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  • 連載 伊尾喜大祐のシン・イオキネマの夜明け
    第27回「家族の笑顔を見続ける映画館を」

    取材・執筆 / 伊尾喜大祐
    2022年8月12日更新

ホームシアターの総合誌「ホームシアターファイルPLUS」でも執筆されている伊尾喜大祐さんが、夢の映画館「シン・イオキネマ」づくりを決意! 本連載では、映画館づくりを決意したきっかけから完成するまでの模様を完全密着ドキュメントでお送りします。どのタイミングでどんなことが進行するのか? 映画館づくりにどんな想いがあったのか? 読んだらホームシアターを作りたくなること間違いなし!

シン・イオキネマ初上映

新シアター最初の上映作品は何にするか。それはもちろん、僕のオーディオビジュアル人生の扉を開いた『スター・ウォーズ エピソード  新たなる希望』のUltra HDブルーレイでした。

照明を落として、いよいよ上映開始。メインタイトルのファンファーレが煌びやかに響き、 120インチスクリーンに映し出された8K e-shiftXで観る銀河の「星の数の多さ」と黄色いタイトルロゴの鮮烈な輝きに息を飲みました。続いて壮絶に巨大なスター・デストロイヤーが6本の天井スピーカーを轟かせて頭上を通過! メカやドロイドの使い込まれた質感、ダース・ベイダーのスーツのまだ粗い造形などが克明に描出され、これまで40年近く気づかなかった映像ディテールに驚愕。そして重低音を唸らせて輝くライトセーバー、アトモス空間を縦横無尽に飛び交うミレニアム・ファルコン、Xウィング、TIEファイター…。

新シアターの大迫力は、今はなきテアトル東京の大スクリーンに展開したスペクタクルの記憶に肉薄するものでした。だから僕は映画を見終えるなりこう叫んだのです。「とうとうあの興奮が家で味わえたぞ!!」

  • 「家族が感動する様子を眺めているのが幸せ」と伊尾喜氏は語りました。

前回はこちら>>>第26回「“映画館がある家”が遂に完成」

いい映像といい音とともに家族の笑顔を見続けたい

こうして僕の、そして家族の夢だった「映画館のある家」が完成しました。今では息子と『ウルトラマン』や『仮面ライダー』の映画を、娘と『アナと雪の女王』やディズニープリンセスの映画をスクリーンで楽しんでいます。休日は彼らにシアターが占拠されてしまい、なかなか妻と映画を楽しめないのが残念。それでも子どもたちが夢中でスクリーンを見つめて、笑って、泣いて、拍手する様を眺めるだけで僕は幸せです。

そろそろ『スター・ウォーズ』はどうかな、それとも最新作公開に合わせて『ジュラシック・パーク』シリーズかな…。夢は広がるばかりです。これからもいい映像といい音で、たくさんの映画を子どもたちや妻と楽しんでいこう。彼らの笑顔を見つづけていこう…!

  • さらちゃん(お嬢さん)の大好きな『アナと雪の女王』を再生すると、陽太君もさらちゃんも大画面にかぶりつきに。お子さんたちが笑ったり、拍手したりする様子を眺めているだけでも、伊尾喜さんもパパ冥利に尽きるというもの。
  • 隠し扉の横のキューブボックスには、伊尾喜さんが40数年集めた映画パンフレットが並ぶ。その数なんと1000冊以上。「子供がいつか映画に興味を持ってくれた時、好きな映画について語り合いたい」という伊尾喜さんの夢を叶えるかのように、映画パンフレットに興味津々の姿を見せてくれた陽太君。

シン・イオキネマのポイント by編集部

シン・イオキネマは、家族や映画を楽しむ部屋であるとともに、伊尾喜さんご自身が映像をチェックできる仕事部屋も兼ねられています。そのため、約15.2畳の空間を「映画」「書斎」「収納」の3つにゾーニングしました。構造上の都合でできてしまう段差を活かし、映画鑑賞ゾーンと書斎ゾーンの境目にしています。

  • 階段の段差までのスペースが映画鑑賞ゾーンで約12.2畳、その奥のデスクがあるスペースが書斎ゾーン、キューブボックスの向こう側が収納ゾーンになっています。
  • トップスピーカーは6基で、DALIのスピーカー「PHANTOM E50」を埋め込んでいます。防音性能を損ねないように下がり天井にしたのは、トムテックの浅田氏のアイデアです。

AVアンプや4台のUltra HDブルーレイレコーダー/プレーヤー、さらには伊尾喜さんの所有するソフトコレクションを収めつつ、スクリーンが収められた壁面収納家具は、トムテックの浅田氏が監修したもの。伊尾喜さんが所有する機器類、収めたいものを浅田氏が予めヒアリングし、設計図を起こしました。配線が見えないように収まっているのはもちろん、ケーブルの交換などがしやすいように、天板に切り欠き処理が施されています。

  • サラウンドとサラウンドスピーカーはDALIの壁掛けスピーカー「OBERON ONWALL」。
  • サンゲツの壁紙の色に合わせ、サラウンドはダークウォルナットを、サラウンドバックスピーカーはブラックアッシュを選びました。
  • AVアンプはデノンの13chパワーアンプ搭載モデル「AVCX8500H」で、最新ファームウェアにアップデートすることで8K/60pパススルーに対応させています。左側にはパナソニックのUltra HDブルーレイレコーダー「DMR-4W201」と「DMRUBZ1」が収められています。
  • 右から2列目の棚にはパナソニックのUltra HDブルーレイプレーヤー「DMR-UB9000」、OPPO Digital「l UDP-203」を収めています。
  • 収納ゾーンのご紹介。造作ラックには『ドロステのはてで僕ら』や『キャラクター』、『劇場版 ルパンの娘』、『GODZILLA』3部作、『ダンスウィズミー』など、伊尾喜さんが制作に携わったブルーレイディスクがズラリと並ぶ。実はこの造作家具は隠し扉になっていて、ラックをスライドさせると、その向こうには収納スペースが広がっています。
  • こちらが収納スペースの様子。扉付きの収納ラックが全部で5台並んでいます。
  • 収納ラックの扉は観音開きになっており、扉にもブルーレイやDVDソフトがぎっしり。