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レビュー

  • TCL/HISENSE/FUNAI 本気テスト! 増税直前の4Kテレビ大比較!
    5万円から買える実力モデルも!
    第1回「4K液晶テレビ スタンダードクラス編」

    VGP 取材・執筆 / 鴻池賢三
    2019年9月18日更新

    • VGP審査副委員長
      鴻池賢三

4Kテレビが“当たり前”の時代に!

日本では基幹放送のひとつとして新4K衛星放送がスタートし、ディスクメディアでは4K Ultra HDブルーレイ(以下、UHD BD)が増加、ストリーミング動画配信サービスでも4Kコンテンツが強化され、それらを映すテレビは、4Kモデルが標準と言える時代になりました。
実際、液晶テレビと有機ELテレビ、どちらとも4Kモデルの数が増え、クオリティや機能性、予算に応じて柔軟に選べるようになっています。そこで今回は、あらゆる価格帯の4Kテレビを一堂に集めて、多角的に徹底レビューを実施。ピッタリの1台を見つけられるよう、4Kテレビの大特集を企画しました。第1回は「4K液晶テレビ スタンダードクラス編」をお届けします!

  • 「4K液晶テレビ スタンダードクラス編」では、厳選3モデルを徹底テスト。画面サイズは50型・55型で検証しました。画質モードは、「シネマ」や「シネマプロ」といったモードを基本とし、クオリティチェックを行っています。

TCL 「50K600U」〜大画面50インチが驚きの5万円!

  • TCL
    50K600U
    ¥OPEN(実勢価格¥50,000前後)

TCLは中国を代表する世界屈指の総合家電メーカーであり、国内では4K液晶テレビのラインアップを急速に拡充させています。「50K600U」の特長は、なんと言ってもその手頃な価格です。4K/HDR対応のベーシックモデルと銘打たれた本機は、なんと5万円前後で50型を購入可能。4Kチューナーは非搭載。ストリーミング動画配信などにも対応していませんが、UHD BDプレーヤーやメディアストリーミング端末などとHDMI接続すれば、思う存分4Kコンテンツを楽しめます。コスパ重視派なら最も注目したいモデルです。

  • 選べる映像モードは、全6モード。映画作品を楽しむのに適している設定として「映画」、さらに原画への忠実度が高い映像を求める方は「映画プロ」を選択するのがベターです。視聴環境がとても明るい場合は、「居間」のモードが推奨されています。
  • 音声モードは、「標準」モードをはじめ、高域と低域を強調させる「音楽」、ニュースやセリフなどを聴こえやすくした「会話」などを採用。さらに「イコライザー」の項目では各帯域で細かく調整ができ、またサラウンド効果をもたらすモードも備えています。
  • HDMI入力端子は3系統搭載しており、ポート3がARC対応の端子となります。電源ケーブルはメガネ型で着脱可能なタイプになっているため、電源ケーブルの交換にも対応しています。4Kチューナーは搭載しておりません。

4Kの精細感を十分に体感できる

HDR対応を果たしていますが、画面の輝度が限定的な面があるため、直射日光が差し込むリビングなどでは、HDRによる輝度表現、映像の力強さや芳醇な色を体感することが難しいかもしれません。HDRの効果を楽しみたいユーザーは、できるだけ暗所での視聴が薦め。4Kの解像感は本物です。5万円と思えない、精細感の高い映像を楽しめます。薄明かりのリビングや暗室なら、4K/HDRならではの映像を実感できるでしょう。「Apple TV 4K」や「Fire TV Stick 4K」などを繋いで、手軽に4Kコンテンツを楽しむのに、丁度よいハイコスパモデルです。

  • ※動画配信機能は搭載していません。

HISENSE 「50E6800」〜プロも認める価格を超えた高画質!

  • HISENSE
    50E6800
    ¥OPEN(実勢価格¥100,000前後)

日本国内でも人気急上昇中、中国生まれの世界的なテレビブランド「HISENSE(ハイセンス)」。東芝レグザの高画質技術の採用や、パネルモジュールの高精度な検査を実施するなど、画質において信頼度を著しく高めています。「50E6800」は、4Kチューナー内蔵の4K液晶テレビの中でもコスパが優秀。高画質処理エンジン「NEOエンジン」の搭載や、輝度表現を高めるために効率的に明るさを高めた「バックライトブーストフィルム」を採用するなど、10万円とは思えないほどの映像美を実現しています。スマートなインターフェース「VIDAA」を導入し、操作性やネットワーク機能の性能も高めています。

