ホームシアターの総合誌「ホームシアターファイルPLUS」でも執筆されている伊尾喜大祐さんが、夢の映画館「シン・イオキネマ」づくりを決意! 本連載では、映画館づくりを決意したきっかけから完成するまでの模様を完全密着ドキュメントでお送りします。どのタイミングでどんなことが進行するのか? 映画館づくりにどんな想いがあったのか? 読んだらホームシアターを作りたくなること間違いなし!
ドリームチームがここに結成!
新居1階の実に半分を占める15畳という縦長空間の新ホームシアター。その建築デザインは株式会社エス・ティプランニングの建築士・佐藤浩司氏と龍井慎一郎氏、建築施工は株式会社辰島工務店の辰島康一社長。そしてホームシアターを具体的なカタチにするお手伝いを、インストーラーであるホームシアター専門店・トムテックの浅田友英氏にお願いすることに。伊尾喜のドリームチームがここに結成!
ということでさっそく皆さんにお集まりいただき、ホームシアター「シン・イオキネマ」の建築仕様について第1回のブレストを行うこととなりました。
- 辰島工務店で行っていた住まいづくりの打ち合わせに、ホームシアターづくりのプロであるトムテックの浅田友英氏が初参加。かくしてチーム“シン・イオキネマ”が結成されました。
- 取材にご協力くださった一級建築士事務所株式会社エス・ティプランニングの一級建築士 佐藤浩司氏(左上)、龍井慎一郎氏(右上)、株式会社辰島工務店の辰島康一氏(左下)、ホームシアターのトムテックの浅田友英氏(右下)。
次回はこちら>>>第13回「部屋の仕様が具体的に見えてきた!」
前回はこちら>>>第11回「インストーラーがテンポよくカタチに」
龍井氏の“フルスペック”の防音仕様
ブルーレイ制作やレビュアーという仕事上、ホームシアターである程度の大きなボリュームでの音響チェックは欠かせません。龍井氏はその現状を確認すべく我が家を訪れ、シアター内外への音の響きをチェック。これを元に作成された図面には、まさに「フルスペック」というべき防音仕様が組み込まれていました。
まず、外壁には二重壁構造を採用。外壁材と石膏ボードとの間に厚さの異なる断熱材(ロックウール)を挟み、空気層を設けています。二重貼りした石膏ボードにはさらに遮音パネルを貼り付け、その表面も吸音性の高い織物系の壁紙で仕上げる想定です。天井は階上に伝わる音を最小限に抑えるべく、防振の吊り天井に。天井表面には吸音と遮音性能に優れる天井材、大建工業の「オトテン」を貼るという構想。防音の鉄則は、天井や壁になるべく開口部をつくらないこと。しかし現状では給排気や換気扇、ドルビーアトモス用の天井スピーカー設置のために穴を開けたり、間接照明やプロジェクターの天吊りのために一部を掘り込む必要もありそうです。同様に電源コンセントも埋め込みではなく、露出タイプを設置すべきかという議論も飛び出しましたが、さて?
建築のプロ・龍井氏の提案
- 龍井氏はフルスペックともいうべき防音仕様案を提案。キモとなるのは、二重壁構造を採用した外壁と防振吊り天井。視聴位置前方には、機器を収められるだけでなく、ブルーレイやフィギュアをディスプレイできる壁面収納家具を設けるという構想です。
- 外壁に採用する二重壁構造のイメージ(図はあくまでイメージで、実際の提案内容とは異なります)。外壁と2枚張りした石膏ボードとの間に厚さの異なる断熱材(ロックウール)を2種類充填することで空気層をつくり、遮音性を高めようという意図です。
- 防振吊り天井のイメージ図。防振吊り天井とは、天井をグラスウールなどで支え、躯体と振動絶縁する工法のこと。サブウーファーなどの低音が天井を伝わって音漏れしにくくなります。