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レビュー

  • ELAC「CARINA series」 エラック新シリーズ「CARINA」に迫る!
    スピーカーの名匠とJETが織りなす新機軸
    3人の評論家がサウンドをチェック!

    VGP 取材・執筆 / 大橋伸太郎
    2019年10月13日更新

    • VGP審査委員長
      大橋 伸太郎

    • VGP審査員
      岩井 喬

    • VGP審査員
      生形三郎

大橋伸太郎がチェック~JETの特性を最大限に活かし新たに現代的なサウンドを奏でる

  • スピーカー開発のプロフェッショナルであるアンドリュー・ジョーンズが手掛ける、エラックの新シリーズが誕生しました。同社の中核機であり、ロングセラーシリーズでもある「240LINE」が、「CARINAシリーズ」に革新されました。

    エラックの長年のノウハウが詰め込まれた代表的なトゥイーターが、「JETフォールデッド・リボン・トゥイーター」として新設計されています。従来のJETと同様の制作過程によるダイナミック型ドライバーで、パワーハンドリングやトランジェント特性など、JETならではの特長を活かしたまま、コストパフォーマンスを高めました。そして、「コンパウンド・カーバチュア」(複合曲率)で成型された、135㎜アルミニウム・コーン・ウーファーも新開発。ブレイクアップ・ポイントを新成型で高精度にコントロールすることで、ユニットの分割振動から発生する共振周波数の弊害を取り除きました。強力な磁器回路の大型ボイスコイルによって、レスポンスの優れたユニットのストロークも実現します。

    • JETトゥイーターの特長である、優れたパワーハンドリング、そしてトランジェント特性など、基盤となるサウンドを受け継ぎながら、ミドルクラスに搭載するためコストパフォーマンスを著しく高めた「JETフォールデッド・リボン・トゥイーター」を、CARINAシリーズのために新設計。
    • CARINAシリーズに統一して採用された135mm アルミニウム・コーン・ウーファーは、振動板の形状による分割振動から起きる共振周波数特を、再生周波数域外に追いやり歪みをなくすため、「コンパウンド・カーバチュア」(複合曲率)によって振動板を形成したことが特徴的です。

    エンクロージャーは、上位機の「VELAシリーズ」で採用されていた、底部にバスレフポートを設けたダウンファイヤリングの設計を継承。スピーカーターミナルも、トゥイーターとウーファーのそれぞれにネットワーク基板を設けるなど、上位機で培われた技術を受け継ぐ。ラインアップは、フロア型「CARINA FS247.4」、ブックシェルフ型「CARINA BS243.4」、そしてセンタースピーカー「CARINA CC241.4」を揃えており、マルチチャンネル再生にも展開できるため、ホームシアターにも適しているのも魅力です。

    • 上位クラスのスピーカーに採用されている端子を、CARINAシリーズにも踏襲。バイワイヤリング接続に対応し、堅牢なつくりでスピーカーケーブルの接続性を高めている。トゥイーターとウーファーのネットワーク基板を分離させた設計も、上位機から受け継いでいます。

    余裕ある容積の堅固なエンクロージャーにドライバーをリジッドに固定。共振がなく濁りのない再生音をハイレスポンスかつストレートに送り出します。音離れがよく、もどかしさは皆無で、骨太で力強く爽快そのものです。音場が前後に広く深くあざやかに形成されます。
    サラウンド再生では、各モデルのユニット統一が奏功し、音場に疎密のムラがなく一体感強く躍動します。センタースピーカーに十分なキャビティが確保されているのも頼もしい。音楽再生ではくっきりした陰影を伴った色付きのない辛口サウンドを聴かせる一方で、エラックらしい瑞々しさを随所に感じさせてくれます。

    岩井喬がチェック~旧240LINEを超える中核機に相応しいサウンド

  • CARINAシリーズは、アンドリュー・ジョーンズが初めてJETトゥイーター搭載モデルを手掛けた記念すべき製品群です。従来と同じ製造工程を踏襲しながらコストダウンに成功した「JETフォールデッド・リボン・トゥイーター」と、共振を制御した2発の135㎜複合曲率アルミコーンウーファーを搭載したフロア型「CARINA FS247.4」は、高域から低域までシームレスで音離れよく、スムーズなサウンドを聴かせてくれます。

