80Kは、ブラビア専用外付けカメラ「BRAVIA CAM」の接続に対応しています。ジェスチャーでテレビを簡単に操作できることも特徴のひとつで、電源オフをはじめ、ネット動画や録画番組の再生/一時停止/音量調整、地上波の放送番組ではチェンネル切替/音量調整が可能です。

作品の映像情報を精細緻密に表現する

放送番組は、音声がくっきりしている番組であるため聴き取りやすく、ハイ上がりな部分もあります。ノイズリダクションが巧みで精細感とS/Nが両立しています。スムーズでいて細やか、ユニフォミティも高いです。ネット動画を、「Netflix専用画質モード」をオンにしても視聴してみました。ドルビービジョンのときと異なり、映像への距離が消える印象で、俳優の演技への浸透力が生まれます。4K UHD BDの映画作品では、精細緻密でディスクの情報を出し切ります。ディレクターズインテンションに密着するテレビといえるでしょう。アコースティックサーフェス方式の音声は立体的な広がりがあり、背面設置スピーカーのもどかしさがありません。俳優の口跡や声の特徴が明解で、サラウンドも効果十分。映画は画も音も一枚上手です。

  • 「画質モード」では、「スタンダード」や「シネマ」をはじめ、「ゲーム」「グラフィックス」「フォト」、さらに映像に含まれている元信号の映像を忠実に表現する「カスタム」や「IMAX Enhanced」の映像モードを搭載しているのも特長です。また「HDRトーンマッピング」や「リアリティークリエーション」といった設定も備えます。
  • 「音質モード」では、「スタンダード」以外に「シネマ」「スポーツ」「ミュージック」といった映像コンテンツの種類に合わせたモードを用意するほか、「ドルビーオーディオ」などのモードも揃えています。リモコンのマイクでテレビの音声出力を測定して、視聴環境に最適化したサウンドで楽しめる自動音場補正の機能も搭載しています。
  • 電源ケーブルの着脱には非対応。4基のHDMI入力端子を搭載しており、4K/120Hzは2基、eARC/ARCは1基対応しています。録画用の外付けHDDなど、AV周辺機器専用のUSB端子を2基備えています。
  • 「XRJ-55A80K」の画質/音質傾向、映像コンテンツの相性

TVS REGZA「55X8900L」

  • TVS REGZA
    「55X8900L」
    ¥OPEN(実勢価格¥310,000前後)

豊富な高画質映像処理を搭載する実力機

新世代の有機ELパネルに高冷却インナープレートとメタルバックカバーを搭載し、同社独自のチューニングを施すだけでなく、さらに新開発の高画質映像処理エンジン「レグザエンジンZRII」を搭載することで、あざやかでメリハリのある映像と高度なダイナミック制御による高コントラストな映像を実現しています。また、人肌の立体感と質感を向上させ、カラーシフトした人肌も自然な色合いに処理する「美肌フェイストーンZRII」をはじめ、放送番組で出てしまうノイズを低減する「地デジAIビューティZRII」、「ネット動画ビューティZRII」といった、多数の高画質映像処理の搭載も成し得ています。実用最大出力72Wの音響システム「重低音立体音響システムXP」も装備。ダブルパッシブラジエーターを組み合わせたフルレンジスピーカーとクリアトゥイーターによる全6基のスピーカーで構成されています。

  • 新開発の映像処理エンジン「レグザエンジンZRII」を採用。輝度特性に対して独自のチューニングを施した4K有機ELパネルを搭載している55X8900Lでは、その有機ELパネルの特性を、レグザエンジンZRIIでさらに引き出しており、高度なダイナミックガンマ制御によって、抜群の高コントラストを実現しています。鮮明でメリハリのある映像を昼間の明るい視聴環境でも楽しめます。
  • 55X8900Lには独自の音響システム「重低音立体音響システムXP」が実装されています。全6基のスピーカーを搭載。4基のフルレンジスピーカーにはダブルパッシブラジエーターを採用し、クリアな高域・パワフルな低域再生を可能にしました。2基のトゥイーターでは、クリアで伸びやかな高域再生を実現しています。高遮断クロスオーバーフィルターの導入も特長です。

