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レビュー

  • 「生形三郎のSPEAKER JOURNEY」 世界のスピーカーブランド 連載第7回
    POLK AUDIO(ポークオーディオ)
    Polk Reserve R700

    VGP 取材・執筆 / 生形三郎
    2022年3月22日更新

    • VGP審査員
      生形三郎

米市場で第2位のシェアを誇る

昨年の日本再上陸とともに、いま日本でも大きな注目を集めているのがポークオーディオです。同ブランドは、アメリカ東海岸、メリーランド州ボルチモアに本拠を置くスピーカー専業メーカーで、学生仲間によって1972年に設立されました。日本には約30年ぶりの再上陸となるものの、日本の15倍超規模と言われるアメリカ市場で、第2位のシェアを築くトップブランドとして君臨しています。同社が掲げるのは「手軽な価格で最高のスピーカーを作る」ことで、設立から50年経った今もそのコンセプトは変わっていません。

ブルーグラス音楽フェスティバル用のPAスピーカーシステムの開発からスタートした同社は、ライブのサウンドが原点であり、コンサートの最前列に座って聴いているような、リスナーに迫るような音像表現を大切にしています。今回ご紹介する、独自の音響技術と最新技術によって生み出された「Reserveシリーズ」も、まさにそんな魅力が詰まったスピーカーです。

  • ポークオーディオは、1972年に米国のボルチモアにて設立されたスピーカーブランド。ハイクオリティとコストパフォーマンスの両立をコンセプトに、ホーム向けスピーカーを開発し続けているのが特徴です。自社の研究所にて、オリジナリティの高い高音質技術や特許技術を、多数生み出していることも強みです。
  • フロア型スピーカー
    POLK AUDIO
    「Polk Reserve R700」
    ¥132,000(税込/1本)
  • 「Reserve series」は、全9機種をラインアップ。今回の連載ではシリーズでフロア型の最上位モデルである「Polk Reserve R700」をメインに、クオリティをチェックしていきます。

独自形状の振動板と特許技術を兼備

熟成したプレミアムワインを指す「リザーブ」という名が冠されたこのシリーズで目を引くのは、独自形状の振動板による「タービンコーン」と、特許技術によるバスレフポートシステム「X-Port」でしょう。タービンコーンは、ポリプロピレンを射出成型したもので、軽量かつ高剛性で不要振動を抑えられるという振動板としての理想を追求したものです。独自の形状としながらも、成型が容易で再現性が高く低コストで製造可能な点にもこだわるという点も低価格にこだわるポークならではの配慮です。コーンは、発泡剤の発泡行程で厚みと柔らかさを持った中間層が存在し、厚みと硬さが異なる3層構造的なメリットも享受できるといいます。

また、比重調整のために含ませた充填剤が流れた跡が表面に残ることで、印象深いルックスを生み出しています。センターキャップは柔軟な素材で出来ており、これも音に寄与していそうです。X-Portはフィルター構造を持ったバスレフポートで、キャビネット内での音の干渉を減らし、歪みを抑えたクリーンな低域再現が行なえる特許技術。ポート内部に吸音材の詰まった筒状のトラップを設けることで、ポートから放射される中・高域成分を吸音する画期的な仕組みでありますが、これが驚くほど効果的なのです。

  • トゥイーターには、新開発の25mmの高精細ピナクル・リングラジエーターを搭載。色付けや歪みのない、クリアな高音域を実現しています。精密度高く調整されたウェーブガイドを採用したことで、拡散性の改善、不要な共振の抑制を成し得ています。
  • 165mm・ミッドレンジには、独自開発のフォームコアとタービン形状を組み合わせた振動板を採用。同社の上位モデル「Legend series」にも導入された技術を継承しています。
  • パスレフポートのポート形状を緻密に設計、併せて筐体とポートの共振を調整する「クローズドパイプ・アプソーバー」、2つの技術が合わさった最新技術「Power Point 2.0」が投入されています。
  • キャビネットは高度な補強が施され、大音量再生時にも揺るがない、「Power Port 2.0」と組み合わせることによりスケール感と透明感を両立した低音再生を実現しています。

広いサウンドステージと迫るボーカル

今回は、ステレオソースの再生に加えて、5.1chや7.1chサラウンド、ドルビーアトモスによる3Dサラウンドも試聴して、その音質の魅力に迫りました。その音質は、非常にバランスが良くも、音楽に夢中にさせてくれる没入感に溢れるものです。基本的には、ナチュラルな音色感なのですが、とりわけ透明度の高いボーカル帯域に程よい張り出しのあることが快いです。横幅が細く奥行きの長いフォルムもあり、スピーカーの奥に広いサウンドステージを広げつつも、音楽の中心帯域であるボーカルやメロディはリスナーに迫るという、ある意味で相反する要素を両立していることが魅力的です。

また、先述のX-portの恩恵も大きいのか、低域は、音楽を楽しく聴かせる充分な量感がありながらも、ノイズ感が少ないことが特筆です。これが、ボーカルの透明感を上げていることも推察できます。まさに、ニュートラルでありつつ、音楽の興奮や感動を存分に楽しめるシリーズなのです。加えて、パフォーマンスに対する価格設定が非常に手頃なことも素晴らしく、Reserveシリーズが市場で人気を集めていることに大いに合点がいく内容です。清潔感ある低音による生き生きとしたとした音楽表現は、さまざまなソースを魅力的な音で奏であげてくれるでしょう。