    ローエンドは余裕があり押し出しの量感も十分ですが、JETトゥイーターとの連携の取れたレスポンスと密度表現、制動性のバランスが絶妙です。ボーカルはフォーカスよく定位し、低重心で口元の動きも明瞭に描き切ります。抑揚良く自然なオーケストラの旋律も階調が細かく、リリースの収束まで鮮明です。S/Nも高く、音像のヌケ感のよさ、ほぐれよく浮き立つ自然な描写性が特徴で、新たなJETトゥイーターがもたらす誇張感のない流麗な高域表現が印象的です。旧240LINE超えるリアリティとシームレスなサウンドはエラックの新基準といえる品位に溢れたものです。

    • フロア型スピーカー
      CARINA FS247.4

    生形三郎がチェック~低域のレスポンスが向上 俊敏かつ輪郭豊かな描写

    CARINAシリーズは、かのアンドリュー・ジョーンズが初めて手掛けるJETトゥイーター搭載シリーズです。低コストで革新的な性能を実現するべくJETトゥイーターを新規開発。パワーハンドリングや過渡応答特性などJETの優位性を維持しながらもコストダウンに成功した、JETフォールデッド・リボン・トゥイーターを採用しています。ウーファーには、振動板を複合曲率で成形して分割振動の影響を排除するコンパウンド・カーバチュア・アルミニウム・コーンウーファーを搭載。筐体は、上位VELAシリーズを踏襲し、定在波を軽減する台形フォルムと、補強リブやスチール製フレームを用いた高剛性筐体を採用しました。なお、ブックシェルフの本機には、オプションで専用スタンドが用意されます。

    旧240LINEと比べると、よりシャープで立体感に富む音像と空間の描写力と、一層歪み感が抑えられた瑞々しい中・高域の再現力を堪能することができます。低域方向のレスポンス向上も著しく、より俊敏かつ輪郭豊かな低音描写が心地よい。まさに、新設計のユニットと筐体構造の効果が十全に発揮された、革新的なニューシリーズだといえるでしょう。

    • ブックシェルフ型スピーカー
      CARINA BS243.4

    LINEUP

    CARINA series
    ・CARINA FS247.4 ¥320,000(税抜/ペア)
    ・CARINA BS243.4 ¥160,000(税抜/ペア)
    ・CARINA CC241.4 ¥135,000(税抜/ペア)
    ・LS 50¥65, 000(税抜/CARINA BS243.4専用スタンド ペア)

    • 写真右から
      フロア型スピーカー 「CARINA FS247.4」
      ブックシェルフ型スピーカー 「CARINA BS243.4」
      センタースピーカー 「CARINA CC241.4」

    CARINA seriesの詳細はこちら

    SPEC

    [CARINA FS247.4]
    ●形式:2.5ウェイ・バスレフ型 ●ユニット:JET folded ribbon×1、135mm アルミニウム・コーン×2 ●再生周波数帯域:34~30,000Hz ●感度:87dB ●インピーダンス:6Ω ●外形寸法:210W×1070H×213Dmm ●質量:16.4kg

    [CARINA BS243.4]
    ●形式:2ウェイ・バスレフ型 ●ユニット:JET folded ribbon×1、135mm アルミニウム・コーン×1 ●再生周波数帯域:46~30,000Hz ●感度:85dB ●インピーダンス:6Ω ●外形寸法:210W×321H×213Dmm ●質量:6.7kg ●専用スタンド:LS 50 ¥65,000(税抜/ペア)

    [CARINA CC241.4]
    ●形式:3ウェイ・バスレフ型 ●ユニット:JET folded ribbon×1、135mm アルミニウム・コーン×2 ●再生周波数帯域:50~30,000Hz ●感度:87dB ●インピーダンス:6Ω ●外形寸法:621W×205H×213Dmm ●質量:10.2kg