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  • 鴻池賢三のホームシアターTips フロントスピーカーは「内振り」にしたほうがいい? ホームシアターのプロが効果を解説!

    取材・執筆 / 鴻池賢三
    2023年6月9日更新

    • VGP審査副委員長
      鴻池賢三

スピーカーの「内振り」とは?

視聴者から見て前方に設置した左右のスピーカーを、リスナーに向けるように角度を付けて設置することを「内振り」と呼びます。内側に振るので、的を射た表現です。

この「内振り」はオーディオ愛好家の間ではごく一般的ですが、ホームシアターでは疑問を持たれることも多いようです。スピーカーを部屋のインテリアの一部として考えると、壁面と平行に置きたくなるのも理解できます。

そこで今回は「内振り」の是非ではなく「内振り」にしたらどのような効果があるのか解説します。「内振り」にするかしないかは、各自でご判断を!

スピーカーは真正面から聴くのが理想

スピーカーから放たれる音には「指向性」があります。指向性とは音が進む方向とその広がり方で、一般的に高域音は広がらずに直進性が高く「指向性が強い」、低域になるほど拡散しやすく「指向性は弱い」という性質があります。スピーカーの場合、詳細にはドライバーの方式や特性およびエンクロージャーの設計によっても指向性は左右されます。

またスピーカーの周波数特性、言い換えると音色は、それぞれの真正面を想定して整えられています。スピーカーの真正面では、トゥイーターからの高域音も、ウーファーからの低域音も、設計意図どおりに聴こえるというわけです。

しかしスピーカーの真正面を外れると音色の変化が生じ、設計通りのサウンド、スピーカー本来の性能を引き出せないことになります。これが、「内振り」を推奨する最大の理由です。

  • スピーカーの指向性のイメージ。たとえばスピーカーをリスナーに向けない場合、指向性が強い高域は減衰して聴こえ、相対的に低域音が増大して聴こえることになります。

なお、音の拡散度合いはドライバー(主にトゥイーター)のタイプやスピーカーによって異なり、その特性は「指向性」や「軸外特性」という項目名で製品に添付される場合があります。

実際に確認するにはどうしたらいい?

実際のホームシアターでスピーカーの左右が壁面に近い場合は、反射音の影響も無視できません。ご自身のホームシアターで、総合的に「内振り」の効果を確認したい場合は1本ずつ「ホワイトノイズ」を鳴らして、内振りにした時と、そうでない場合の差を聴き比べるといいでしょう。

最終的な結果や度合いは部屋の音響や位置関係によりますが、音質面では内振りが有利に働くケースが多いはずです。またホームシアターの場合は特に、低い位置に設置されがちなセンタースピーカーの仰角にもご注意ください!

  • 内振りにせずまっすぐ置きたいのであれば、カバーエリアが広いモデルに絞って探してみるのも手です。DALI「OBERONシリーズ」に搭載されているトゥイーターは、カバーエリアが広い特長があります。

ホワイトノイズの例:YouTube「White Noise HQ Audio」