CONTENTS
・「ライフレーベル(LIFE LABEL)」は、どんな住宅ブランド?
・家に”住む”のではなく、家を”楽しむ”
・趣味やこだわりは家の中心にあったっていい
・人を笑顔にするホームシアターの素晴らしさを広めるべき
「ライフレーベル(LIFE LABEL)」は、どんな住宅ブランド?
住宅業界に新たな風を吹き込んでいるブランド「ライフレーベル(LIFE LABEL)」をご存知でしょうか。“HOUSE IS ENTERTAINMENT”をキーワードに、カルチャーやファッションの要素を住宅に落とし込み、家を楽しむためのさまざまなライフスタイルを提案しています。そんなユニークな住宅のブランドを主宰する林 哲平氏に、日々の暮らしをもっと楽しむためのアイデアについて伺いました。
- 「LIFE LABEL」
“HOUSE IS ENTERTAINMENT”をキーワードに、新しい暮らしの楽しみ方を提案する住宅ブランド。さまざまな業種とコラボレーションした規格住宅デザインを開発。Webメディア「LIFE LABEL magazine」やSNS、オリジナル雑誌などで、暮らしがもっと楽しくなるようなアイデアや情報を発信しています。
- ●お話を伺った方
LIFE LABEL
ディレクター
林 哲平さん
広告代理店にて映画・ファッション業界をはじめ、さまざまな企業のプロモーションに携わった後、ベツダイ入社。グッドデザイン受賞住宅 「ZERO-CUBE」のブランディングを進めます。 規格住宅のフランチャイズ 「LIFE LABEL」、「Dolive」のディレクターとして、商品開発から広告・マーケティングまでを手がけています。
前回はこちら>>>Vol.5「三菱地所」のいえなかホビー「スマートホームの旗振り役に IoTで暮らしはより面白くなる」
家に”住む”のではなく、家を”楽しむ”
― LIFE LABELを立ち上げたきっかけについてお聞かせください。
林 「LIFE LABELの運営会社であるベツダイに入社した頃から、家に住むというよりも、家を舞台にしていかに人生を楽しむかが大事だとずっと思っていました。洋服や車を選ぶように、家もスタイルに合わせて選べたら、人生ももっと楽しくなるに違いない。でも、そう考えた時に、家での楽しみ方をイメージできるような住宅やメディアが少ないと思ったことがきっかけで、2017年、LIFE LABELを立ち上げました。」
― いわゆるハウスメーカーとは異なり、さまざまな規格住宅を開発しているフランチャイズチェーンでもあるのですね。
林 「はい。工事を請け負っているわけではなく、住宅というフィルターを通してさまざまな情報を発信している住宅ブランドで、どちらかというとマーケターに近いですね。これまで、住まい手目線の家づくりをスタンダードにするべく、さまざまなブランドやインテリアショップ、雑誌などとコラボし、多種多様な規格住宅を開発してきました。それというのも、住宅は一生の買い物であるにも関わらず、初めての方にとってはわからないことだらけ。ですから、その家での暮らしをイメージできるように、それぞれの規格住宅には明確なコンセプトを設け、お客様が選びやすいようにしています。」
― いままでの規格住宅のなかで、反響の大きかったのはどの住宅ですか?
林 「アメリカンライフスタイルを提案するセレクトショップ「FREAK’S STORE」とコラボした住宅「FREAK’S HOUSE(フリークスハウス)」を2017年に発売しはじめましたが、この住宅は、ファッション業界や広告・出版業界の方々からの反響が大きかったですね。STOREはアメリカンカルチャーを大切にしているブランドなので、福生にあるようなアメリカンローカルハウスの平屋をイメージし、家族や仲間、自然とゆるやかにつながれるようなデザインに仕上げました。」
- アメリカンライフスタイルの提案を軸に洋服、雑貨、インテリアなどを展開する「FREAK’S STORE」とコラボした規格住宅第1弾。アメリカンローカルハウスをイメージした平屋と2階建て、ふたつの建物をひとつにした大胆なレイアウトを採用。2階部分のブラックの外壁にはよろい調のサイディングが用いられています。
- 写真上/庭をL字に囲んだデッキは、リビングとフラットにつながり、室内と屋外の境界を感じさせません。
写真下/平屋部分を丸ごと使った広々としたリビング。外の板塀とリビングのアクセントウォールをウエスタンレッドシダーに統一することで、室内外の境を感じさせない空間になっています。
- 庇のあるカウンターは、よくあるキッチンとはひと味違う、カフェのような居心地のよさを演出。
- 2階には間仕切りや壁のないシェアスペースを用意。1階の家族の気配も感じながらほどよい距離を保てるので、ワークスペースや趣味空間にぴったり。
― そのほかにも、アメリカ西海岸テイストの住宅デザインで人気のカリフォルニア工務店や、雑誌「POPEYE」、インテリアショップ「IDEE」など、さまざまな業種とコラボしていますよね。
林 「はい。人々の感情を突き動かすものは、やはりデザインのストーリーテリングなんですよね。家だけでは既に家をほしいと考えている方にしか届きませんが、その規格住宅のコンセプトにマッチした家具や雑貨、ファッションがセレクトされていれば、もともと家をほしいと思っていなかった方も「自分もこういう暮らしをしてみたいな」と感じやすくなると思います。」
趣味やこだわりは家の中心にあったっていい
