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  • ホームシアターづくりで後悔しないための基礎知識 スクリーンを選ぶコツとは?
    幕面の種類や機構の違いを学ぶ

    取材・執筆 / ホームシアターCHANNEL編集部
    2023年3月24日更新

後悔しないスクリーン選びのために

初めてスクリーンを購入する際、何を基準に選んだらいいのかわからない方も少なくないはず。ホームシアターづくりで後悔しないための、スクリーンについての基礎知識をお届けします。まずチェックしたいのは、スクリーンの生地、すなわち幕面の種類です。これによって画質が変わってきます。それからスクリーンの機構です。さまざまな設置方法が用意されていて、それぞれに異なるメリットがあります。では、どんなところに気をつけて選んだらよいか、ご紹介していきましょう。

チェックポイント①〜「幕面」

スクリーンの幕面は、映像の質を大きく左右します。プロジェクターの設置状況や視聴環境、お好みの画質に合わせて最適な幕面を選べば、ホームシアターの感動はぐっと高まります。「マット(拡散型)」、「ビーズ(回帰型)」、そのほかに「パール(反射型)」、「サウンドスクリーン」などがあります。

●マット(拡散型)

もっとも一般的なのは、マットです。これはスクリーンに入射した光を均一に反射する特性を持っていて、どのエリアから見ても均一な映像を見られることが特長です。いわば、万能型の幕面といえます。そのため、ほとんどのスクリーンメーカーがそれぞれに製品をラインアップしています。より高精細かつ高輝度な映像を映し出すために、メーカーそれぞれの工夫があり、さまざまなグレードがあることも特長です。

  • プロジェクターが投影した光を全方向に均一に反射するのが特徴。
    光を偏りなく反射するため、視野角が広く、上下左右どの方向から観ても、明るさやコントラスト、色再現の変化が少ない。
    視野角が広いので、家族での視聴にぴったり。
    しっとりとした落ち着いた画質。
    ×照明などの光も同様に拡散するため、設置環境によって画質が影響を受けやすい。
    ※写真下は幕面の顕微鏡拡大写真

●ビーズ(回帰型)

これに対してビーズは「回帰型」と呼ばれるように、スクリーンに入射した光を、光の来た方向へそのまま反射させる特性があります。つまりビーズは、マットに比べて拡散性が低い代わりに、より明るい映像が得やすい幕面といえます。たとえば映像が暗くなりがちなリビングでの利用や、プロジェクターの輝度を補うアイテムとして、注目を集めています。

  • 幕面に微細なガラス球を散りばめたのがビーズタイプ。プロジェクターが投影した光を入射した方向に反射します。
    映像光以外の光に影響を受けにくい。
    明るさの残るリビングや、3D映像を投写する際などのプロジェクターの輝度を補う用途に向いている。
    煌めきのある画質。
    ×視野角はやや狭い。
    ×一般的なビーズは取り扱っているうちに剥離しやすいデメリットも。ただし昨今では、メーカーの努力によって、剥離しにくいモデルも登場しています。
    ※写真下は幕面の顕微鏡拡大写真

●パール(反射型)

鏡のような反射特性を持つパール。輝度がそれほど高くない3管式プロジェクターの時代など、その明るさが重宝されていた時代もありましたが、最近ではプロジェクターの性能がアップしたため、使われることが少なくなりました。

  • プロジェクターからの投影光を入射角に等しい角度で反射します。そのため天吊りにすれば、視聴位置付近で明るい映像が得られます。
    3Dでの視聴に向いている。
    艶やかな画質。
    ×幕面がデリケートなため、シワなどが発生しやすい。

●サウンドスクリーン

映画館で使われているのは、「サウンドスクリーン」です。スピーカーを背後に置くことを想定したもので、音を通すことができるのが特長です。映像と音が一体化するのは、他では得られないメリット。さらにスクリーンの横幅を部屋いっぱいにとれるため、スピーカーの設置スペースを確保したいケースにも重宝します。ただし、音を通す穴を設けているために、画質面では若干の影響があります。

  • 音響透過型の幕面を使用。スクリーンの裏側にスピーカーを置いても、音が透過するという特徴を持っています。
    映像と音とのマッチングが向上します。
    スピーカーをスクリーンの裏に置けて省スペース。
    ×幕面に微細な穴やすき間が空いているので、一部の光も同時に透過します。
    ×モアレがおきる可能性はあります。

チェックポイント②〜「機構」

次に、機構についても重要です。もっとも一般的なのは電動式です。手軽に扱うことができ、生地に負担がかかりにくく、巻き上げておけば汚れも防げます。専用室などでどっぷりと映像の世界に浸りたい画質重視派は、平面性がとりやすい張り込み式がお薦めです。

●立ち上げ式

  • ネジなどが使えない賃貸でも気軽に使えます。
    移動しやすいメリットも。
    ×普段、置き場所が必要。使うときだけ出すのは手間かも…。

●掛図式

  • コストを抑えられるため、導入しやすいです。
    ×毎回巻き取るためシワやたるみ、ヨゴレが発生しやすいです。

●張り込み式

  • 上下左右から引っ張ってテンションをかけるため、平面性に優れています。
    経年劣化に強い。
    ×幕面を保護しにくい。
    ×常に壁の面積が占有されるほか、設置に専門知識が必要です。

●天吊り固定電動式

  • 巻き上げておけば省スペース。
    スクリーンを降ろす位置を固定できる→初心者にお薦め。
    ×設置に専門知識が必要。

●天吊り固定手動式

  • 巻き上げておけば省スペース。
    ×スクリーンを上げ下げする際に生地に負担をかけやすく、V字たわみがややおきやすいです。

プロジェクターとの相性を考える

プロジェクターの特性をチェックしたうえで、スクリーンを決める視点も重要です。スクリーンを大きくしたいなら、その大きさに見あった明るさを確保したいところ。プロジェクターの明るさとのバランスを考えて、適切な幕面とインチサイズを選びましょう。

  • スクリーンが大きくなればなるほど、より明るいプロジェクターが必要になります。プロジェクターの輝度を確認してからスクリーンを選びましょう。
  • スクリーンサイズ表

また、昨今では、超短焦点プロジェクターがトレンドになっています。とても短い投写距離で大画面を得られるため、壁に映像を投写できます。しかし急角度で投写するために、通常のプロジェクターで壁に投写する場合よりも、壁紙のデコボコが目立ちやすいなど、画質面でデメリットがあります。それを補い、さらにメリットに変えるために、テレビのように明るい大画面が得られる特殊加工を施した「超短焦点プロジェクター専用タイプ」のスクリーンもあります。天井からの明るさはカットして、下からのプロジェクターの映像は反射する特殊な幕面になっています。

VGP金賞、エリートスクリーンの超短焦点プロジェクター専用タイプ

あなたが理想とするホームシアターにあわせて、スクリーンの幕面や構造を選んでみてはいかがでしょうか?