CONTENTS
・音楽を“いい音”で楽しめるのがオーディオ
・プログラムソースを再生するのがプレーヤー
・小さな音声信号を増幅してくれるのがアンプ
・スピーカーは音声信号を“音”にして出す
・「出力から入力へ」が機器の接続で大切
・こだわりと予算で変わるオーディオのグレード
音楽を“いい音”で楽しめるのがオーディオ
オーディオはなんだか楽しそうです。アンプやスピーカーで音を出し、色々とグレードもあるらしい。でも、どこから始めればよいのでしょうか? そんなオーディオ初心者のために、「今知りたい!林 正儀のオーディオ講座」と題して、“あらゆるコンテンツをいい音で楽しむ”ことをモットーとした、オーディオ連載を始めていきます。
オーディオはまず、音楽ありきです。オーディオに興味をもつ人はみな音楽が好きですね。ジャズやポップス、ロック、クラシックなどジャンルを問わず、何らかの方法で音楽を聴いているでしょう。ある人はスマホとワイヤレスイヤホンで、またある人はBluetoothスピーカーやデスクトップでPCによる音楽再生を楽しんでいる方もいるでしょう。
でも、もっと違う世界があります。それがオーディオへの道です。同じCDを、もっと本格的なオーディオ機器で聴いたことがあれば「こんなに素晴らしいサウンドが入ってたんだ!」と、新たに感動するはずです。例えばダイアナ・クラールの曲を掛けたとします。スマホとワイヤレスイヤホンでは体感できなかった表情豊かなボーカルやピアノ、ぐっと厚みと深みのあるリズムセクションなど、音楽の表情が生き生きとしたものになるでしょう。まさに眼前にミュージシャンがいるような生々しさを体感できる、それがオーディオの世界です。
プログラムソースを再生するのがプレーヤー
まずどんなオーディオ機器が必要なのかみてみましょう。プレーヤー、アンプ、スピーカー、この3つはオーディオにおける3種の神器ともいえるもので、機器ひとつひとつをコンポ(コンポーネントの略)と呼びます。コンポの組み合わせがオーディオシステムで、入門者用のエントリークラスから、音質にこだわるマニア向けのハイエンドクラスまで、さまざまなグレードがあるのもオーディオのおもしろさのひとつです。
それぞれのコンポの役割をみてみましょう。プレーヤーは、スタンダードなものだとCDプレーヤーが多く、SACD(スーパーオーディオCD)やDVDオーディオも再生できるユニバーサルプレーヤー、音楽ストリーミングサービスやNAS内の音源を再生できるネットワークプレーヤー、古くからあるアナログレコードプレーヤーも仲間ですね。
どんなタイプのディスク/音楽ファイルを再生するのか、再生するソースによって対応するプレーヤーが異なってくるということです。CDやアナログディスクのような音源をプログラムソースといい、ほかのソース機器としては録音が役目のレコーダーなどもあります。
- オーディオのシステムの基本構成と音楽信号の流れ。音楽の再生はソースからスピーカーへと川の流れのように、上流から下流へ音楽信号が流れています。
小さな音声信号を増幅してくれるのがアンプ
プレーヤーから得られる出力は小さいため、そのままスピーカーを繋ぐことはできません。そこで増幅の働きをするのがアンプ(アンプリファイヤー:増幅器の略)です。アンプの役割は、増幅と入力ソースの切り替え。CDやネットワーク音源など、好みの音楽ソースを選んで、小さな信号をぐんと大きくし、最終的にスピーカーを鳴らすわけです。
細かくいうと、アンプは前段のプリ部(電圧増幅)と後段のパワーアンプ部(電力増幅)に分かれます。エントリーやミドルクラスであれば、一体型のプリメインアンプを使うのが一般的です。これに対してプリアンプ、パワーアンプを独立させたのが高級ユーザーむけのセパレートタイプ。もっとマニアになると、モノラルのパワーアンプを2台揃えた大がかりなシステムになったりします。
スピーカーは音声信号を“音”にして出す
そして、音を出す装置がスピーカーです。スピーカーは、アンプによってドライブされ、最終的に音を出力します。スピーカーにも色々な形状やタイプがあります。小型のブックシェルフ型、背が高いフロア型(フロアスタンディング、またはトールボーイ型とも呼ばれます)といったタイプに分かれます。
床にそのまま立つからフロアスタンディングで、キャビネットの容積を大きくでき、低音の再生に有利、スタンドが不要というのがメリットです。それに対してブックシェルフは、スピーカースタンドが別途必要です。手軽に出窓やラックの上などに置くこともできますが、予算ができたらやはりスタンドにのせてあげたいものです。
「出力から入力へ」が機器の接続で大切
これらのコンポは、各機器を繋ぐことではじめて音が出ます。音の信号の通り道がケーブルで、信号の種類によって使うケーブルや端子が異なります。繋ぎ方で大事なことが、「出力から入力へ」という考え方です。川の流れのように、上流から下流へと音楽信号が流れると覚えましょう。
つまりプレーヤーの出力をアンプの入力端子につなぎ、一方アンプのスピーカー端子からの出力をスピーカーターミナルへと繋ぐのです。上流と下流とでは電気信号のパワーが違い、微弱なラインレベルの信号(ほぼ1V)を扱う上流ではRCAのラインケーブルを用い、下流のたっぷりと電力を流すアンプ=スピーカー間にはスピーカーケーブルが使われます。
こだわりと予算で変わるオーディオのグレード
ここでは、オーディオのグレードについてお話しましょう。クルマでもカメラでも、およそ趣味の製品にはグレードというものがあります。初心者がいきなり運転の難しい高級スポーツカーは乗りこなせないでしょうし、一眼レフの高級カメラでうまく撮影なんてできません。オーディオも同じで、こだわり度や予算のかけ方によって、いくつかのグレードに分かれ、グレード毎に製品が用意されているのです。
- 左の図は「オーディオのピラミッド」。エントリー層(初心者層)が一番下で、その次にある程度オーディオ暦のあるミドル層がきます。ハイエンド層と呼ばれる、高級オーディオを楽しむ人たちはいわばオーディオの達人。
エントリークラスでは、ハイコンポや総額10万円くらいのコンポが主流です。プレーヤーとアンプが一体になっているモデルもありますね。ミドルクラスになると、プレーヤーもプリメインアンプも横幅44センチのフルサイズ。スピーカーにも予算をまわし、総額20~50万円のシステムというイメージです。
- 10万円クラスのコンポが主流となるエントリークラス。プレーヤーとアンプの一体型のモデルなど、気軽にオーディオを楽しめるモデルも揃っています。
- 20~50万円クラスで構成されたオーディオシステムが主流となるミドルクラス。オーディオ機器のグレードやクオリティ、音の傾向などにさらにこだわったユーザーにお薦め、オーディオブランドの注力モデルが多数ラインアップされています。
さらにその上になると、予算50万円を超え、さらに100万円以上など高級オーディオの世界が広がります。上をみたらキリがないのですが、ここではアンプがプリとメインのセパレート型になったり、プレーヤーもトランスポート(メカ部)とD/Aコンバータ(電気回路部)を別個に揃えたりします。スピーカーも大型の著名ブランド品などを愛用します。予算や好みに応じて、自由にコンポを選んでみましょう。
- ハイエンドクラスは予算50円以上、さらに100万円を超えるような高級オーディオの世界。各社のフラグシップモデルと呼ばれる最高級モデルが並ぶグレードでもあります。また、アンプもプリアンプとメインアンプで分けていたりと、さらに音に対してこだわっています。