― そんなLIFE LABELが、洗練されたデザインが人気のエレクトロニクスブランド「amadana」とタッグを組み、規格住宅「amadana base」を発表しましたね。その企画意図をお聞かせください。
林 「自分の「好き」や「こだわり」をあえて生活の真ん中に置くことで、“毎日が1トーン気持ち高まるくらし”をテーマに企画しました。従来の家の場合、キッチンや寝室など機能を優先して設計していて、趣味はその隙間で行うことの方が多かったんですよ。そこで、amadana baseでは、まず趣味を優先して設計することにしました。たとえば、DJスペースやアウトドアギアといった趣味のアイテムは家の隙間に置かれがちでしたが、家の中心にあってもいいと思いますし、むしろ、こういう隙間にこそ人の趣味やこだわりが詰め込まれていると思います。そこで、“隙間”を“好き間”と定義し、趣味やこだわりを最大限楽しめる“好き間”を家の中心につくりました。そういった提案をすることで、家のあり方はもっと自由であるべきだというメッセージを込めました。」
- 「好き」が中心にある「好き」だらけの家
クリエイティブ総合商社「amadana(アマダナ)」とコラボした規格住宅「amadana base produced by amadana」。「好き」や「こだわり」をあえて生活の真ん中に置くことで、“毎日が1トーン気持ち高まる暮らし”がテーマ。その最大の特長は、玄関や廊下など一般的にはサブスペース扱いになりがちな共用部を、趣味や愛してやまないモノを楽しめる空間として家の中心に配置。そんなこだわりを叶えるスペースを「好き間」と名づけています。
- 写真上/「amadana base」のコンセプト。従来の家はキッチンや寝室など機能優先で設計されがちで、趣味はその隙間で行うものでしたが、amadana baseでは趣味を優先しているのが特長。家の真ん中に趣味があって、その周りを機能が囲むというユニークな発想を採用しています。
写真下/多くのDJに愛用されてきた、テクニクスのターンテーブルをディスプレイ。「音楽が中心にある好き間」を表現しています。
- こだわりの詰まった「好き間」とシームレスにつながるリビングダイニング。「好き間」やキッチンとの間に仕切りがないため、選曲しながら、あるいは料理をしながら、家族やゲストとコミュニケーションを取ることができます。
林 「インスピレーションの源となったのが、amadanaさんが運営しているカフェ「Beasty Coffee」(東京都渋谷区)です。カフェやクラブはある意味フリースペースというか、どこでくつろいでもいいし、どこで音楽を聴いてもいいじゃないですか。好きな音楽をBGMにし、料理をしてもいいし、家族と会話を楽しんでもいい。つまり、こう使わないといけないという固定概念がないんですよ。」
人を笑顔にするホームシアターの素晴らしさを広めるべき
―amadana baseは、趣味のなかでも音楽を中心とした楽しみ方を打ち出していますが、ホームシアターについてはどうお考えですか?
林 「家族と何かを共有することの少なくなったいま、家族の意識が集まる数少ない瞬間のひとつが映画やスポーツを大画面で観ている時だと思います。それに、ホームシアターで下から突き上げてくるような重低音を体感したことがありますが、「これはすごいな」と思いました。ですから、たとえどれだけコストがかかったとしても、音響/映像設備を住宅にスペックインしておくべきだと思います。
とはいえ、音響/映像機器メーカーとハウスメーカーとが分断されていることが多いのが現状なのではないでしょうか。ホームシアターがいかに家族を笑顔にするかをハウスメーカーに知ってもらい、スペックインする。それには『ホームシアターファイルPLUS』のようなメディアが、ホームシアターの楽しみ方のアイデアをさまざまなプラットフォームで発信し、タッチポイントを増やすことが大事なのではないかと思います。」
― 本日はありがとうございました。
- 写真上/amadanaのブランドトーンである「ウッド×ブラック」のカラーリングを外観デザインに採用。ポーチからエントランス、さらには土間までひと続きになっているため、アウトドア気分を手軽に楽しむこともできます。
写真下/音楽好きの方に「こんな暮らしはいいな」と感じてもらうため、「amadana base」のメインビジュアルはシティポップを彷彿とさせるテイストでデザインされています。また、暮らしのイメージを表現したテーマソング『君のFlavor feat. 磯野くん(YONA YONA WEEKENDERS)』を音楽家の冨田ラボ氏が手がけているのもユニーク。
家そのものがまるでガレージ!
LIFE LABELを運営するBETSUDAI Inc.TOKYOでは、家や暮らしをカジュアルに楽しむ住宅エンターテインメントメディア「Dolive(ドライブ)」も運営しています。そのDoliveとガレージライフスタイルブランド「GORDON MILLER」がコラボしたガレージハウス「THE HOUSE GARAGE PROJECT by GORDON MILLER」では、家そのものがまるでガレージのような、居住空間とガレージをシームレスにつなぐ暮らしを提案しています。そこにホームシアターがインストールされた斬新な事例をご紹介しましょう。
- 「ガレージが媒介となり、屋外と屋内、車と生活の距離を近くする」。そんなコンセプトを持つ「THE HOUSE GARAGE PROJECT」のガレージ部分にインストールされたホームシアター。
- 平屋建ての住まいの中心にあるのはガレージで、左に寝室、右にリビングという斬新な間取りになっています。