暗部に透明感があり階調と奥行きも表現

放送番組は、「おまかせAI」の映像モードから視聴を開始。出演者のクローズアップは、ノイズを抑えつつディテールの精細感が巧みで、超解像技術の研究の積み上げがうかがえます。細かい部分を調整したい場合は、他モデルよりも細かく映像調整ができます。ネット動画と4K UHD BDの映画作品は、冷静で客観的なバランスで、色合いもマゼンタも抑え気味です。映像に対して、あくまでも忠実に表現することに重きを置いた、ディスプレイとしての性能を追求している印象です。ビデオコンテンツでは、渋谷の夜景の闇に透明感があります。黒浮きしているのでなく、黒に近い暗部のボトムまで細かな階調が出ているのです。競技場周辺の闇はべったり潰れず、黒に奥行きが感じられます。次第に近づいていく新宿高層ビル群の立体感が素晴しく、ビデオコンテンツの画作りはベスト。

  • 55X8900Lの映像モードは、「映像メニュー」から各モードを選べます。モードは、「おまかせAI」を筆頭に、「放送プロ」や「映画プロ」、さらに「ゲーム」などを用意しています。おまかせAIを選択しているときネットワークに接続し、「クラウドAI高画質」の設定をオンにしておくことで、クラウドから各番組の適切な高画質映像処理を取得して、映像に反映することができます。
  • 「音声メニュー」では、「おまかせAI」「映画」「ダイナミック」「クリア音声」などの音質モードを選ぶことができます。「音声詳細設定」からは、「Dolby Atmos」のオン/オフ、「テレビ設置設定」、リモコンのマイクを使用して、テレビの音を自動で音場補正する機能の「オーディオキャリブレーション」の設定も行えます。
  • 本稿で取材した4K有機ELテレビの中で、電源ケーブルの着脱に唯一対応しています。HDMI端子は背面に3基、側面に1基、全4基を搭載。4K/120Hzは2基、eARC/ARCは1基対応しています。
  • 「55X8900L」の画質/音質傾向、映像コンテンツの相性

4K有機ELテレビの特長を着実に体感できる

各社、映像マニアに応える高画質を追求したフラグシップモデルとは異なり、日常のなかで映像コンテンツを楽しむことに主軸を置いた印象が強く、画質や音質はもちろん、性能や快適性においてもバランス感覚に優れたモデルが並びました。また、どのモデルも4K有機ELテレビの魅力をしっかりと体感できる、ある意味コストパフォーマンスにも優れた実力機揃いであることも記したいです。

パナソニック「TH-55LZ1800」は穏当なバランス重視を感じさせ、「AIオート」の設定も巧み。放送番組の穏やかで美しい設定は多くのユーザーに受け入れられるでしょう。ビデオコンテンツの表現は、TVS REGZA「55X8900L」がベスト。ノイズが少なく透徹した映像は爽快感を感じさせ、理詰めにディスプレイとしての性能を追求した玄人好みのモデルです。映画作品はソニーの「XRJ-55A80K」がリード。映画特有のノイズやガンマの知見が行き届いた画質が、映画との距離を取り払います。ネット動画で見張る部分を見せてくれたのがLG ELECTRONICS「OLED55C2PJA」。映像モードを変えて、追い込んでいける点も特長です。有機ELでも明るさを重視したいなら、シャープ「4T-C55EQ1」がお薦めです。画を作り過ぎず、しかりメリハリのある映像表現も得意です。