  • 「映画」、「スタンダード」、「ダイナミック」のほか、「スポーツ」や「ゲーム」など幅広い映像ジャンルに適した映像モードを採用。「自動」では、コンテンツだけでなく視聴環境の明るさにも最適化を図った映像調整を施してくれます。
  • 音声メニューが豊富なのも特長な50E6800。「映画」、「ダイナミック」、「クリア音声」などを選択できるだけでなく、「低音強調」や音声帯域別に調整できる「イコライザー」、「サラウンド」のモード選択では「ライブ」(音楽ライブ)や「シネマ」の効果を選ぶことができます。
  • BS・110度CSアンテナ入力は4Kチューナーを搭載。HDMI入力端子を4基搭載するなか、入力1がARC機能に対応しています。電源ケーブルを着脱できるタイプで、メガネ型電源ケーブルが同梱されています。

画も音も日本ユーザー向けの適度な味付け

HDRのピーク感はまずまずながら映像は明るく、グラデーションが滑らかで、黒の締まりの締まりも良好です。『アリー/スター誕生』の暗いステージシーンは、黒を沈めて透明感と豊かな色彩表現が好ましいです。液晶テレビで問題視される視野角特性も、明るい映像では変化が少なくとても実用的。4K放送を観てみると、ノイズが抑えられすっきりとし、コントラストの高い表現力も魅力です。音質はアナウンスなどの声がやや細く感じるものの、明瞭で日常的な利用は満足できるレベル。画質も音質も、日本のユーザーが好む味付けが適度に施されていて、快適な視聴を叶えてくれます。

  • 「50E6800」の画質・音質傾向

FUNAI 「FL-55U4120」〜ドルビービジョン対応でHDRを満喫!

  • FUNAI
    FL-55U4120
    ¥159,800(税抜)
    ※製品発表時のヤマダ電機での税抜価格を記載しています。

日本メーカーでとりわけ海外で実績の積み重ねてきたFUNAI。液晶テレビのみならず有機ELも製品化し、幅広いラインナップを誇る大手AV機器ブランドです。本機は4Kチューナーを内蔵し、ストリーミング動画再生機能も搭載した多機能モデル。HDRフォーマットは「Dolby Vision」(以下、ドルビービジョン)にも対応しています。画質面では、映像エンジンとして「クリアピクスエンジン4K HDR PLUS」、標準画質の映像を4Kアップコンバートする「4K Clear Pix Remaster」機能を搭載。音質面では「Sonic Emotion PREMIUM」技術を採用しています。

  • 今回の取材で、ドルビービジョンに唯一対応している本モデル。映像モードに明室視聴用の「ドルビービジョンブラント」、暗室視聴用の「ドルビービジョンダーク」のモードを、ドルビービジョン再生時に追加されます。通常コンテンツを再生時は、「ナチュラル」や「ドラマ」などFL-55U4120ならではのモードを搭載。
  • 選んだ映像モードに連動して音声モードも自動で変更してくれる「映像モード連動」が、音声メニューに導入されています。また、スイスのソニックエモーション社が開発した3D音場モード「Sonic Emotionサラウンド」を搭載しており、のオフ/弱/強から調整できます。
  • 4Kチューナーを2基搭載しており、新4K衛星放送を視聴できるだけでなく録画にも対応するのは、今回のレビューでは本機だけ。裏番組録画にも対応するため、4K録画しながら通常の放送番組を視聴できます。HDMI入力端子は3基搭載し、入力1がARCに対応。電源ケーブルは着脱できません。

ダイナミックなHDR映像、音質にもハリがある

映像を10%程度拡大するオーバースキャンが常時オンになっているため、4Kの高精細映像をそのまま楽しめるよう表示する画面サイズをフルピクセルにしましょう。液晶パネルの視野角特性や暗部の沈みにも関わるコントラスト性能は限定的ですが、映像が明るくHDRのダイナミックな映像を楽しめるのは何よりです。4K放送映像はディテールの再現よりもノイズを抑える方向で、色は濃厚気味ながら、すっきりと見易い印象です。音質はソースを問わずハリがあって聴き映えするチューニングが特長。声に適度な低音が伴って響きが心地よく、長時間の利用にも適するでしょう。

  • 「FL-55U4120」の画質・音質傾向

価格で選ぶか、画質で選ぶか

今回は4K/HDR対応で、購入しやすい価格のスタンダードモデルを集めて比較検証しました。5万円、10万円、15万円と価格に段階がありますが、それぞれに特徴や個性があり、予算で選んでも価格以上のクオリティを味わわせてくれます。

