CONTENTS
・Netflixはオリジナル作品と独占配信でファンの心を掴んだ
・『ディック・ジョンソンの死』
・『事件現場から:セシルホテル失踪事件』
・『ハンディキャップ・キャンプ:障がい者運動の夜明け』
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Netflixはオリジナル作品と独占配信でファンの心を掴んだ
コロナ禍のエンタメ界で急成長したといわれるのがSVOD。数ある中でも、Netflixの快進撃は劇的でした。2015年に日本でのサービスローンチした同社は、19年にはSVODのシェアトップを獲得。ローンチ5周年の昨年は、コロナ禍で外出に制限があるという特殊な状況が後押しし、全世界でハマる人が急増したのが記憶に新しい。では、Netflixの何がSVODユーザーの心を掴んでいるか、紐解いてみましょう。
- Netflix
[視聴プラン]
ベーシック→¥990/月(SD 480pの画質)
スタンダード→1,320/月(フルHD 1080pの画質)
プレミアム→1,980/月(UHD 4KとHDRの画質)
まず、配信作の多様性。他社のカタログ作品はもちろんのこと、未公開のドキュメンタリーや日本ではソフト化が難しい欧州のテレビドラマなど、配信作のジャンルは多岐にわたります。そのうえで、自社制作によるオリジナル作品、もしくは世界配信権を獲得した独占配信作に注力をしており、ここでしか観られない作品の多いこと。おそらくすべてをクリアすることは不可能なほどのコンテンツ数を有します。さらに、4K配信に対応したのも、他社と比べて非常に早かったことから、画質にこだわりがある層にも訴求力が高いです。近年のオリジナル作品は、テレビサイズでも十分というものから、できる限り大画面・高画質で、というものまで。ユーザーの選択肢にまでこだわりを持って制作していることが、一度使ってみればわかっていただけるでしょう。
『ディック・ジョンソンの死』
- ●配信年:2020 ●本編映像:90分 ●監督:キルステン・ジョンソン
Netflix映画『ディック・ジョンソンの死』独占配信中
医者の父が見つめるゴールをシリアスでときにユーモラスに
認知症だった妻を亡くした精神科医のディック・ジョンソン。彼もまた認知症を患ってしまうのです。彼の娘が監督した、父の終活をとらえたドキュメンタリー。人を助けるために医者になった父が、自分の意思で動けるうちにできることは何か、娘が手を貸す。ときにシリアスに、ときにユーモアたっぷりに、誰もが必ず迎えるゴールである「死」を見つめる、感動的な作品。非常に評価が高く、ドキュメンタリーに贈られる賞を総なめ中!
『事件現場から:セシルホテル失踪事件』
- ●配信年:2021 ●シーズン:1シーズン ●監督:ジョー・バーリンジャー
Netflixオリジナルシリーズ『事件現場から: セシルホテル失踪事件』独占配信中
セシルホテルの噂を検証したミステリーに満ち溢れる作品
ロサンゼルスに実在し、未解決事件の現場となったセシルホテルにまつわる噂を検証したドキュメンタリー。ミステリー小説を読み進めていくような娯楽性も。じつはこの手のドキュメンタリーはNetflixの得意ジャンルで、実際の爆死事件を追った『邪悪な天才:ピザ配達人爆死事件の真相』や、ネット民を震わせた事件の『猫イジメに断固NO !:虐待動画の犯人を追え』など、良質のコンテンツがたっぷり!
『ハンディキャップ・キャンプ:障がい者運動の夜明け』
- ●配信年:2020 ●本編映像:108分 ●監督:ニコール・ニューナム、ジム・レブリクト
Netflix映画『ハンディキャップ・キャンプ: 障がい者運動の夜明け』独占配信中
人権運動の萌芽を描き出す秀逸な長編ドキュメンタリー
1951 年~77 年にNYで開かれていた、ハンデを持つ若者を対象としたキャンプ。そのキャンプこそが、障害者の人権運動の萌芽となったことを描き出します。今年のアカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門で『ディック・ジョンソンの死』と共にショートリスト入りしました。プロデュースは前米国大統領夫妻のバラク&ミシェル・オバマの制作会社。ちなみに同プロダクション第一作『アメリカン・ファクトリー』はオスカーを獲得しています。
[筆者]
- よしひろまさみち
映画ライター・編集者。女性誌、情報誌などの編集部を経てフリーになり20数年。雑誌、Webでのインタビューやレビューの連載、カルチャーページの編集のほか、テレビやラジオなどでの映画紹介も担当する。