プロが推す！ 4K Ultra HDブルーレイハイクオリティソフトBest10[前編]

CONTENTS

・HDR効果も立体音響も熟練された自信作をご紹介
 ・『アナと雪の女王2』
・『イエスタデイ』
・『スター・ウォーズ／スカイウォーカーの夜明け』
・『TENET』
・『透明人間』

HDR効果も立体音響も熟練された自信作をご紹介

コロナ禍で大作映画の公開が次々と延期や中止となり、当然のようにそれらのパッケージソフトの発売もお預けとなった2020年。4K Ultra HDブルーレイソフト（以下、UHD BD）も『アナと雪の女王2』や『フォードvsフェラーリ』などのIMAX上映クラスの新作よりも、『スター・ウォーズ』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』など、修復やリマスターがじっくりと施された、往年の超大作が市場を大いに賑わせました。しかし話題作でも『パラサイト半地下の家族』や『ストーリー・オブ・マイライフ／わたしの若草物語』のようにパッケージ版はBDの2K、配信版は4Kという変則的なリリース形態も増えてきた感があります。ディスク製造コストや在庫リスクを抱えずに済むメーカー側の思惑も理解できますが、正直さびしいところでもあります。

4K Ultra HDブルーレイは、4KやHDRの高画質フォーマット、ドルビーアトモスやDTS:Xなどイマーシブサウンドによって、DVDやBDでは体感できなかった映像情報を味わうことができます。

後編はこちら＞＞＞プロが推す！ 4K Ultra HDブルーレイハイクオリティソフトBest10[後編]

そんな状況でも新作のクオリティの高さからは目が離せません！ 2020年4月〜2021年3月に発売された中から、自信を持ってお薦めできるハイクオリティなタイトルをご紹介。2016年のUHD BDローンチから早5年。以前は「やたら眩しい」「暗すぎる」などといわれがちだったHDR効果の演出も熟れつつあり、ドルビーアトモス音声もトップスピーカーの存在感を殊更に主張しないウェルバランスな作品が増えてきています。ということで様々なジャンルから選び抜いた10本、その映像と音響をぜひご堪能あれ！

『アナと雪の女王2』

『アナと雪の女王2』
￥6,380（税込）
ウォルト・ディズニー・ジャパン
VWAS6980
●制作：2019年／米 ●本編映像：約103分、シネマスコープ、HDR10 ●本編音声：英語ドルビーアトモス、日本語DD PLUS 7.1ch

ディテールが緻密で自然描写も凄みが

どこからか聞こえる歌声に導かれ、旅に出たアナとエルサたち。2人を待っていたのは、両親の死に隠された「ある秘密」だった…。前作を見事に補完しつつ、民族問題にまで踏み込んだ完成度の高い物語には脱帽。画質の進化もめざましく、アナやエルサの肌のスムーズな立体感、衣服の刺繍の細やかさ、オラフの身体を形成する雪の結晶など、緻密なディテールに二度脱帽です。柔からな陽光が差し込む森や、凍てつく大波が押し寄せる海など、自然描写にも凄みが。アトモス音場いっぱいに奏でられる数々の楽曲も魅力的。CH5「イントゥ・ジ・アンノウン」にはオペラのごとき風格さえ漂います。CH17〜、ダムを舞台に展開するスペクタクルの重低音も凄まじい迫力です。

『アナと雪の女王2』　画質／音質傾向

『イエスタデイ』

『イエスタデイ』
￥6,589（税込）
NBCユニバーサル
GNXF-2527
●制作：2019年／米●本編映像：116分、ビスタ、HDR10+●本編音声：英語ドルビーアトモス、日本語DD Plus7.1ch

自然光のHDR表現が抜群にリアル

「ビートルズが存在しない世界」に迷い込んだ、売れないミュージシャンのジャック。彼は数々のビートルズのナンバーを自分の曲として歌い、巨大な名声を手に入れていくが…。『トレインスポッティング』のダニー・ボイル監督が描く音楽ファンタジーは、8K撮影／4K DIマスターの驚異の高精細映像。HDR効果は自然光描写がリアルで、ステージ照明などの輝きも目を引きます。音楽映画だけにサラウンドも大活躍。CH6のレコーディング場面をはじめ、CH8のロシアで歌う「バック・イン・ザ・USSR」のライブ感。CH13の戦略会議でのスタッフの拍手や歓声。CH16は、野外ライブの歓声、中継ヘリの旋回音。CH18、ウェンブリースタジアムも熱狂的です。