それでも価格をいちばん重視するなら、やはりTCL「50K600U」。機能はシンプルで、4Kチューナーも別売ですが、4K/HDR対応のモデルをとにかく手に入れてみたい方に検討して損はないでしょう。50型の4K高精細映像が5万円前後で手に入るのは本当に驚きです。
FUNAI「FL-55U4120」は、今回取り上げたモデルの中では少し高価ですが、HDRならではのダイナミックな映像が体感できます。「HDR」を重視し、音質にもこだわるなら選択肢に入るはずです。そして価格、画質、機能のすべてにおいてバランスされた安心のモデルを選ぶならHISENSE「50E6800」。もし、スタンダードクラスの4K液晶テレビ選びに迷ったら、本機がお薦めです。

<関連記事>

第2回「4K液晶テレビ ハイグレードクラス編」
第3回「4K有機ELテレビ スタンダードクラス編」
第4回「4K有機ELテレビ ハイグレードクラス編」

SPEC

TCL 「50K600U」
●デジタルチューナー数:地上デジタル×2、BS/110度CSデジタル×2 ●パネル方式:液晶 ●パネルサイズ:50型(1096W×616Hmm/対角1257mm) ●画素数:3840×2160 ●対応HDR規格:HDR10 ●スピーカー:非公表 ●音声出力:8W+8W ●主な入出力端子:HDMI入力×3、光デジタル入力×1、アナログ音声入力×1、USB入力×2 ●ネットワーク接続:LAN×1 ●対応ストリーミング動画サービス:非搭載 ●消費電力:120W(待機時0.3W) ●外形寸法:1113W×696H×269Dmm(スタンド含む) ●質量:12.6kg (スタンド含む)

HISENSE 「50E6800」
●デジタルチューナー数:地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3、BS4K/110度CS4K×1 ●パネル方式:液晶 ●パネルサイズ:50型(1096W×616Hmm/対角 非公表) ●画素数:3840×2160 ●対応HDR規格:HDR10、HLG ●スピーカー:非公表 ●音声出力:10W+10W ●主な入出力端子:HDMI入力×4、光デジタル入力×1、アナログ音声入力×1、USB入力×2 ●ネットワーク接続:LAN×1、Wi-Fi(2.4GHz、5GHz) ●対応ストリーミング動画サービス:Netflix、dTV、U-NEXT、ひかりTV 4K、TSUTAYA TV、YouTube ●消費電力:130W(待機時0.5W) ●外形寸法:1112W×693H×235Dmm (スタンド含む) ●質量:11.7kg (スタンド含む)

FUNAI 「FL-55U4120」
●デジタルチューナー数:地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×3、BS4K/110度CS4K×2 ●パネル方式:液晶 ●パネルサイズ:55型(1209W×680Hmm/対角1387mm) ●画素数:3840×2160 ●対応HDR規格:HDR10、HLG、Dolby Vision ●スピーカー:フルレンジ×2 ●音声出力:15W+15W ●主な入出力端子:HDMI入力×3、光デジタル入力×1、アナログ音声入力×1、USB入力×2 ●ネットワーク接続:LAN×1、Wi-Fi(2.4GHz、5GHz) ●対応ストリーミング動画サービス: DAZN、dTV、U-NEXT、Abema TV、ひかりTV 4K、TSUTAYA TV、YouTube ●消費電力:177W(待機時0.4W) ●外形寸法:1246W×760H×256Dmm (スタンド含む) ●質量:16.2kg (スタンド含む)

REFERENCE MODEL

  • UHD BDプレーヤー
    PANASONIC
    「DP-UB9000」
  • HDMIケーブル
    PANASONIC
    「4Kプレミアムハイグレードタイプ」
    RP-CHKX10-K(1m)/RP-CHKX15-K(1.5m)/RP-CHKX20-K(2m)/RP-CHKX30-K(3m)/RP-CHKX50-K(5m)
  • HDMI分配器
    RATOC
    「RS-HDSP4P-4K」
  • 写真左から
    UHD BD
    『ボヘミアン・ラプソディ』
    FXHA-87402/20世紀フォックス
    ●映像:シネマスコープ、HDR10+
    ●音声:英語ドルビーアトモス、英語DTS-HDマスターオーディオ2.0ch 他

    UHD BD
    『アリー/スター誕生』
    1000743779/ワーナー・ブラザーズ
    ●映像シネマスコープ、ドルビービジョン
    ●音声:英語ドルビーアトモス、英語DTS-HDマスターオーディオ5.1ch 他

  • 写真左から
    UHD BD
    『マリアンヌ』
    PJXF-1093/NBCユニバーサル
    ●映像:ビスタ、HDR10
    ●音声:英語DTS-HDマスターオーディオ5.1ch 他

    UHD BD
    『The Spears & Munsil UHD HDR Benchmark』
    Scenic Labs
    ●映像:ビスタ、HDR10、HLG、HDR10+、Dolby Vision
    ●音声:音声DTS-HDマスターオーディオ5.1ch、音声ドルビーTrueHD 5.1ch