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実例

  • 専用室シアターCASE38
    音漏れの心配から解放された、シネフィル大満足の防音室
    劇場の最前列に座ったような迫力の100インチ&7.1ch

    取材・執筆 / 井田有一(ホームシアターファイルPLUS編集部)
    2023年6月7日更新

防音室の性能を徹底的にこだわった

スクリーンは壁いっぱいの100インチ。後方のスピーカーは動線も考慮して埋め込まれた7.1ch構成のスピーカーです。さらに中央やや後方にパーソナルチェアが鎮座しています。これぞ「個人劇場」、そんな言葉がぴったりの専用ルームです。

  • 写真上/ベランダに繋がる窓はリフォーム前からあったので、その動線を活かしつつ投写距離の関係から窓前に100インチのスクリーンを配置するレイアウトに。そのためスクリーンケースは見えないように垂れ壁を設けて隠しています。スピーカーはフロントとセンターは床置きにしていますが、センタースピーカーが窓に絶妙にかからない高さで設置されています。
    写真下/スクリーンを下ろした様子。窓にはシャッターがあるため遮光もできます。昼間でも完全暗室に!
  • 視聴位置後方の様子。パーソナルチェアは「Stressless Tampa」。

施主の日吉さんは、ご想像の通りのシネフィルで、ホームシアター歴もプロジェクターの購入が5台目というベテランです。しかし、家族や近隣住宅への配慮から大きな音は出せないだろうと、長年サラウンドヘッドホンを使い続けてきたといいます。そんな日吉さんに転機が訪れたのは昨年のこと。築50年になる実家を全面リフォームすることになりました。そこで長年の夢だった「防音室」をつくることにしました。

「自分の音がどのくらい漏れて、どの程度だと問題になるのか想像できませんでした。ですので後悔がないように防音室の性能にはこだわりました」(日吉さん)。

  • 写真右/フロントスピーカーはヤマハ「NS-F700」を、サブウーファーも同じヤマハの「NS-SW500」を選択しています。
    写真左上/プロジェクターはソニー「VPL-VW275」。視聴距離が2m程度と近いですが、4K解像度なので画素を感じずに楽しめます!
    写真左下/サラウンド、サラウンドバックスピーカーはユニソニック「AHT-525IW」を埋め込んでいます。天井に孔を空けるため、何も対策をしなければ遮音性能が落ちてしまいますが、関口氏は遮音用のボックスを天井裏に仕込むことで性能を落とさずに、スッキリとした空間を実現しました。

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  • AVアンプなどの機器はラックに収めていますが、LDをはじめBetamaxやS-VHS、Hi8など往年のビデオ規格の再生機も一緒に並んでいます。これらもすべて現役で、引っ越しで処分したそうですが、コレクションも別部屋にあるそう!

遮音性をキープして使い勝手も高める

プランニングを担当したのはアバック新宿本店の桜庭太郎氏です。トータル予算が上がってしまいがちなところ、全体のバランスを考慮して機器選定を行い、使いやすいレイアウトを提案。防音室工事を担当する一級建築士の関口彰洋氏と連携を取り、高い遮音性能をキープしつつ使い勝手のよい部屋を完成させました。

完成した防音室は驚きの性能で、外に出ても音漏れは認識できませんでした。これまで大きな音を出せなかった日吉さんでしたが「これで映画館と同じように映画が楽しめる」と微笑みます。念願叶った防音室が、日吉さんの毎日をより一層輝かせてくれるでしょう。

  • 2重ドアにして遮音性能を高めています。ちなみによくみると室内が少し高くなっています。これはルーム・イン・ルームという工法を採用しているからで、室内にもうひとつ部屋つくるため、床面が少しだけ高くなっているのです。
  • 防音室というと地下室のような暗い部屋を想像しがちですが、もちろん大きな窓をつけることができます。ですが窓は音漏れの観点では弱点とされる場所なので、特別な対策が必要となります。日吉邸ではベランダに出られる大きな窓が元々あったので、YKK APの内窓「プラマードU」をつけて2重サッシに。ガラスは合わせガラスを採用し、高い遮音に加えて断熱効果も得られています。さらに外窓との間(空気層)を約30cmも確保したことで、高い遮音性能を獲得しています。
  • 写真上/日吉さんが出したい音の騒音レベルを測定してみると、スピーカー前で約100dB程度、パーソナルチェアの位置で約95dB程度出ていました。これはプロのピアノ演奏くらいの音量でかなり大きめだとわかります。
    写真下/100dBの音を出した状態で外の庭で騒音レベルを測定すると、45~48dB程度。ほぼ暗騒音にまぎれてしまい音漏れを測定することはできませんでした。体感としても全く音漏れしていないと感じました。
  • アクション系の映画がお好きという日吉さん。「『タワーリング・インフェルノ』が私の原点です。これから時間を見つけて、コレクションの映画を観ていきたいですね」。
  • インストールを手がけたアバック新宿本店の桜庭太郎氏。
  • 防音設計・施工を手がけたアバックグループCSCの関口彰洋氏。
  • シアタールームは2階にあり、元は床の間や押入のある部屋でした。そのため少し凹凸のある形状となっています。最も心配すべきポイントだった庭の方向の遮音を特に気にして設計しているといいます。ドア側は音を吸収する役目になる廊下があるのも防音的にはプラス。

写真/広井一成

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日吉邸ホームシアター概要

HOMETHEATER DATA
●住宅形態:戸建/リフォーム ●ホームシアターの広さ:約6.7畳 ●画面サイズ:100インチ ●サラウンド:7.1ch ●インストール内容:機器設置、システムプランニング、防音工事、ルームチューニング ほか

SYSTEM LIST
●プロジェクター:ソニー VPL-VW275 ●スクリーン:キクチ SE-100HDWA ●UltraHDブルーレイレコーダー:ソニー BDZ-FBT3100 ●AVアンプ:ヤマハ RX-A4A ●フロントスピーカー:ヤマハ NS-F700 ●センタースピーカー:ヤマハ NS-C700 ●サラウンドスピーカー:ユニソニック AHT-525IW ●サラウンドバックスピーカー:ユニソニック AHT-525IW ●サブウーファー:ヤマハ NS-SW500

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