  • 今回はステレオだけでなく、サラウンド(5.1ch/7.1ch)、ドルビーアトモス(5.1.2ch)も試聴して、クオリティチェックに挑みました。
  • Polk Reserve R700の音質傾向

推薦ソフト3選で聴く

  • 〈R&B〉
    『The Diary of Alicia Keys』
    Alicia Keys
    2003年作品
    J Records
    Spotifyで試聴

鋭い立ち上がりとリッチなボトム表現

キックドラムのアタックが鋭い立ち上がりとともに十二分な肉付きの良さがあり、ボトムへの食いつきのよいリッチな味わいです。それでいて余韻に付帯感が抑えられているので爽快かつ軽快で音楽が重たくなりません。ボーカルの定位は精妙で、コーラスの声の重なり合いがクリアに浮かび上がります。ピアノのタッチも1音1音が明瞭で和音も濁らず、全体的に非常にバランスが良く充実した聴き心地を楽しませてくれます。

  • 〈ロック〉
    『Black Summer』
    Red Hot Chili Peppers
    2022年作品
    Warner Records
    ハイレゾ音源を試聴

粒立ちのよい質感でキレも優れる

ボーカルやドラムの音が張り出しよく迫ってきて、この音源の迫力あるタイトな音像による音作りをよく引き出しており快いです。ドラムスは、ゴーストノートを多用したグルーブ感あふれるリズムが心地よく、ライドシンバルの刻みも、アタックの粒立ちやキレが良くも密度感もあるなど、質感が大変好ましいです。また、ベースラインも肉付きよくフレーズが再現されて充実したエネルギー感があり、ベースがしっかりと演奏全体を支えている様が伝わってきます。

  • 〈クラシック〉
    『JOHN WILLIAMS LIVE IN VIENNA』
    John Williams/WIENER PHILHARMONIKER/ANNE-SOPHIE MUTTER
    2020年作品
    ブルーレイ
    ユニバーサル ミュージック合同会社
    ¥7,150(税込)

音場表現の違いも如実に体感できる

こちらのソースは、DTS5.1ch及びNeural:Xによる7.1ch、ドルビーアトモスと聴き比べてみましたが、それぞれの音質やサラウンド感の違いが如実に描き出されました。全般的に空間の広がりと楽器音像の実体感とが高いレベルで実現しており、広がりがありつつも音が積極的に迫ってくるので、没入感が高いです。特にムターのバイオリンは滑らかかつ密度ある音色で、温かみのある上質なサウンドを楽しませたと共に、DTSとドルビーの音質の違いも顕著に描いています。

LINE UP/SPEC

  • 今回の試聴では、フロントLRに「Polk Reserve R700」、サラウンドに「Polk Reserve R200」、サラウンドバックに「Polk Reserve R100」、センタースピーカー「Polk Reserve R400」、イネーブルドスピーカーとして「Polk Reserve R900」を活用し、取材を行いました。

フロア型スピーカー 「Polk Reserve R700」 ¥132,000(税込/1本)
●形式:3ウェイ・バスレフ型 ●使用ユニット:25mmピナクル・リングラジエーター×1、165mmアルミ/203mmポリプロピレンコーンウーファー×2 ●周波数帯域:30〜50,000Hz ●クロスオーバー周波数:2700Hz、350Hz●能率:88dB ●外形寸法:330W×1144H×429Dmm ●質量:35.9kg

ブックシェルフ型スピーカー 「Polk Reserve R200」 ¥103,400(税込/ペア)
●形式:2ウェイ・バスレフ型 ●使用ユニット:25mmピナクル・リングラジエーター×1、165mmタービンコーン×1 ●周波数帯域:39〜50,000Hz ●クロスオーバー周波数:3,000Hz ●能率:86dB ●外形寸法:190W×359H×354Dmm ●質量:8.7kg

ブックシェルフ型スピーカー 「Polk Reserve R100」 ¥77,000(税込/ペア)
●形式:2ウェイ・バスレフ型 ●使用ユニット:25mmピナクル・リングラジエーター×1、133mmタービンコーン×1 ●周波数帯域:44〜50,000Hz ●クロスオーバー周波数:2,700Hz ●能率:86dB ●外形寸法:166W×324H×260Dmm ●質量:5.5kg

センタースピーカー 「Polk Reserve R400」 ¥90,200(税込/1本)
●形式:2ウェイ・バスレフ型 ●使用ユニット:25mmピナクル・リングラジエーター×1、165mmタービンコーンミッド/ウーファー×2 ●周波数帯域:36〜50,000Hz ●クロスオーバー周波数:2,500Hz ●能率:89dB ●外形寸法:615W×197H×350Dmm ●質量:14.9kg

ハイトスピーカー 「Polk Reserve R900」 ¥77,000(税抜/ペア)
●形式:2ウェイ・密閉型 ●使用ユニット:19mmピナクル・リングラジエーター×1、101mmタービンコーンミッド/ウーファー ●周波数帯域:50〜50,000Hz(壁掛け時) ●クロスオーバー周波数:2,100Hz ●能率:85.5dB(壁掛け時) ●外形寸法:166W×159H×320Dmm ●質量:3kg

REFERENCE

  • プリメインアンプ
    MARANTZ
    「MODEL 40n」
    ¥280,000(税込)
  • AVアンプ
    DENON
    「AVR-X1700」
    ¥77,000(税込)

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