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実例

  • 専用室シアターCASE2
    ここにしかない、唯一無二の映画館
    内装はDIY、プロ仕様の機器でクオリティも追求

    取材・執筆 / 塚田真由子(ホームシアターファイルPLUS編集部)
    2019年8月28日更新

どこにもない内装がコンセプト

20年前からホームシアターを離れで楽しんでいたSさん。母屋の新築と離れの改築をきっかけに、趣味のレコーディングもできる本格的な防音仕様のホームシアターをつくることを決意しました。
「せっかくなら、他のどこにもない内装のホームシアターをつくりたかった」というSさんのコンセプトは「ヨーロッパ風の石造りの家」。写真のとおり、ヨーロッパの歴史ある街並みにあるかのような壁がアクセントになった、個性的なホームシアターができあがりました。
驚くべきことに、この内装はすべてSさん自身がモルタル造形という工法で仕上げています。毎週末、朝から晩まで施工を行い、約半年かけてこだわりの内装をつくりあげたそうです。

  • 本物の石、レンガのように見える壁は、Sさんがモルタル造形でつくりあげたもの。専用のモルタルを塗った後、レンガの造形になるスタンプを押し、塗料で劣化した風合いを出していったそうです。
  • 写真左側の防音ドアも、着色モルタルを用いて木に似せてつくられた「擬木」を貼っています。

ホームシアターの究極はサウンドスクリーン

インストールを手がけたアバック新宿本店&CSCの共同チームは、Sさんのこだわりに応えるべく、映画館への憧れを具現化させるシステムを提案しました。壁いっぱいに広がる大画面は、映画館と同じシネスコ サウンドスクリーン160インチ。総合プロデュースを務めたインストーラーの諏訪勇治氏は、「音響透過型の幕面を採用したサウンドスクリーンは、スクリーンのど真ん中からスピーカーの音、セリフが聴こえ、映像と音のマッチングがよいので、お薦めしました。ホームシアターの究極を突き詰めたら、必然的にサウンドスクリーンになります」と選定理由を語ってくれました。

  • サウンドスクリーンはシネスコ160インチ。フレームにフロッキー加工したタイプを選び、迷光対策も万全です。
  • プロジェクターはJVCの4k/HDR対応モデル「DLA-X770R」をチョイス。

スピーカーは劇場と同じプロ仕様

スピーカーも映画館の定番、JBL PROFESSIONALをチョイス。もちろん最新の立体音響技術、ドルビーアトモス7.2.4chにも対応しています。サラウンド/サラウンドバックスピーカーは「8320」は全部で6本で、すべて壁掛け。なお、サラウンドスピーカーは、2基でパラレル接続されており、映画館と同じ仕様にしたそうです。

  • スピーカーはオールJBL PROFESSIONALで、劇場で使われているプロ仕様。フロント、センター、サブウーファーはスクリーンの裏に設置しています。音が太鼓のように共鳴する現象を防ぐため、吸音、振動抑制に配慮した複数層からなる台にスピーカーを置いています。
  • 視聴位置後方。トップスピーカー4基とプロジェクターは天吊り、サラウンド/サラウンドバックスピーカー6基は壁掛けに。劇場用の椅子とモルタルのコントラストが、まるでアトラクションのよう。階段状に設えられた座席、階段に仕込まれたテープライトも非日常感を演出します。
  • トップスピーカー「AC15」は天吊りに。埋め込みスピーカーに比べて、天井に開ける穴が最小限で済むので、防音の効果を減衰することがありません。

音を気兼ねなく出せる防音仕様に

こだわりは機器にとどまりません。シアタールームで録音をすることも多いSさんのために、部屋は壁や天井に約20センチの遮音層を設けた、ルームインルームの防音仕様にしました。防音遮音工事には、CSCで数多くの防音遮音工事事例を手がけてきたインストーラー・関口彰洋氏のノウハウが活かされています。壁と天井にグラスウールを充填し、躯体と振動絶縁。また、後にモルタル造形を施すことを考慮し、壁に貼る遮音ボード等の材質を工夫することで、特定の周波数において遮音性能が低下する現象を抑えているそうです。おかげで映画を大音量で再生してもご家族に迷惑をかけることもありません。

  • ドアは防音仕様にするだけでなく、二重にして開口部のケアを徹底。壁と壁との間の遮音層も厚くしています。
  • 動線を邪魔しないように、入口の手前にマシンセクションをつくりました。ヤマハのAVプリアンプ「CX-A5100」、マルチチャンネルパワーアンプ「MX-A5000」などが収められています。「ヤマハのパワーアンプ『MX-A5000』は、低域のダブつきを抑える力が強いことから、『MX-A5000』をお薦めしました」と諏訪氏。

同僚や音楽仲間も驚く空間が完成

また、クレストロンのホームオートメーションにより、機器や照明をタブレットでかんたんに操作できるようにしました。その甲斐あって、ご家族だけでなくゲストにも好評で、Sさんのお勤め先の同僚やそのお子さんなどもよくシアタールームに遊びに来るそう。テクノやダブステップのサンプリング用にシアタールームで録音することも多いそうで、音楽仲間はみんな、迫力あるサウンドと大画面、そしてアンティーク風の内装に驚いているといいます。
自分自身の手で自分らしい空間をつくりあげたSさん。それに精一杯気概を持って応えたインストーラー。コミュニケーションの美しい結晶のような映画館は、Sさんにとってたったひとつの愛しい空間になったに違いありません。

  • シアタールームのAV機器や照明をタッチ操作でコントロールできるようにプログラミングしています。
  • 写真はマイクを接続するためのPA機器の背面。シアタールームで録音している様子を別室のスタジオでモニターすることもできるそう。
  • オーナーのSさん。「誰にも気兼ねなく食事しながら映画を観られるのがホームシアターの醍醐味」と語ってくれました。
  • 写真左上からインストーラー 諏訪勇治氏、営業 井出亮太郎氏、中段左から防音設計・施工管理 関口彰洋氏、プログラミング 栗原 淳氏、下段左から、工事課 岩崎嘉之氏、工事課 大城浩也氏。

そのほかの事例>>>「ドルビーシネマをめざして憧れを叶えた映画館」を見る

写真/井上良一

S邸ホームシアター概要

ROOM DATA
住宅形態●戸建/新築 家族構成●夫婦+子ども ホームシアターの広さ●約20畳 画面サイズ●シネスコ160インチ サラウンド●7.2.4ch インストール内容●機器設置、システムプランニング、防音、照明プランニング、ホームコントロールシステム、かんたん操作 ほか

SYSTEM LIST
●プロジェクター:JVC DLA-X770R ●スクリーン:オーエス PA-160L-02-WS103 ●Ultra HDブルーレイプレーヤー:パナソニック DMR-UBZ2020 ●AVプリアンプ:ヤマハ CX-A5100 ●マルチチャンネルパワーアンプ:ヤマハ MX-A5000 ●フロント/センタースピーカー:JBL PROFESSIONAL 3722N ●サラウンド/サラウンドバックスピーカー:JBL PROFESSIONAL 8320(計6基) ●トップスピーカー:JBL PROFESSIONAL AC-15(計4基) ●サブウーファー:JBL PROFESSIONAL 3635(2基) ●ホームオートメーションシステム:CRESTRON RMC3 ほか

INSTALL SHOP
アバック新宿本店(CSC)
東京都新宿区西新宿7-5-9
ファーストリアルタワー新宿3F
TEL:03-5937-3150
営業時間 11:00〜19:00
定休日 水曜日
https://www.avac.co.jp/