『イエスタデイ』　画質／音質傾向

『スター・ウォーズ／スカイウォーカーの夜明け』

『スター・ウォーズ／スカイウォーカーの夜明け』
￥8,800（税込）
ウォルト・ディズニー・ジャパン
VWES6997
●制作：2019年／米●本編映像：約142分、シネマスコープ、HDR10●本編音声：英語ドルビーアトモス、日本語DD PLUS 7.1ch

9部作のなか芸術の域に達したサウンド

レジスタンスとファーストオーダーの最終決戦、そしてレイとカイロ・レンの運命の闘いの行方とは？泣いても笑っても怒っても、スカイウォーカー・サーガが遂に完結。前２作が広げまくった風呂敷を、まさかの皇帝パルパティーンの復活で強引に畳んだ感は否めません。しかし35mm撮影の4K映像が圧倒的なディテールで描くスペースバトルには、オリジナル三部作の「ミニチュア特撮魂」が確かに宿ります。CH4の激しい雷光に浮かぶ無数の戦艦の影。CH28のレイとレンのライトセーバーの光の刃、CH34〜、ビーム飛び交う大艦隊戦など、HDR効果も強力。アトモス音響も９部作を彩ってきた効果音と音楽の集大成で、そのサラウンド効果はもはや芸術の域です。

『スター・ウォーズ／スカイウォーカーの夜明け』　画質／音質傾向

『TENET』

『TENET』
￥8,980（税込）
ワーナー・ブラザーズ
1000783573
●制作：2020年／米●本編映像：150分、ビスタ・シネマスコープ混合、HDR10●本編音声：英語DTS-HD MA5.1ch、日本語DD 5.1ch

圧巻の立体感とコントラストを両立

世界中を驚愕させた、前代未聞の時間逆行アクション。その映像は65mmのIMAXカメラ撮影で、恐ろしいほどに緻密な立体感と質感描写で迫ります。フィルム撮影ならではの広大なコントラストと、仄かにティール色が薫る濃密な色彩もUHD BDならでは。150分の長尺ゆえに見どころは数多いですが、白眉はやはりCH10、画面内のすべてが逆行する世界でのカーチェイス。銃声や弾着、車の走行音、そして鳥や風の音に至るまで、様々な効果音も逆再生で5.1ch音場を埋め尽くします。さらにCH13の最終決戦は、順行軍と逆行軍の2つの時間の軍勢が入り乱れて戦う異様なスペクタクルに。映像と音響が合体してこその未体験映像・音響体験を、たっぷり堪能すべし！

『TENET』　画質／音質傾向

『透明人間』

『透明人間』
￥6,980（税込）
NBCユニバーサル
GNXF-2616
●制作：2020年／米・豪●本編映像：124分、シネマスコープ、HDR10+／ドルビービジョン●本編音声：英語ドルビーアトモス、日本語DD PLUS 7.1ch

ドルビービジョン&アトモスの効果抜群

モンスター映画の古典「透明人間」を、透明人間にストーキングされる女性を主人公としてリメイクする、大胆かつ現代的なアレンジが功を奏しました。常に追われる立場の主人公に感情移入すればするほど、カメラが意味ありげに映し出す「闇」に、そして「気配」に、思わず目や耳をこらしたくなります。その意味で、暗部のディテールをじっくり見せるドルビービジョン映像と、姿なき透明人間の息づかいを伝えるドルビーアトモス音声、その両者と本作の相性は抜群。CH5でヒロインの家を透明人間が徘徊するサスペンス場面など、画と音のどちらかが欠けたら、緊張感が大きく削がれてしまうはずです。特にCH8、屋根裏で携帯が鳴り響くショック演出は強烈！

『透明人間』　画質／音質傾向