42インチ有機ELはこちら>>>待望の42インチ・4K有機ELテレビを徹底比較

20万円台・55インチ4K液晶はこちら>>>20万円台で手に入る55インチ・4K液晶テレビ

10万円台・55インチ4K液晶はこちら>>>10万円台で手に入る55インチ・4K液晶テレビ

SPEC

LG ELECTRONICS「OLED55C2PJA」
●デジタルチューナー数:地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3、BS4K/110度CS4K×2 ●パネル方式:有機EL ●パネルサイズ:55型(1210W×680H/対角1388mm)●画素数:3840×2160 ●対応HDR規格:Dolby Vision、HDR10、HLG ●スピーカー:フルレンジ×2、ウーファー×2 ●音声出力:10W+10W+10W+10W ●主な入出力端子:HDMI入力×4、光デジタル音声出力×1、USB入力×3 他 ●ネットワーク接続:LAN×1、Wi-Fi(2.4GHz、5GHz)●消費電力:363W(待機時約0.5W)●外形寸法:1222W×757H×230Dmm(スタンド含む)●質量:約14.6kg(スタンド含む)

PANASONIC「TH-55LZ1800」
●デジタルチューナー数:地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3、BS4K/110度CS4K×2 ●パネル方式:有機EL ●パネルサイズ:55型(1210W×680H/対角1388mm)●画素数:3840×2160 ●対応HDR規格:HDR10+、Dolby Vision、HDR10、HLG ●スピーカー:フルレンジ×2、イネーブルドスピーカー×2、ウーファー×1 ●音声出力:15W+15W+15W+15W+20W ●主な入出力端子:HDMI入力×4、光デジタル音声出力×1、アナログ音声入力×1、USB入力×3 他 ●ネットワーク接続:LAN×1、Wi-Fi(2.4GHz、5GHz)●消費電力:304W(待機時約0.3W)●外形寸法:1227W×765H×303Dmm(スタンド含む)●質量:約21.0kg(スタンド含む)

SHARP「4T-C55EQ1」
●デジタルチューナー数:地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3、BS4K/110度CS4K×2 ●パネル方式:有機EL ●パネルサイズ:55型(1210W×680H/対角1388mm)●画素数:3840×2160 ●対応HDR規格:Dolby Vision、HDR10、HLG ●スピーカー:フルレンジ×4、トゥイーター×2 ●音声出力:10W+10W+15W+15W ●主な入出力端子:HDMI入力×4、光デジタル音声出力×1、アナログ音声入力×1、USB入力×3 他 ●ネットワーク接続:LAN×1、Wi-Fi(2.4GHz、5GHz)●消費電力:390W(待機時約0.5W)●外形寸法:1227W×770H×263Dmm(スタンド含む)●質量:約24.5kg(スタンド含む)

SONY「XRJ-55A80K」
●デジタルチューナー数:地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3、BS4K/110度CS4K×3 ●パネル方式:有機EL ●パネルサイズ:55型(1210W×680H/対角1388mm)●画素数:3840×2160 ●対応HDR規格:HDR10、Dolby Vision、HLG ●スピーカー:アクチュエーター×3、ウーファー×2 ●音声出力:10W+10W+10W+10W+10W ●主な入出力端子:HDMI入力×4、光デジタル音声出力×1、アナログ音声入力×1、USB入力×2 他 ●ネットワーク接続:LAN×1、Wi-Fi(2.4GHz、5GHz)●消費電力:351W(待機時約0.5W)●外形寸法:1227W×738H×330Dmm(スタンド外側時)●質量:約19.5kg(スタンド含む)

TVS REGZA「55X8900L」
●デジタルチューナー数:地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3、BS4K/110度CS4K×2 ●パネル方式:有機EL ●パネルサイズ:55型(1210W×680H/対角1388mm)●画素数:3840×2160 ●対応HDR規格:HDR10+、Dolby Vision、HDR10、HLG ●スピーカー:フルレンジ×4、トゥイーター×2 ●音声出力:12W+12W+12W+12W+12W+12W ●主な入出力端子:HDMI入力×4、光デジタル音声出力×1、アナログ音声入力×1、USB入力×2 他 ●ネットワーク接続:LAN×1、Wi-Fi(2.4GHz、5GHz)●消費電力:279W(待機時約0.5W)●外形寸法:1226W×742H×237Dmm(スタンド含む)●質量:約23.0kg(スタンド含む)